超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

ラスト・トランスファー?!

2016-07-09 09:25:18 | 職場
今月より勤務する会社が変わった。と言っても我が企業グループ内では普通の「異動」という位置づけのようだ。2年間勤務した前職はいわゆる一線を引退した会社OBが主体で運営する会社で、大先輩に囲まれポツネンと座っているような状態であり、たまに新お出かけトリオと現場や施設を訪問する以外にはぶっちゃけ退屈なところだった。先輩の手前「つまんねえ」と文句言うわけにもいかず、展示会やらセミナーやら自ら情報収集に走ることも結構あった。仕事はビシッと決めてくれるが、還暦を迎える人も少なくない同僚たちは仕事帰りに「ちょっと一杯」といっても夏場は明るいうちに家路についてしまう極めて健康的なスローライフだ。サーフィンやビーチバレーなど話題になることもなく、ウルトラシリーズも10歳異なるとちょっと辛い・・・わずかにマラソンについては果敢にもフルマラソンも出場する猛者がいらして、「ボク、2時間くらいは走り続けることを身体が理解してるんですけど、例えば30キロ過ぎとか身体に何が起きるか分からない未知の領域ってありますよねえ・・・」なーんて会話が成り立ち、あと世間話に登場するのは「ゴルフ」と「病気自慢」ばかりである・・・

そんな職場に2年もいると、自分もスローライフに浸りきってしまい、季節になると「オレもどこか異動になるかな」なんてことにはあまり興味がなくなってしまい、「手続きのために辞任届出して」と言われてもぼーっとして「じゃー、どこへ転勤になるの?」と然るべき筋にリサーチせずに放ったらかしていた。知人が気を利かして囁いてくれなかったら、発令日まで「どこに移動するのか知らない」という迂闊さである。台場など本家で使用していた最新のOAや分刻みの管理機能を持つ事務処理システムなどなく、昔ながらの厚紙による勤務管理や手書きサインなどタイムスリップしたかのような「古き良き職場」も悪くない。会社が社員に行わせる義務となったストレスチェックで「自分のペースで仕事を進められる?」という問いには間違いなく「全くそうだ」とマークできるこの職場に「もうしばらくいてもいいかなー」なんて思い始めていたが、会社とは意地悪なもので、そう思ったとたんに「異動」である。

「皆さん、2年間お世話になりました。隅っこでPCばかり睨んでいるか、どこかに出かけているか『何をしてるのか分からない人』に見えたかもしれませんが、これまであまりできなかったことを少しづつ充放電してきた期間でした。この会社はやはり『現場が主体』の会社なので、席に座ってばかりで『床ずれ』しないように40以上もある拠点にできるだけ足を運びましたが、数か所残ってしまったのが残念です。現場にお邪魔すると我が社の社員や派遣の方、協力会社の人が一体となって責任をもって活き活きと仕事をしており、『やっぱり現場っていいよなあ』と改めて思いました。『ここは本社であって我々は現場によって食べさせてもらっている』と言った幹部もいましたが、大きな目で見れば我が社そのものが巨大な現場の塊であり、皆さんも『現場を元気にするための現場」です。妙な隔たりを意識しないで、昨日よりも今日、今日よりも明日に少しでも物事を改善しようとする「現場魂」を持ち続けてほしいと思います。異動先の職務から考えるに、ぶっちゃけ仕事でご一緒することはないかもしれません。しかしこれまで10数回異動した経験から言うと、一度職場をご一緒した方々とは、あ、全部じゃないですよ、意外なところで再会することが間違いなくあります。この中のどなたかにどこかで『相変わらず黒いですね』と声をかけてもらえるシーンを楽しみにしています。皆様の益々の活躍とご多幸を祈念します。これまでありがとうございました。」

正式に本人、他人が知るところになると、「磯辺さんが来られると聞いたんですが」と電話をくれた人がいた。グンマ勤務時代にお隣県の言わば番頭をしていた「しみこーさん」(仮称)である。同じ県に自宅があり、当時は単身赴任していたが、息子甘辛よりも一、二歳年長のお子さんはサッカーの名門コースを進んでおり、少年サッカーについてよく話が合った。今度異動する先は仕事の分担や組織形態をかなり見直した新体制の元にできた新たなセクションのようだ。時代や市場の変遷、自社の台所事情に合わせて組織編制を変えていくことは「カイシャの常」だが、それにしても四半世紀に渡ってこの企業グループで10数回異動した中で、後半はできたてホヤホヤの新設ポストの「ポトン」と落とされるような転勤がやけに多い。先々のことよりも、着陸直後にとりあえず目の前の埃を払い、ルールもはっきりしない中、何となく感でどうにか操業を始める、というのは前回取り上げた「女性脳」が得意とするところであろう。(そもそも組織編制と役割分担をいちいち定義し直してやらないと、仕事の仕方を変えられないのは先の著書によれば「男性脳型」である)

「みなさんおはようございます。7月●日に新生○○○にやってまいりました、磯辺です。どうかよろしくお願いします。・・・今回の新体制発足の要諦は・・・・・・ぐらいの理解でよいと思われます。ぶっちゃけ、前職ではあんまり関係ないと思ってちゃんと聞いていなかったんですが。・・・その中で我らがセクションですが、ファーストインプレッションだけ申し上げると「シンプリファイ」、何事も分かりやすくクリアでエンジニアの知恵と工夫をとことんまで発揮しやすい構造だなと感じました。組織やルールを新しく設計する者は、船の航海で言えば羅針盤と海図で行先までのルートを考える役割で、目的地までの道のりや船の大きさ、乗組員数などには無限のパターンがあってブレが大きいものです。また気象予報や所要時間などはその時の状況に合わせコロコロ変える必要が出てきます。だからかの人たち(経営者が近いかな)は「変化」とか「変革」とよく叫ぶのです。しかし船を操縦する者は目の前の波を越える術にそんなパターンがあるわけではありませんから、傾向でいうと変化を好みません。(現場ということですね)人にもよりますが、机の上で地図とコンパスで航海プランを書き直してばかりいるよりも、実際に大海原で荒波をかき分けて進む方がスリルがあって面白いと私は思っています。知恵や工夫を発揮しやすいとはそういうことです。

