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広報文章の基本テクニック:初級編(5)

2017-04-17 16:31:58 | はとはあと最新情報
はとはあとブログ20170415
広報文章の基本テクニック:初級編(5)
どうしたら美しく歯切れのいい文章になるか

案内や説明の文章を読んでいて気になることは、いろいろとあるものです。大枠の理解はできているのだが、たった一つの言葉の意味がわからないため、全体の理解もままならない、ということもありがちなことです。また、一旦定義されているのに、また違った意味の定義めいた概念が示されているなど、もうその先を読む気持ちが折れてしまいます。たとえば日の丸の旗を示しながら、「それは太陽を表したデザインであり」などと分かりきった解説でも同じようなことを感じてしまいます。誰もが分かりきっているコトを書くと軽薄にみえてしまいます。

あまり意味のない文章を削ぎ落としてスッキリ流れる文章でありたいと思います。いいたいコト、重要なことは、読み手にシッカリと伝えたいという意気込みや熱意を感じてもらうように工夫しなければなりません。しかし、だからといって文量が増えてしまうのも困りものです。構文、構成の中に伝えたいことが明確に「見えている」必要があります。そう言えば、古来、俳句や短歌の名作には、そうしたセンスがうまく組み込まれているように思います。単調な文字のオンパレードなのに、色や音・リズムを感じるのはなぜでしょう。

文章においても、音楽のように始まり、そして終わっていく。構成に変化を考えて盛り上げる、繰り返す、消し込んでいくこと、時間と空間の変化、繰り返しに配慮して書いていくことで、伝えるべき読み手の感性を連れ出していくことも大切なことであるということができます。こうしたことは必ずしも文章作成の決まり、ルールとはいえませんが、文章は読まれることで「伝わる」という目的達成を考えると、文章作成の「技」のひとつといってもいいと思います。もう、お判りのように多くは、美の要素につながっている世界でもあります。

では、そのような「美しい」といわれるような響きをもった文章を書き作るには、どうすればいいのでしょうか。かなり特別で難しいことのように考えるかもしれませんが、けしてそんな大層なテーマではありません。いってみれば「心がけ」しだいといっていいと思います。そこに得られた感覚は、文章だけでなく、様々な仕事や暮らし、コミュニケーションにと活用することも可能です。難しく考えるのを止めて、気分をそうしたロマンに合わせて行きませんか。人にコトを伝え、対話し向き合う広報の心を掴むにも、このコトを真ん中にして考えることになります。

では、次のブログでは、美しく伝わる文章はもちろん、ヘルスケア・サービスに欠かせないビジュアルな情報デザインについて、具体的にどう考え、どうすればいいのか、いろいろと考えてみようと思います。お楽しみに。

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日時:4月28日(金)午後1時〜5時
会場:京都市山科区・アスニー山科
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※ 詳しくは http://www.j-his.jp/ トップの<information>で
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広報文章の基本テクニック:初級編(4)

2017-04-15 16:22:48 | はとはあと最新情報
はとはあとブログ20170415
広報文章の基本テクニック:初級編(4)
創造的文章の出産にも産気づくことが必要

海の深いところに住んでいる魚たち、つまり深海魚という存在は、一定のイメージは持たれているものの、今ひとつ輪郭の見えない生き物だといえないでしょうか。日常的に見ることのできるワンちゃん、にゃんこ君をはじめ、動物園や水族館で出会うことのできる生物たちと比べると、正確に修飾することが難しいですね。なんでこんなことを書くかといいますと、病院という存在は、一般の人から見ると“深海魚”であるからです。それは病棟とか聴診器とかは、形の確認できても、身近な関係として捉え切れるものではないからです。

もちろん、すべてがそうだというわけではありませんが、健康な市民にとっては、異次元の世界が病院であり、知っていたとしても上辺だけの知識でしかありません。深海魚は、深海魚として「それなりに、見える」ことが重要になるのです。つまり、それなりの「風貌」を漂わせ、他にない独自性やトータリティを誇示するとともに、滅多に目にすることのない驚きに満ちた姿をしていることが必要なのです。病院が一般に馴染みの姿となったとき、認識する価値は、半減するかもしれません。神秘であることも、流行りの生産性に必要なのです。

しかし、そうした価値は、時代とともに変化して、知れ渡れば、誰からも可愛がられるワンちゃん、にゃんこ君になり果てます。見慣れたものは親しくなりますが、平板でつまらない印象にふやけがちであり、見慣れないモノは、どうしようもなく腹立たしい気分にさせるのですが、奥深い謎と魅力を感じさせるということがあります。いいたいことは、善悪、白黒、長短などということを既成と外見で決めないこと。むしろ善玉を悪玉に、白組を紅組に表して見ることで新しい発見につなぐ、少なくても表現・発想の世界では可能なのです。

