「僕って何」は
第77回の芥川賞を受賞した
三田誠広の小説のタイトルです。
田舎から上京し
学園紛争真っ只中の大学に入学した僕が
いつの間にか学生運動のなかで
セクトの争いや内ゲバに巻き込まれ
さらには年上の女性と暮らすことになる
という当時の大学生の日常を描いた
青春小説です。
高校2年の頃、少なからず
学生運動に興味を持っていた頃でもあり
共感を覚えながら読み進めたことで
校内読書感想コンクールでは
賞を貰うことになりました。
暗い高校生活の中で
唯一といっても過言ではない
誇らしい思い出です。
▲マカランガ
さて話題は突然飛躍しますが
現在の心境で「僕」を見直した時に
感傷的な存在としての僕ではなく
実存的な本来の「僕」を考えてみると
植物の「マカランガ」がとてもユニークな
存在として捉えることができます。
植物と動物を同一直線で結ぶのには
少し無理がありますが
同じ地球上に存在している生命であることに
変わりはないという視点で考察してみました。
このマカランガですが
茎の中に「アリの巣」があります。
アリはこの巣の中で子どもを育て住むだけでなく
アリマキを育てそれらが出す甘い汁をエサにします。
つまり
マカランガの茎のなかで「栽培」を
しているというわけです。
そしてマカランガは
巣のなかで死んだアリを
栄養源にして生きています。
こういった持ちつ持たれつの関係を
共生関係
と言い、アリに住まいを供給して
共生関係を持っている植物のことを
アリ植物と言います。
特に厳しい環境に置かれている植物に多いようです。
▲マカランガの茎を輪切りにした画像
さらに
共生関係のあるアリそのものを
輪切りにして観察すると
そのほとんどは微生物で構成されていて
アリと呼べる組織は外側の皮の部分だけに
なってしまうそうです。
よくよく考えてみると
人間のカラダの内部には何兆という数の
微生物が存在しています。
微生物がいないと食べるものを
吸収することができません。
微生物が腸で吸収できる大きさにしたモノしか
人間の栄養源にはなりません。
つまり人間も微生物と
共生関係にあるということです。
わたしたちが日頃
食べているモノは
実は微生物の栄養源でもあるのです。
であるなら
わたしと思っている
このカラダの
「僕」は
いったいどこからどこまでが
「僕」なのでしょうか?
昨今の疫病騒動に於いては
ウイルスとの戦いと称して
様々な対策がなされていますが
人間の根本である遺伝情報の45%が
「ウイルス」や
「ウイルスのようなもの」で
構成されていることがわかっています。
ウイルスがいたからこそ
人間はここまで進化できたとも言えます。
であるなら
単なる病原体ではなくそこには
進化に関わる大きなメッセージが
込められているような気がします。
昨今の疫病禍は
「僕って何」
を知るための
大切な時間を与えられたと
思わざるをえません。