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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

国籍と外見

2018年11月24日 | 社会問題
 この話は、数年前に書いていた話だったのだが、ずっと下学の状態にしていた。でも、せっかく書いた話なので、ここで公開したい。仏人の友人の話なのだが、その友人、すでに仏に帰国している。

 以下、本文。


 先日、フランス生まれ&育ちで日本国籍を持つ友人が行政関係の手続きに役所に行くというので、その手伝いに同行しました。で、その時の話をしたいと思います。

 まず、その友人の話から。彼女はフランスで生まれてフランスで育ち、教育も全てフランスの教育機関で受けて参りました。家庭内での家族同士の会話も全てフランス語なので、日本国籍を持ちますが、日本語は非母語として「勉強」してきた感じです。

 でもまあ、本当の理由はわかりませんが、私が推測するにヨーロッパの雇用事情、特に若年層の厳しい職探しを避けて、日本に来た感じがあります。まあ、この辺は微妙ですが、職探しをしていくうちに日本で働く口が見つかったという感じでしょうか。

 ただ、諸々の事情から当初の職をやめ、新たに職を見つけていたんですが、少し前に職が見つかったようです。そこで、休職期間中に入っていた国民健康保険や、年金関係、それから税金に関わる手続きや問い合わせで役所に出向かなければならず、そこに私も同行したのでした。

 手続き自体は、半日で終わったんですが、全部で四つぐらいの手続き&相談窓口を回って、午前中で終わったことを考えれば、日本の行政組織は効率的だな、と感心しました。フランスではそうはいかないと思います。

(が、私が比較するのは、私自身が経験した外国人に関連した行政部門のところなので、フランス人が出向くフランスの行政機関の部門とはかなり違うかもしれません。同様に、日本に住む外国籍の人が出向く日本の窓口では、もっと手間がかかるかもしれません。
 他方で、私が税金、保険関連の窓口に行った際には、ドイツ語を話していた男性二人組もいたので、日本に長く住む外国出身の人=日本人と同じ行政手続きをしている人も少なくないのではないかと思います。)

 なんで、こんなまわりくどい説明をしているかと言うと、年金関係の窓口に行ったとき、いきなり「滞在許可証を見せてください」と窓口で言われたから(友人に対して)。
 確かに彼女はハーフですけど、日本国籍はあるので。外見からすると、私は彼女はむしろ日本人っぽいと思うのですが、多くの日本人からすると彼女は外国人に見えるらしいです。また、フランス人の私の友人も、彼女のことを見て「外見はフランス人」と言っていました。


 そうした事情はあるにしても、窓口での第一声が「滞在許可証を」というのは、見方によっては差別的だと言えなくもありません(ただし日本で日本の年金に加入している外国籍の人が多くなっている現象の表れだと考えれば、それほど目くじらを立てるべきことではないかもしれません。外国籍の人でも加入をすることがあるということを前提に、窓口の人は対応をしているので)。

 話が長くなってしまいました……。

 私が言いたかったことは、行政手続きに関する日本語は難しいなということ(これはどの言語でも言えることですが)です。なんかわざわざ友人の手伝いのために、午前中+移動時間をかけるなんて、おひとよしだな、と自分のことを思いつつ、他方で、窓口での説明をあとから振り返りつつ、確かにあそこで事情を説明すること&役所の説明を理解することは大変だったろうなと、もし自分が彼女の立場だったらことを考えたのでした。

 それから、年金制度、それから雇用保険などについて知る良い機会にもなったのでした。

 話が長くなったので、続きは別の機会で。


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