超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

お花見談議

2016-04-07 19:31:04 | 旅行お出かけ
3月の連休くらいから桜が咲きはじめ、4月に入ると全国的に満開のオンパレードとなった。テレビニュースでは上野公園や目黒川、千鳥ヶ淵など「桜の名所」が取材され、某SNSでも多くの人が「これでもか」と桜の名所で花見を楽しんでいるところを投稿していた。どれも羨ましい限りの圧巻シーンばかりだった。日本全国至るところで桜が咲き誇るこの時期、私はむろん嫌いではないが、どうにもそわそわして落ち着かない。知人が次々と見事な写真で「名所リポート」するのに、何となく出遅れ感を感じ、しかもタイミングよく「花見」をしないと、ものすごい損をした気分と「満開の桜に申し訳ない」罪悪感がよぎってしまうのである。ところが職場の連中やお友達ともいくつか予定をたてても、絶好の花見日和になるとは限らない。息子ほどではないが私の晴れパワーはかなりのレベルだと思うのだが、どういうわけかこと「花見」に関してだけ言うと、あまり相性がよろしくないようだ。やたらに寒かったり、前日に大雨が降って大半が散ってしまったり・・・先日の「桜まつりラン」は中々思うように正規な「花見」ができない経験から、今シーズンの「苦肉の策」だったのだが、花見ランはともかく、その後は前後の日和からは恨めしくなるほど寒い1日で、正直「満開の桜」を楽しむどころではなかった。「ただ花見するだけでは『ひねり』がなくてつまらぬ」とうそぶいたのだが・・・

毎年これに似たことが起きるので、今年はどこか「桜の名所」を訪れる機会がある度になるべくその風景を写真に残し「数で勝負」作戦をとった。一番最初は北関東の「新お出掛けチーム」が移動中に立ち寄ってくれた幸手市の「権現堂公園」である。埼玉と茨城の県境に近い位置にあり、むろん連れて行ってもらうまで、名前すら知らなかった。少しだけ時期が早かったようだが、河川敷にある1000本からのソメイヨシノが満開になるとそれはすごい迫力の「トンネル」となるそうだ。また絨毯のようにびっしり咲きまくっている菜の花とのコントラストが見たことがないほど素晴らしい情景だった。彼らによると埼玉ではたぶん一番人気の花見スポットということだ。

    

しかし人が集まるような何百何千本と桜のある名所以外でも、至るところに見事な桜はあるものである。年老いた母もどこか桜を見に連れて行こうかと思ったが、私以上に合理的なものの考え方をする彼女は「桜なんてどこにでもあるじゃない」と人がやたらに集まる「名所」などにはあまり興味を示さなかった。お友達と茅ケ崎にある「里山公園」に見に行ったそうだが、まだ蕾ばかりで満開にはほど遠かったようだ。自家用車を使用すると「花見」で酒を飲むわけにもいかないので、「見に行くだけ」の場所を色々考えて、私は以前から「ちょっとハードル高そうだけど一度行っておきたいよな」という場所を考え付いた。小田原の入生田にある長興山紹太寺の「枝垂桜」である。元々は結婚当初くらいに義母から「ちょうこうざんの桜は素晴らしい」と言われたのをずーっと覚えていたのだ。ただし「車は入ることができず、20分くらい山道を登る」と言われたのも覚えていて、老母が行けるかどうか心配だったのだ。また地元ではかなり有名な名所らしく、わずか10日前後の見頃シーズンに最寄の駐車場に行けるかも定かではなかった。

ただホームページで調べると一本の巨大な枝垂れ桜も年々樹勢が衰えて枝の先端が枯れて折れてしまい、以前のような雄大な満開の姿も小さくなってきているという。母親に20分くらい登れるか尋ねたら、階段でも手すりがあればたぶん大丈夫だが、下りが少し怖いという。数年前からスポーツジムに通い始め、足腰の衰えもあるが歩くのは平気そうだったから、最悪手を引いてやるつもりで桜マラソンの翌日に朝から出かけることにしたのだ。(実は前日のマラソンの影響で私の方がしんどい思いをすることになる。)多少運動になっても帰りにいつもの竜泉寺で汗を流せばよいと思った。地図で調べるとルートはすこぶる簡単である。馬入川河口を渡った先がオール2車線化されすこぶる走りやすくなった134号から西湘バイパスをぶっ飛ばし、早川から箱根旧道に向かえばよい。ただどうやら長興山紹太寺自体はだいぶ手前にあり、ハイキングコースにもなっている寺の敷地の山の上に桜の木があるらしい。我々の朝は早く、到着したのは午前9時過ぎだったが、さすが見頃がわずかしかないこともあり、お寺の臨時駐車場は結構埋まっていた。私は一番、上り口の近いところに赤いライオン号を停めた。普段は料金など取らぬらしいのだが、この時期だけ1000円の駐車料金がかかる。別に営利目的ではなく、これを樹勢回復の元手にしたいということだから快く支払えることだ。