さて総勢数○名の乗組員の船を無事に荷駄ともに目的地に到達させるために心掛けたいことが3つあります。(前職でも言ってきたんですけどね)一つ目は『見える化』です。これはエンジニアであればどなたもお分かりでしょう。今どこまで進んでいるか、どこまで出来上がっているか、どこが改善できるか、どこに問題がある?『見える化』はすべての取組みのキーだと思います。ヒントを言えば「泥臭い」アウトプットの方が効果があるように思います。ボタン一つでキレーイなグラフが出てくるよりも、手書きの絵であったり、触れる模型であったりするほうが面白くて長続きします。
次はちょっとゴロ合わせに近いけど『見てる化』。上司は部下の得意分野や伸びシロ、悩んでいることなどを見てあげる。隣の係が困っているようだったら声をかけてあげる。隣の部門がやけに楽しそうだったら、どんな工夫をしているのか見て、パクってくる。人間『見られている』という意識が向上を呼びますね。
最後は『見せる化』。どこよりも楽しそうで、それでいて締めるところは締めるチームであることを示す、よきことも悪しきことも残さず内外に知らしめる。自分の働き様を自身をもって見せる化できるようにしたいものです。

これら『見える化、見てる化、見せる化』の根底に流れるのが『ホスピタリティ』です。易しく言うと『思いやり』『気配り心配り』『おもてなし』というところかな。そういうと何か精神論やきれいごとのように聞こえるかもしれませんが、れっきとしたビジネス論です。米国のビジネススクールなどでは真面目に議論されています。東京駅の新幹線清掃スタッフは海外から見学に来ていますね。「きちんと挨拶や声かけをするオフィスとそうでないところがでれだけ生産性が違うかリサーチした結果もあるんです。日本人はそういうところ、我が社は比較的体現化していますね。滝川さんじゃありませんけど、あらためて大事な文化だと思います。

今回、全社レベルの規模で組織編制や役割分担を変更し、新体制となったわけですが、最近読んだものの本によれば、こういう変革は「男性型の脳」の成せる技のようです。・・・・(以下、脅威の『男女の脳論』編で書いたようなことをパクり。。。)・・・・私はウルトラヒーローが好きなので、よく「Ultimate」(ウルティメイト)という言葉を使います。生産性(Productivity)、品質(Quality)なんかと組み合わせてカッコよくね。スタイルもスリムになって目的地もクリアになったこの新造船で時にはワープし、時には船底に開いた穴を補修しながら明るく楽しく航海して行きましょう」

今年のこの季節、いつもと違う不思議な思いをもった。すぐ上の仲良し先輩達が早い人はいわゆる「勇退」し始めたのである。企業グループ群からは一旦抜け、業界内にいることも多いので一般的な「定年退職」とはちょっとニュアンスが違うが、やはり一つの区切りには間違いない。つまり私も10数回繰り返した転勤も今回で「打ち止め」となる可能性が高いわけである。新任に挨拶に関連企業を訪れると向こう側についこの前まで仕事で連携していた人がいたりしてびっくりすることが多かった。ま、とにかく25年ぶりのオフィスは相変わらず夜になると●ブホのような怪しくなるところも変わっていない。むろん周辺はだいぶ様変わりし、窓からは聳え立つ超巨大なタワーが見えるが、昔通いつめた「鳥○い」は健在なのが(おばあさんも健在)は驚きだ。ここが「潮時の地」となるか?!何やら巡り合わせを感じるトランスファーだった。
久々に東京駅を通過する通勤となる。「KITTE」からの東京駅の全貌は中々素晴らしい。

        


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2 コメント

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Unknown (磯辺太郎)
2016-07-12 07:29:41
小夏さま

素直に喜べないところもありますが、ありがとうございます。まだ大きな転機というほどでもないのですよ。
前職を除き、ここ数年で職場の「従業員の平均年齢」を超えてしましましたから、年齢相応の立場なんでしょうねえ。

「縁あるところが新天地」なるほど、さすが師匠、とらえ方が輝いてらっしゃる。
考えてみれば今までも全てそうなのかもしれませんね。間違いなく縁はありましたから。。。
このシーズン、先輩達がちょっと今までと違う雰囲気だったので、考えるところはありましたが、まだまだ「決意」とまでは達してないですねえ。
過分なるお言葉ありがとうございます。こちらこそ変わらずによろしくお願いします。
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おめでとうございます! (小夏)
2016-07-11 23:30:45
師匠、こんばんは!
またまた大きな転機を迎えられたのですね。
更に責任あるお立場に就かれたことと拝察いたします。
(こんなおバカなワタシ、本来ならばお話もできない方なのでは、、きゃーー)
縁あるところが新任地なのですねぇ。ここが「潮時の地」とは、師匠が異動時に初めておっしゃったような・・。と、あらば、ますます決意をもってのぞまれることでしょう。
どうぞくれぐれもご健康にご留意の上、心置きなくご活躍くださいますようお祈りしていますね。

今後とも変わらずお付き合いをいただきますようお願いして、、いいかしらん。

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