a journal of sociology

社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

コントの『実証哲学講義』

2015年09月13日 | 読書
 コントの『実証哲学講義』の話です。ただし、申し訳ありませんが仏語原書について。ただし、Amazonのkindleで、無料です。

 前々回に、コントなどが使ったphysique socialeは、「社会物理学」という訳語を当てるよりも。「社会自然学」という訳語の方が的確ではないかという話をした(こちら)。

 実は、この主題、ある研究会で発表した内容の一部なのだが、その際にコントの『実証哲学講義』の出版事情(ただし、仏原書)が、話題になった。で、結論から言うと、仏でもコントの著作が「新刊」あるいは現行の本として継続的には出版されてはおらず(講義の一部が、抜き出されて新書版として公刊されてはいる)、大学図書館などに収められているものを利用するしかない話をした。

 が、Amazonのkindleでは、無料で、それが手に入ることを知ったのだった。

Cours de philosophie positive. (4/6) (French Edition)
クリエーター情報なし
メーカー情報なし


 正確に、この経過を言うと、仏の国立図書館のサイトで閲覧できるのではないか、という指摘を研究会でもらい、調べてみるとその通りだった(こちら)。それから、googleブックスでも、著作権が切れた版のものは、かなりの確率で無料で手に入れることができる。ただ、googleブックスは、閲覧、特にページのジャンプに時間が取られて、「実用」には適していない。

 ただし、この辺の評価は簡単ではなく、本当の意味で「本を読む」=「文章を読む」(1ページづつ進む)のであれば、問題はない。また、参照する箇所があらかじめ決まっていて、その原文なりを確認したいという使い方も可能であろう。つまりページ数を入力してそこにジャンプするというのは、余り問題がない。ただし問題は、ページをめくりながら全体像をつかむという読み方が、難しいこと。その点、kindleは、表示速度が快適なので、「まだまし」のレベルではある。

 ただし、この「全体像をつかむ」ということや、「所蔵しておくことに意味がある」といった類の本の扱い方は、電子書籍では難しいのが現状である。というのも、電子書籍はせいぜい数十センチの画面に、2ページしか表示させられないから。あっちこっちの本を同時的に開いたり、ある本をパラパラめくって好きなところを読むという読み方には適していないだろうと思われるから。

 無論、検索などは便利なので、その点では一長一短なのだろうが。

 ということを考えたのだが、今回一番にいたかったのは、コントの実証哲学の原書が、無料で(ただし、パソコンやタブレットでkindleを導入することが必要。それでも、クラウド型を使えばLINUXでも使用可能)手に入れられること。

 話が長くなって、申し訳ない。


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