とはいえ新しいことを考えること、生み出すことほど、鬱陶しいものはありません。既成に頼ればすぐ済むことを、半分やせ我慢で通り抜けようとすることは辛くてシンドイことです。単なるコピペならいいですよ。まして新しい概念の文章を書くなんてことは「言うは易し、行うは難し」で、こんな古い概念ならホラ、こんな風に簡単なんですが。海深いところで暮らしている深海魚を釣り上げるのは、至難の行みたいですが、これがまた楽和の行にもなりうると考える遊びが必要。何がともあれ生み出す以上、「産気」がこなくてはなりません。

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広報文章の基本テクニック:初級編(3)

2017-04-13 12:13:33 | はとはあと最新情報
はとはあとブログ2017/04/13
非言語を意識した文章テクニックを活用する

前回の「漢字率」、こんな表現要素があることを知ってましたか。今更こんなことを、と思われる向きもあろうかと思いますが、折角ですので記しておくことにします。漢字率や文法の正しさだけでなく、その文章の隅々に書き手のキャリアやセンスが見えてしまうということを、ぜひ知っておきたいのです。これは、私たちの仕草や身なりと同様で、本人は気がついていないのに、周囲の人に伝わってしまう。いわば体臭のように代え難い印象として記憶されてしまうということに気を配る必要があるということです。

もちろん、こうしたみんながもっている感覚は、いい悪いという価値観の問題ではなく、好ましく受け入れられるかどうかです。多数の人にとって「いいものは、いい」という共感を冷静に感じ取っていく態度が、文章には必要であり、人が社会といい関係を築こうとするときに欠かせない知性、たとえば「挨拶」とか「配慮」なんかも同じです。言葉でないのに、言葉のように共通のシグナルのことを「言語」に対して「非言語」といいます。言葉を尽くすよりも、早く、強く、感覚でコミュニケーションできる非言語をもっと活用すべきです。

画数の多い漢字や見出し用の太いゴシック体のフォント(書体)で、文章をプリントすると黒々として判別しにくいし、多くの印象はイマイチってことがおこります。だからそんな指定はしてはいけないということをマニュアル化して、そのようなデザインを排除することも、ある意味で正しいかもしれませんが、クログロ体質を反対に生かして活用するという道も残しておく。マニュアルでは否定するが、そのような「冒険を許す」体質もあっていいと思うのです。その文化が、生き生きしたコミュニケーションを呼ぶということもあるのです。

黒々がいけないなら、何かカラーで対応するという手が考えられます。色文字にするわけですね。強調したい部分などは簡単で効果的な方法です。しかし、文字の太さや密度(線と線の間隔)は変わりませんから、目には却って視認しにくく、明るい色彩のばあい判読もままならないこともあるでしょう。そうしたばあいでも、文字内の画数が少ない仮名表現であれば、多少は救われる可能性もあります。また、カラーの機能は、その1色だけで語れず、背景や隣接の色彩の影響を受けるため、そのデザインを目の前にした議論や判断がどうしても必要になるのです。

広報誌や院内掲示で示す印刷物では、スミ文字(黒文字)を中心で構成される場合も多く、背景も単純に白く、ワンポイントにカラーを使用するというようなことが一般的ですが、インターネットによるウェブサイトは、多様な色彩で構成され、輝度も計算に入れたデザインも多く、全体に占めるカラー・コントロールの役割は、いっそう重要なファクターになります。いずれにしても、メッセージの主役は「文案」であり、いかにシンプルな表現、そのための単純で密度のある文案作成機能を、院内に具備しなければなりません。

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広報文章の基本テクニック:初級編(2)

2017-04-11 13:35:52 | はとはあと最新情報
広報文章の基本テクニック:初級編(2)
何が、人の読む気を惹きつけるのか

漢字率が50%という状況を考えてみましょう。文章を構成する文字のうち、半分が漢字だとしたら読み手はどんな心境になるでしょうか。少しイメージしてみてください。病院の掲示板にそんな文章をときどき見受けることがあります。画数が多い漢字が文面(字面)を占めてくると、紙面は自ずと黒っぽくなり、少し目をやっただけでは正確な認識は困難、というよりも、読み始めて数行で文字を追う意欲がそがれて、無意識のうちに次の行くべきポイントに目が行かなくなってしまうのです。

