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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

「メルトダウン」という語について

2011年03月26日 | 社会問題
以下の話は、現在問題になっている原発事故に関して、素人の私が、メルトダウン Nuclear meltdown という言葉の意味を誤解していたことの話である。私はあくまで素人なので、そのつもりで読んでいただきたい。

 現在、福島の原発問題は、日々悪い状況になりつつある。また、日々悪い情報が伝えられている。この問題について、メルトダウンという言葉について、自分が誤解していることに気づき、同時に自分がのんきに構えていたことを反省した。

 日本在住の近しい仏人の友人が、現在関西で「疎開生活」を送っているのだが、私は彼女に状況の説明をメールで送ったり、電話で説明したりしていた。

 彼女に対する説明で私は、当初、「海外の報道は過剰だが、日本人も気にしていなさすぎ」と言い、「(チェルノブイリのような)メルトダウンの可能性はあまりないからそれほど心配する必要はないようだ」、と言っていた(この場合、日本政府の情報公開に対する態度、危機管理能力については問わない、という前提ではなしをしていた)。

 ここで私は、メルトダウンというと映画の『チャイナ・シンドローム』で話になっているような、臨界状態になって炉心が全く溶けてしまうような状態しか指さないと考えていたのである。

 しかし、あとから調べて知ったのだが、現在の福島原発で起きている「燃料棒の破損」によって放射性物質が外部に露出すること(報道では「炉心融解」という言葉が使われていた)がすでに「メルトダウン」らしい。(なお、この「メルトダウン meltdown」という表現自体は、専門的に定義された擁護ではないようである:wikiの説明英語のwiki)ということは、福島原発事故はすでに「メルトダウン」になっていたわけである。

 海外の反応が過度であると考えていたが、起きた問題が「メルトダウン」であるならば、自分の理解がのんきだったことになる。そのことに、気づいたのだった。

 無論、これは「言葉の理解の問題」と言えなくもないが、しかし、当初以上にこの問題が長引きそうなこと、また、食料・飲料水など問題の影響も広がりつつあることを考えると、当初の予想のようにはこの問題が解決しないように現在は思われる。やはり自分の「危機意識」のなさを反省するのだった。(無論、新聞などでは過剰反応はやめて「正確に怖がること」が重要だと言ってる。ただ、これはそれほど簡単なことではない。政府や電力会社の説明通りには事態(や対策など)が進んでいないことを考えると、どこまで政府や東電も放射能の影響の拡がりをはかりかねているのではないだろうか)


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