超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

ついでに支笏湖を回る

2016-10-26 21:28:41 | 旅行お出かけ
前日は意見交換会が主だったが、北の国の2日目はこちら側からのプレゼンからだった。今年度の後半戦、どんなことを重要視して事業を営むかなどをカラフルなグラフなどを交えて説明する。シン・ゴジラの1シーンのように円卓上のぱぱぱーっとペーパ資料を放り投げるとカッコいいのだが、(実は今どきあんなに紙を使うのは役所くらいで)エコを全面に出している我が社では会議に紙を配るのは御法度なのだ。役目上、プレゼンターは私なのだが、東京から御一行でやってきた連中は何も手伝ってくれない。しかも「せっかくだから何かしゃべって」と講話のようなものまで頼まれ、午前中めいっぱい「独演会」のようになってしまった。これを予想したので前夜はあまりスパークしなかったのだが、全く人使いの荒いスタッフである。形上はスタッフたちに我が方の事業計画を理解してもらうために行うプレゼンだが、同じことを繰り返し語っているうちに反復効果で普段は何とも頭に入ってこない個々の事案が自分にも自然に身に付くものだ。(普段ぼーっとしているから結構これが大事)

後半はビジネススクールで習ったことで唯一役に立っている「フレームワーク」を使って、平面的に見える計画をどう達成するか「立体化」(と彼らは言っている)し、いつものように「見える化」「見てる化」「見せる化」の推進を強調した。最後は以前このサイトでも紹介した脳科学の本からのパクった「スワヒリ語記憶試験」の話で「脳はアウトプットを続けることによってパフォーマンスを向上する」として、思い付いたアイディアは「試にやってみる」「ついでにやってみる」「せっかくだからやってみる」という風土を作ろうなどとかます。最後は皆も参加で「脳の錯覚」を実感してもらい、「こういう思わぬ盲点を示すことがある」からヒューマンエラーを減らし品質を高めることが肝心だと仕事上は言うのだが、考えてみればコンピューターにはない、愛らしい側面でありホスピタリティをもって受容した方が、結局よいことが多いんじゃないか、みたいな取り留めもない話で締めくくった。「せっかくだから・・・」と言いながら内心では「(こんなこと言ってるから、余計な話をさせられるんだよな)」と苦笑していた。

2時間余りのプレゼンと多少の質疑応答を終わり、席に戻ってメールを見ると、「入社以来の職務経歴を今日中に出せ」といういかにも唐突な指令が来ていた。何かついこの前まではすらすら書けたのに、10数回異動してきたりすると順番は覚えていても、時期までは思い出せなくなる。指折り年数を遡ってようやく現職に辿り着いたが、どこで見落としてしまったのか平成26年になってしまう・・・もうじき外出しなければならない時間だというのに。。。最近水素水にハマっているという優秀なスタッフ「ドグ(仮称)」が気を利かせて総務係と掛け合ってくれ、期限を翌日まで延ばしてくれた。どうも先方は元々私が持っているものと思ったらしいのである。途中まで作成し直した業務経歴書を改めて眺めると「開店記念」や「閉店記念」のセクションがやたらに多い。元々組織自体が変遷を繰り返しているので、安定はしていないのだが、それにしても「始め」と「終わり」が多いのは、我ながら手腕というよりは「動じない」性格を買われたような気もする。

少し出発予定よりも遅く、8人乗りのレンタカーに乗り込んだ。車で市街地を抜け出すのは初めての経験だった。苫小牧経由で、トラブルで停止していた作業を再開した施設を見学しそのまま空港に向かうルートだった。3年間勤務していたというカイさん(仮称)が案内役で、何やら海鮮モノの店に連れて行ってくれるようだった。100km以上走って昼休み過ぎに着いたのは地元の人が集うという何の変哲もない食堂だった。店内はガラガラでドグは早速トイレを借りに入った。ところが聞くと海鮮物はすでに売り切れてほとんどメニューがないというのである。次に行ったところもまさかの売り切れ・・・3軒目はホッキカレーで有名な食堂のようだったが、5人グループが最後に入ったばかりで「皆さん席につかれたばかりなので、40分以上お待ちいただくことに・・・」店員の申し訳なさそうな顔に、カイさんは「お薦め処は全滅です」と残念そうだった。「だったら●っ平行こうよ。御朱印状のKさんが言ってたじゃん」店は割と近くにあり、この街の名産であるホッキと海鮮とはあまり関係ないが、イカとエビとヒレカツの定食はどれもサクサクで柔らかくさすが地元Kさんのお勧めらしい美味だった。

