『春昼や 雨がなければ よいものを』
(しゅんちゅうや あめがなければ よいものを)
『若葉雨 義母の散歩に ちと辛し』
(わかばあめ ははのさんぽに ちとつらし)
『鶺鴒の 若葉青葉の 中を飛ぶ』
(せきれいの わかばあおばの なかをとぶ)
『ふらここの 錆を示すか 音軋む』
(ふらここの さびをしめすか おときしむ)
『雨雲に 逆らいて泥む 春の暮』
(あまぐもに さからいてなずむ はるのくれ)
『回転が 出前となりて 春の雨』
(かいてんが でまえとなりて はるのあめ)
『行く春や ほろ酔い気分 金の週』
(ゆくはるや ほろよいきぶん きんのしゅう)
『葉桜の 下を潜りて 出勤す』
(はざくらの したをくぐりて しゅっきんす)
『この四月 吾子の来ざりて 永かりき』
(このしがつ あこのこざりて ながかりき)
『世襲の子 人情知らず 春朧』
(せしゅうのこ にんじょうしらず はるおぼろ)