目の前に参道のような古い石段が見えたが、先日の座間桜ランの登り坂のようにてっぺんが見えないくらい手強そうな階段だ。手すりがないので、バランスの不安な母親は登ることはできても下りが恐ろしいだろう。横に自動車用のアスファルト道路があったので、係りの人に「こっち側登っても桜の木に行けますか?」と尋ねるとアルバイト君がちょっと首を傾げながら「行けますよ。同じくらい歩きますけど」道路の方が安全そうなので、ゆっくり登り始めた。時折山の中腹にあるという福祉施設を往復する車両が上ってきたり、桜を眺めてきた観光客が下りてきたりする。しばらく歩いて下を降り返るとかなりな坂道であることが分かったが、マラソンのように走るのは無理でもゆっくりなら登っていけそうだった。私でも「急だよな」と思うような坂道を15分ほど歩き上ると前方に大きなピンク色の一本桜が見えてきた。あれが噂に聞いた「しだれ桜か・・・」手前に夏みかん(凸ポンもあったらしい)が実って不思議なアクセントを出している。主役の大きな桜が中央に1本あり、すぐ横にも少し小さめのしだれ桜が満開を迎えていた。そしてハイキングコースをさらに少し登るとまた一本、しだれ桜が見える。中腹に立つ巨木の周辺は立入られなくなっており、見物できるように小さなスペースに椅子とテーブルが並んでいて、たぶん1年でこの時期しか開店しない小さなカウンターが飲み物やちょっとした甘味などを売っていた。

      

青空だったら素晴らしいコントラストだが、豪快な咲きぶりは十分に楽しむことができた。最近超兵器203号の調子が悪いのか、腕が元々悪いのか、風景がイマイチ綺麗に撮れないような気がする。常連と思われるおじさんが「昔はこの2倍の大きさはあったんだけど、ずいぶん枯れて枝が折れちゃってねえ・・・」確かにここ数年でだいぶ樹勢が衰えてしまったとニュースで聞いた。てっぺん付近や横に広がる太い枝も末端まで支えられず途切れてしまっているようにも見える。先日、ニュースで有名な目黒川沿いの桜の木も「老化」が激しく、倒れると危険なので行政がやむなく切り倒してしまい、桜を好む住民と揉めたりしているということだった。一説だとソメイヨシノの寿命は約60年と言われ、戦後の復興期に多数植えられた桜の木が寿命を迎えつつある、ということも言われているようだ。しかしながら長興山紹太寺の「しだれ桜」は何と推定樹齢330年!(種類は違うかもしれないが)義母が「素晴らしい!」と感じたのは推定30年前くらいだから、ぜひ樹勢を取り戻してほしいものだ。何百本の桜のトンネルも圧巻だが、人間は起きて半畳寝て一畳、花見をするなら私は一本しかない立派な桜の元という方がどちらかというと好きなほうだ。

          

今年は桜ラン会としてしまったが、我が家から歩いて行ける緑化公園に結構見事な桜の広場があり、お友達家族らと何度か「花見会」を催した。やはり休みのタイミングや咲き具合などにより、毎年盛大にできるわけではない。今回は花見客で賑わう公園内を散歩がてら歩き回り、桜の花に群がる野鳥を追い求めてみた。桜の枝から枝に花(の蜜?)を求めて飛び回る小鳥を写し出すのはすごく難しいもので気が付いたら1時間も同じ木の下でシャッターを押し続けていた。超兵器203号の調子がイマイチというのもあるが、望遠レンズでAF(オートフォーカス)モードでレンズを向けると桜の枝と花にかなりの奥行があるために、ピタリと小鳥にピントがあってくれないのである。ただでさえちょろちょろと動き回る野鳥を連続シャッターで追いかけても中々被写体を捉えられず苦戦した。実は咲き始めと満開時に2回訪れているのだが、最初のうちはメジロやシジュウカラ?、満開になるとヒヨドリが幅を利かしているようだった。

            

「数で勝負」と言っても、結局3ヶ所しか紹介できなかったが、散歩していると近所の家にも大層立派な桜の木(ライトアップもしている)があったり、ちょっとした公園や河川敷にも満開の桜が見られる。一気に咲いて一気に散る儚さと潔さが武士道を尊ぶ日本人の好みとなるのだろうか、この時期になると母の言うように「どこにでもある」から、わざわざ人の集まる「名所」に足を運ばなくとも色々と楽しめる。今日は1日雨風だったから結構散ってしまっただろうか?色んな人が「穴場」を紹介してくれ「あそこはすごいよ」と自慢げだが、誰も何となく「行きつけの桜」というのはあるようで、皆それぞれの楽しみ方で「今年の桜」を味わったことだろう。


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