      

さて施設見学の後、少しだけ時間があるので空港までの道のりで「支笏湖」に寄ってもらえることになった。苫小牧からのルートには樽前山という活火山があり今も白い噴煙を上げているそうだ。北海道は既に紅葉の時期となっており、道路の傍らには見事に赤やオレンジに染まった葉が見られた。沿道だけに紅葉する樹木が植えられ、その向こうに広がる平坦な森林は針葉樹ばかりだったので、少し不思議な光景だった。数十キロ走って車は湖畔に到着した。北国の日没は早く日が傾きかけていたが、遠くに噴煙を上げる樽前山も眺められ、初めて見る北の国の美しい自然だった。駐車場から湖畔への歩道を歩くと(写真には写らないが)綿の破片のような小さな虫がたくさん漂っている。カイさんによるとこれは「雪虫」という雪が降る季節の到来を告げる虫だそうだ。結構大量に舞っており、油断すると口や鼻に吸い込んでしまうほどだ。湖面に白い模様を作っているのはこの虫たちの死骸でこれを食べに来るのか、魚が動くのまで見える。どうもヒメマスの群れらしい。

          

この辺りは支笏洞爺国立公園、洞爺湖はサミットも開催されたし、ウィンザーホテルやレストラン「ミシェル・プラス」で有名となり、支笏湖は今一つマイナーな雰囲気があったが、環境省の湖沼水質調査で日本一にもなり、透明度の高さは摩周湖にも匹敵し、深さは日本2位だそうだ。正面に見えるのは恵庭岳、少しだけ紅葉しているように見えるのはモラップ山である。再び湖畔に沿った道路を走ってもらうとものすごい雪虫で、ホントに雪が舞ってフロントガラスに当たっていくように見える。正面の雄大な尾根は風不死岳(ふっぷしだけ)というそうだ。「ついでにやってみる」と言い続けてきた恩恵のようなものだが、やはり北の国の自然は素晴らしい。年明けの集合会議は「函館で」という動きがある。わずかな時間しか余裕はないだろうが、「せっかくだから」精神を発揮し、はるばる見聞を広めたいものだ。

          


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (小夏)
2016-11-01 09:51:24
読めば読むほど奥深さを感じます!一見お気楽に聞こえるタイトルの「ついでの支笏湖」も実は見てみなきゃはじまりませんものね!
「始め」と「終わり」、確かにそうでいらっしゃったような。。これは手腕とご性格両方だと思いますよ~^^

何度もご出張があると伺いましたが車で市街地を抜け出すのは初めてでいらっしゃいましたか!?(ほんと?)
苫小牧辺りも、えぇでしょう~うんうん^^私どもも漁港前食堂(同じとこですよね)の決して洒落ていない雰囲気に一瞬ひきましたがまたとない思い出になっています!いつか行かれましたら「ほっき貝焼売」売っていたら絶対にお土産にお求めくださいませね。奥さまと坊ちゃんに是非召し上がっていただきたいですー☆
あぁ、私もフライのお店でむしゃむしゃ味わいたいです!!

何とも言えない大きく静かなお山や自然の風景,素敵ですねー!
函館もいいですねー。
少しの時間でも是非「ついでに」足を延ばしてたくさんご体験くださいまし^^
返信する
Unknown (磯辺太郎)
2016-11-02 09:43:32
小夏さま

一応仕事なので(旅行おでかけジャンルにしたのはまずい?!)すが、そのまんまお
気楽なものです。中々訪れる機会のない場所なので新鮮でした。

これまでホントに職務的に市街地を抜け出したことは無かったんですが、これからは
何かにつけて大好きな現場を訪れる機会もありそうです。師匠も漁港前食堂にいらし
たのですね。洒落てはいませんが、結構グルメ雑誌などで有名なようで、いかにも
(我々もそうでしたが)観光客のようなグループが列をなしていました。時間の関係
で残念ながら入れませんでしたが、ほっき貝焼インプットしました。我が家は皆貝好
きなので、喜んでむしゃぶりつくと思います。
フライの店、ボリュームがすごかったです。そうそう、むしゃむしゃ食べるのが相応
しいスタイルの、地元の人が薦めるアットホームでローカルなお店でした。

支笏湖周辺の山々、「大きく静かな山」さすが師匠の感性、全くその通りの風景でし
た。
函館行はぜひ実現したいですねー。「ついで」がいつの間にかメインになってしまい
そうです。
返信する

コメントを投稿