しかし、同じ文章にある同じ語なのに、この漢字率の調整にこだわって、やたらと仮名で表記するというのも、また読みにくい一因になります。つまり私たち現代の日本人は、仮名だらけの字面にも馴染めない一面をもっているといえます。通常はありえない表現に出会うと、発信人の配慮のなさが前にでて、文字を追うことをやめてしまいます。文章自体の理解もさることながら、余計な表現や間違った強調などが目立つようでは、本末転倒、何のための文案作成かがわからなくなってしまいます。

漢字率30%とは、ちょうでクルマの運転と同じで、進むべき状況判断が重要で、安全第一の心がけを大切にすることですが、そのわりには結構、神経を使います。早く誰にも読んでもらえる文章作成のコツを会得するよう頑張るしかありませんね。漢字率は違反しても、文字の間違いなどに比べて、周囲からはあまり指摘がないのでツイツイ怠りがちになりますが、本当に読んでほしい文章なら「頑張る」、「キャリアを積む」、「他人の文をよく読む」といった基本的な努力をすることです。

また、素直な文章(これまた分かりにくいかな)に心がけるということも大切にすることです。「文章を書く」、それで「何かを主張する」などと力が入りすぎるのは、文を書き進めるうえで決して良いことではありません。それは読者に教えてもらおう、くらいの気軽な感覚でいると、自然に湧き出てくるものです。とらわれず自然に書いて、後から読み返して、そのような点を改良して行くという余裕が身についてきたら、その方がいいかもしれません。ある程度、キャリアを積んでくると、自然と洗練されてくるものですが、このような文章執筆の基本ルールに触れることも洗練に役立つのだと思います。

私がこのように偉そうに、文章の基本などを講釈する原点は、若いころ某電機メーカーの人事部門に勤務していて、製造部門の職制に通達を書いていたことのあります。課長が毎日のように通達文を一案を書かせるのですが、跡形もなく再提出となる日々が続いていました。「何を、シンプルに伝えるか」を厳しく指導されたおかげで、次第に書き直しはなくなりました。文例づくりのような繰り返しの毎日でしたが、実は仕事の課題を乗り越える訓練でもあったのです。多くの仕事や技術は、単純な繰り返しのなかで命を育み成長していくものです。

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広報文章の基本テクニック:初級編

2017-04-09 19:54:27 | はとはあと最新情報

如何でしたか? 前回の演習問題。経験によりさまざまな感想がありそうですが、日頃、仕事で文章作成の仕事に関わっている人なら、大丈夫でしょう。
その経験を通して「こんな場合はこうする」というスキルをもっているといいわけです。つまり、文章を書く能力の多くは「体験」から生まれてくると言えないでしょうか。そうした経験から、自分なりに「こう表現すればいい」という経験則が自然のうちに育まれ、仕事につながっていくことが多いのです。

とはいえ困るのは、自分で理解できている範囲で表現するときはいいのですが、
充分な知識もなく、テーマについて理解が浅いときはシンドイことなりがちです。「知らないこと」は書けない。書いても薄っぺらなスキルが剥きだしで、高度な読み手には門前払になります。ハイな読み手に読んでもらえるチカラをつけるには、まず“取材”、調べて事実を集めることが大切になります。“一人広報”で頑張っていても、誰かが書いた原稿をレイアウトしているだけでは、広報の仕事といえません。

「対話」とは、双方が向き合って理解し合う場であることは、ここに書かせていただきました。書き手の能力である「理解力」とか「理解環境」によっても取材は大きく違ってきます。また、広報という仕事は「情報を伝えること」と認識している人は多いのですが、誰に伝えるか、その伝えるべき情報(内容)が、その対象にとってどの程度のものか、などによっても変わってきます。このため、「ものを見る目」を養うためにも、さまざま体験を買って出るようにしなければなりません。

文章内につかう「漢字」の割合を減らす努力をしましょう。医療サービスでは、病気や臓器の名称に漢字を当てることが多く、文書や張り紙は、漢字だらけです。全体に占める漢字の量を漢字率でいうことがあります。漢字率の理想は、30%となっています。つまり、それ以上になると字面が黒々として読みづらく、読む意欲が低下させるのです。広報誌やホームページには、「等」「尚」「又」「貴殿」といった漢字を減らし、お役所イメージは皆無にしなければなりません。また、見出しと本文の書体やサイズを適正にすることなども大切です。

それらの書体や色彩選びは、「認識」と「調和」に配慮したいものです。認識とは文字自体がもつ特性であり。調和とは、他の環境要因と融合しながら新たな機能を果たすことです。書体が集まり「ことば」となり、言葉が集まって字面をなし、文というメッセージとなるのですが、その字面は紙面に配列されたり、壁面を装飾したりと、環境要因としての質につながっていきます。安らかな空間であったり、元気づける活気のある環境になったりと変幻していきます。特にヘルスケアでは重要な環境ファクターという認識が必要です。

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