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勧請縄は村の境などに吊るし、魔除けの呪具などを用いて村内に悪いものが入らないようにする民俗信仰で、滋賀県の湖東・湖南地方に多く見られます。
滋賀県内に161の勧請縄が確認されているといいますが、既に中断されたり行事が廃止されている集落も多く、失われつつある行事となってきています。
伊庭町の「大濱神社」の勧請縄は何度か見てはいますが、旧能登川町で昨年探したけど見つからなかった勧請縄を求めて周辺を散策してみました。
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大濱神社の前に吊るされた勧請縄は典型的な道切りとなっており、大濱神社の境内社の愛宕神社の横で道を横切っている。
ここは集落の境という訳ではないようだが、集落の東の端に近いところにあるので村の入口辺りという言い方が出来ます。
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主縄の先端は両方とも同じ形をした頭となっており、中央のトリクグラズを挟んで左右に12本づつ紙垂とヒノキの枝を付けた小縄が中央寄りに下げられる。
また小縄はトリクグラズの下にも3本下げられ、主縄の上には小幣が3本挿されている。
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トリクグラズは大きな丸型に三本井桁が割竹で組まれ、ヒノキの枝葉が巻き付けられている。
是より先、悪しきもの厳禁とでも訴えかけるような意思を感じる勧請縄です。
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ところで、大濱神社に参拝すると境内の仁王堂の前に藁を満載した軽トラが何台か停まり、仁王堂の中に積み上げられた藁を何人もの人が加工されている様子が目に入る。
とても気になったので“何の準備ですか?”と聞くと、“祭の準備。”とだけ教えて頂けた。
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何の祭りかは分かりませんでしたが、この仁王堂は繖山の中腹にある繖峰三神社から麓まで神輿を引きずり落とす奇祭「伊庭の坂下し」の神輿が収められている場所です。
「伊庭の坂下し」は5月4日に行われる祭で、3ヶ月以上前から準備されているのかと想像しましたが、尋常ではない藁の量に驚かされました。
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「大濱神社」の横にある「伊庭高木観音」では観音堂の前に勧請縄が吊るされているが、葉は既に枯れてしまっている。
不思議なのはトリクグラズの枝葉は枯れているものの、小縄の紙垂や小幣や紙垂は新しいものに見えるので、全てが昨年から吊るされているのではないようです。
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トリクグラズは丸に格子となっているがこの枝葉はいつ付けられたものなのだろう。過去に撮った写真を見てもトリクグラズの枝葉は枯れていて紙垂は新しいのでこれで通常なのかもしれない。
主縄に小縄はなく、トリクグラズにだけ小縄が6本下げられて、隣にある大濱神社の道切りと似ている部分がある。
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高木観音と小川を挟んだ横にある「薬師堂」の門には勧請縄を呼んでも差し支えのない縄が吊るされています。
太く編み込まれた主縄の下には紙垂とヒノキらしき枝葉が吊るされ、主縄の上には御幣が3本挿し込まれています。
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興味深いのは御幣の紙の細工が細かく、紙が幾重にも織り込まれています。
薬師堂の薬師如来は聖徳太子御彫刻の像と伝わり、ここにも聖徳太子の伝承が息づいていますが、勧請縄には御幣があり神道の色合いがある。
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薬師堂でもうひとつ驚いたのは、境内に入ると御堂の前に勧請縄に下げるような枝葉が置かれていたことです。
これは何かの準備なのでしょうか。それともこういうお祀り方をされているのでしょうか。
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滋賀県とはいえあちこちを巡っていると興味深いものに出会うことが多々ありますが、今町の「天満神社」の鳥居に下げられていた注連縄も関心をひきました。
両方の頭がやたらと立派になっていて、下がりが3本。紙垂がその間に2本下がっていますので注連縄になりますが、迫力を感じる注連縄です。
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頭は片方はきっちり収まっていますが、片方は長さを調整されたのでしょう。はみ出した部分があり手作り感がある。
とはいえ、変に整っていないのが逆に個性的に見える所以なのかと思います。
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旧能登川町には後ヶ所ほど勧請縄が吊るされている場所がありますので、そちらへ向かって見ます。
1カ所は昨年探し回って見つからなかった勧請縄ですが、今年は見つけられるでしょうか?...続く。
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