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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

増刷決定

2007年02月25日 | アルチュセール『再生産について』
 非常勤講師をさせていただいている大学の成績処理も終え、新年度の準備もせねばならず、また期日間近な論文も抱えていて、なかなか息の休まる時間もない。実際には、時間や日にち、曜日の感覚も麻痺してしまっている状態。昨日は、非常勤校の懇親会があったのだが、何を間違えたのか一日間違えていて(今日だと思っていて)、場所の確認のため案内を見たところ、すでに終わっていたことに気づく。
 欠席することになってしまい、当日こられていた他の先生方に迷惑をかけたのではないかと心配するばかりである。


 という状態なのだが、この場では何度も紹介させていただいているアルチュセール著『再生産について』(平凡社)の増刷が決定したとの話が、編集者の保科さんからメールで届く。6000円強という高価な本にもかかわらず、好評のようで、うれしいばかりである。ちなみに、この翻訳は以下。

再生産について―イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置

平凡社

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 ただ、増刷に際して、誤植や誤訳等の指摘を報告をしてほしいとのこと。一週間ぐらいでの作業なのだが、なかなか厚い本なので、原文との参照もせねばならず簡単ではない。
 翻訳そのものについては、現在抱えている論文でもテーマにするため、ずっと再読し続けていたゆえに、あまり大変な作業ではない。だが、「読む視点」が異なってくると、話は別。

 件の論文は、アルチュセールのここでの議論を、現在の日本の問題にどのように応用するかという話であり、私自身は、いわゆる「新自由主義」の抱える問題、それと関連して、ニート・引きこもり・外国人就学児童(あるいは移民)の問題に対して、彼の議論・パースぺくディブをどのように適用できるかを議論してゆくもの。

 ゆえに、現在の問題を見越しながら、ずっと読んでいるのだが、上の増刷に関連した「校正」は、やはり原文の意味をそのまま理解することを目的とした読みをせねばならず、そのギャップに少々戸惑ってしまうことも。先ほど読んでみると、やはり「マルクス主義固有の文脈」が、際立って頭の中に入ってきた。

 これは、アルチュセール自身が議論していることだが、解釈に際しては、自らの持つ「問題設定」が如何に重要であるかを、身をもって体験・証明している状態である。

 そうは言っても、増刷の決定というのは、件の翻訳が好評を得ているという証明であり、やはりうれしい話。

 追記

 なお、この本はすでに平凡社ライブラリー版として再刊されています。

再生産について 上 イデオロギーと国家のイデオロギー諸装置 (平凡社ライブラリー)
クリエーター情報なし
平凡社



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