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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

「哲学とは何か?」アルチュセール著『再生産について:イデオロギーと国家のイデオロギー装置』

2005年06月22日 | アルチュセール『再生産について』
 私が翻訳に参加した、アルチュセールの『再生産について イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置』について紹介を続けます。

 前に紹介したとおり、この草稿は、「哲学とは何か?」という章から始まります。彼は、この再生産論を始めるにあたり、哲学なるものの本質を見極めることを提起します。というのも、哲学とは、一見すると抽象的な思索の体系であるかのように見られているが、実際には、現実社会に不可分に結びついているからである。そしてこの点は、これまでの哲学史とは(哲学の普遍性/不変性を僭称する哲学史とは)、正反対に位置する立場です〔ただ、私個人の意見を述べさせてもらうと、これまで哲学というのは、実は「反哲学なるもの」を標榜しつつ、しかし結局は哲学の範疇に収まってしまう、というサイクルを繰り返してきたにすぎないと思われるのですが〕。

 いずれにしても、アルチュセール自身はこのように考え、これまでの哲学史の流れを、それが生まれた当時の現実社会と結びつけて、表として開示します。そして、こうした視点を発展させ、アルチュセールはとりわけ、現代の哲学(60年代後半の状況に置ける哲学)は階級闘争という現実と不可分であると主張するわけです。(こうした彼の主張が成功しているかどうかは、読者の方々の判断を待ちたいと思いますが)

 この著作、なんかアマゾンを見ると、なかなか評判なようで、嬉しい限りです。ありがとうございます(^_^.)。また、紹介文についても続けたいと思います。

以下のリンクで、アマゾンのこの本のページへジャンプできます。
再生産について?イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置

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