僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

御朱印蒐集~福井県 高浜町 青葉山 中山寺~

2018-07-03 18:30:30 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 西国三十三所29番札所の「松尾寺」は山号を「青葉山」といいますが、同じ青葉山の山号を持つ寺院に中山寺があります。
青葉山は京都府舞鶴市と福井県高浜町にまたがる山で、福井県側から見える山容が富士山に似ていることから、若狭富士とも呼ばれます。

青葉山は双耳峰の山であり、西峰(692m)の中腹には松尾寺、東峰(693m)の中腹には「中山寺」が建てられています。
県境の山を境に2つの寺院が建てられているのは、この山が古来より修験道の修行場だったことも影響していると思われ、いづれの寺院にも古刹感が溢れています。



中山寺への道中は、棚田が連なる日本の原風景といえる景色が続く道を進むことになります。
海抜83mの地点にある寺院駐車場からは日本海を望むことができ、海岸線に沿って高浜の集落が広がる様子が分かります。



寺院の縁起は736年に聖武天皇の勅願により、泰澄大師が創建したと伝えられています。
創建当時は「社家・阿弥陀・観音」の三尊を安置していたとされますが、鎌倉時代に馬頭観音坐像を本尊として再建されたとされます。



仁王門には像高9尺といわれる「金剛力士像(鎌倉期)」2躰が安置されており、その筋肉質の上半身に迫力を感じるものの、仁王様とは格子入りのガラスと木の格子越しにしか対面出来ないのが残念なところです。
この金剛力士像は国の重要文化財の指定を受けていますから、文化財保存のためというのは止むを得ないのでしょう。

寺院の方の話によると金剛力士像2躰は、ロンドンの大英博物館で開催された「鎌倉時代の仏像展」に貸出しされて一般公開されたことがあるそうです。
またこの金剛力士像は仏師・湛慶(運慶の嫡男)が彫ったものといわれており、力感はまさに鎌倉仏の良さが感じられる仏像だと思います。





緑に包まれた短い石段を登ると、そこからが本堂の建つ境内となります。
冬の寒々とした空気の中で寺院を訪れる時の引き締まった気分もいいですが、美しい緑を眺めながらの参拝も何とも言えない心地よさがある。



鐘楼は近年改築されたのか、四脚部を除いては真新しい木材が使われています。
梵鐘は撞けなかったため響きは分かりませんが、新たに鋳造されたものではなさそうでした。





本堂にお参りする前に書院へ拝観料と御朱印をお願いに行くと、“本堂の案内はどうしましょう?”と言われましたのでお願いを致しました。
“でも、慣れてないので紙を読むだけですけど...”。もちろんお願いしましたよ。

案内されて中に入った本堂は五間四面の室町時代前期に建立され、重要文化財に指定されている建築物となります。
昭和40年に解体修理が行われ、平成19年には桧皮葺が葺き替えられたそうです。



本堂の内部では外陣・内陣を自由に見ることができますが、御本尊の馬頭観音菩薩は秘仏のため拝観は出来ません。
厨子の前には1798年に彫られたというお前立ちの「馬頭観音菩薩坐像」が安置されており、間近での拝観が叶います。

馬頭観音菩薩を安置した厨子の左側には「毘沙門天立像(鎌倉期)」、右側には「不動明王立像(南北朝期、鎌倉期両方記載あり)」が安置されていて、密教的な雰囲気が漂います。
中山寺は真言宗御室派の寺院で、総本山を京都・仁和寺としますから真言密教の一派の寺院となりますので密教色が濃いのも当然ですけどね。



一通りの説明を聞いて本堂を出て境内を歩いていると、寺院の説明書きと一緒に仏像の写真がありましたので写真を撮らせてもらいました。
格子ガラス越しにしか見えなかった金剛力士像の正面からの姿を見ると、改めて上半身の筋肉に力感を感じます。
しかし、この金剛力士像の凄いところは、仁王門で横から見た時の迫力(奥行)だと思います。



秘仏の馬頭観音菩薩坐像(鎌倉期・重文)は金剛力士像と同じく湛慶の作とされ、三面八臂で尊顔には憤怒の表情が見られます。
今年の1~3月頃にあった東京国立博物館での特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」展にも展示されたとおっしゃっていましたが、仏像は東京の方に集まって観る機会が多いのか?と少し僻みが出てしまいますね。





ところで、青葉山の東西にある松尾寺(舞鶴)と中山寺(高浜)は両寺院ともに馬頭観音を御本尊としています。
青葉山一帯には馬頭観音の信仰が集まる何かがあるのかと大変不思議な思いがあります。
若狭観音と呼ばれる青葉山を福井県側から見ると確かに富士と名が付いてもおかしくない山容をしています。



京都府側から青葉山を見ると、双耳峰の山であることがよく分かり、2つのピークが見られます。
写真左の西峰中腹には松尾寺、東峰中腹には中山寺。
古来よりこの地の人々は霊山として信仰してきたのでしょうね。



馬頭観音菩薩は観世音菩薩の化身で六観音の一つであり、人間の持つ悪業障を砕き、また災難を除くとされます。
また、“水難から逃れる、外敵を防ぐ”などの信仰であったり、修験道や密教系の呪術の信仰からの影響があるなどの緒説があるそうです。


コメント
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