僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

御朱印蒐集~近江八幡市 姨倚耶山 伊崎寺~

2016-08-13 17:25:25 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 伊崎寺は毎年8月1日に行われる『伊崎の棹飛び』という行事が有名で、TVのニュースや新聞の滋賀版などで見たことのある方は多いかと思います。
棹飛びは、琵琶湖の絶壁から突き出た高さ7mの棹から琵琶湖へ修行僧が飛び込む「捨身(しゃしん)の行」といわれる行事で、1000年近く続いてきたといわれています。

衆生(しゅじょう)救済などのために、自分の身を捨てることを仏教では捨身といい、他者救済・多くの人々の願いのために自らを犠牲にして飛び込む修行だそうです。
また一度身を投げて我が身を捨てた後に陸地に帰る、すなわち生まれ変わる「再生」の意味合いもある行ともいわれています。



開基は、奈良時代に修験道の開祖とされる役小角(役行者)がイノシシに導かれこの地を行場として開いたことが始まりと伝えられています。
寺院としては、貞観年間(859〜876年)に相応(そうおう)和尚が創建し、自作の不動明王を安置したとされています。
相応和尚は、比叡山千日回峰行の祖とも天台修験の開祖ともいわれている平安時代前期の僧で、「建立大師(こんりゅうだいし)」という大師号が宣下されています。



参道の入り口に門がありますが、門には『比叡山 延暦寺 支院』、『回峰行 別願道場』と書かれてあり、比叡山延暦寺との継がりが深い寺院で、ご本尊は不動明王が祀られています。
距離にして1㌔程度の道を行くのですが、歩いている時は距離感が分からなかったこともあり、とても長い道のりに感じる。
歩けどもなかなかお寺が見えてきませんので、周囲から聞こえてくるヒグラシの大合唱の心地よさを頼りに歩いていくことになりました。



参道の途中に見えてきたのは、通称「出迎不動(でむかえふどう)」と呼ばれている巨石です。
岩の上には役行者(別称:神変大菩薩)を祀った祠が祀られています。



しばらく巨石を見ていると何やら顔のようなものが見えてしまいます。
“これは不動明王の顔か?”と現地で思い込んでしまったのですが、思い込みが激しすぎたかもしれませんね。



本堂が見えてきましたが、ちょうどこの日は千日会の棹飛びの前々日でしたから、お寺の方は準備に忙しそうにされていました。
しかし本尊にお参りしている時にはわざわざロウソクの火を灯しにきていただいたり、お声をかけていただいたりと丁寧な対応をしていただき嬉しく感じます。



伊崎寺は、比叡山で千日回峰行を満行した阿闍梨が伊崎寺の住職を勤められるということで、天台修験との関わりの深さが伺えます。
また伊崎寺は、比叡山無動寺、葛川明王院(大津市)と並び天台修験の三大聖地ともされている由緒があるそうです。



さて、『棹飛び』の舞台となる棹飛堂は非常に面白いお堂になっています。
写真では分かりにくいのですが、お堂の山側方向に巨石が棹飛堂の内部にまでくい込んでいます。
お堂は巨石の一部が祭壇の位置になるように建築されており、この巨岩を本尊(不動明王)として祀られてありました。



お堂の下は絶景の琵琶湖が広がっています。
棹は想像以上に細く、また位置が高く、棹の先端までの距離もあります。(長さ13m、高さ7m)
棹の先端まで歩いて行って、この高さから琵琶湖へ飛び込むのですから、修験道の荒行といえると思います。





伊崎寺の周辺の大中地区は戦後に干拓されて農地になるまでは琵琶湖で最大規模の内湖だったため、かつて伊崎寺へは舟でお参りされる方が多かったようです。
琵琶湖から舟をつけて本堂の方へ昇る石段があり、参拝者を迎える山門が残されていますので、昔の信仰のたたずまいを感じることが出来ます。



人の生活の息吹は感じられるものの、近代の人の手があまり入っていない自然豊かな場所で見る琵琶湖は本当に美しいと思います。
山門の下の琵琶湖ではヨットでやってきて湖水浴をしている家族の姿もあり、とても穏やかな気持ちになりました。



この伊崎寺のすぐ目の前(1.5㌔)には琵琶湖で一番大きい沖島があります。(左の岸壁の裏にあり、この位置からは見えない。)
沖島は日本で唯一の「淡水湖に浮かぶ有人島」ですが、あまりにも近くに見えるので地続きの半島に思えてしまいましたよ。


コメント
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