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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

米でマルクスの亡霊が……。

2018年10月26日 | 社会問題
 米で、マルクスの亡霊がさまよっているという話。ガーディアンの記事。

 現ホワイトハウス、つまりトランプ政権の経済政策顧問が、米に、社会主義的諸政策やマルクス主義に対するシンパシーが膨れあがりつつあるという危機感を報告した、という。

 he socialists are coming! White House sounds alarm at rise of the left

 ただし、「社会主義」や「マルクス主義」というよりも、福祉国家や社会民主主義への期待というのが正確なところのようだが。でも、トランプ政権の経済顧問がそうした警戒を報告せざるを得ない状況というのは、人種差別の横行や、社会的分断が報道されている米でも、光明があると言うことだろうか?

 ちなみに、日本の報道を見ていると、米の「分断」の問題を報道する際に、トランプ側の報道はしつつも、サンダース側の報道をしないのはなぜだろう? 「右派の極端」と「左派の極端」があってこその「分断」になると思うのだが(ただし、上の記事でも民主党の主流は「穏健派」で、英の労働党右派ニューレーバーに当たる立場であると説明している)。

 ただし、皆国民社会保険制度や公立大学の授業料無償化などは、日本では別段、「極端な主張」とは考えられないかもしれない(後者の政策への期待が日本で高まったとしたら、政府は嫌がるだろうが)。

 でも、私個人は、「光明」があるとしても、状況は依然として問題が多く、やはり政権の座にはトランプがいるし、移民政策は厳しくなり、人種的偏見をあからさまに主張する勢力は強まっているのが現実ではないかと推測している(だからこそ、上のような記事が、ニュースになるのだろう。ただし、トランプ側がそれを報告しているというのが、救いだろう。で、彼らが社会政策の必要性に気付くのなら、人気取りのためとしても「まし」な事だろうと思う)。



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