中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

労働時間の管理が不十分

2019年03月06日 | 情報

記事中に「休日出勤は八年間で三百六十七日に及んだと」とあります。異常ですね。
今回の働き方改革に伴い、管理監督者についても労働時間管理が義務化されました。
しかし、今回の働き方改革に伴う法改正以前より、管理監督者についても労働時間の管理は必須とされてきました。

具体的には、管理監督者は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では
適用対象外となっていますが、同ガイドラインでは、管理監督者も「健康確保」の観点から、
使用者に適正な労働時間管理を行う責務があることが明記されており、
同ガイドラインに準じた労働時間把握措置を講じることが必要とされてきました。
参考までに、詳細は後日に譲りますが、今回の働き方改革のポイントは、この「労働時間の正確な把握」です。

 

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

エーザイ元部長の自殺を労災認定 長時間労働でストレス
2019/03/04 朝日

製薬大手エーザイ(東京)の部長だった男性(当時50)が自殺したことについて、
天満労働基準監督署(大阪)は、部長昇進にともなう長時間労働などによる強いストレスがあったとして
労災の認定をした。2月18日付。遺族らへの取材でわかった。
遺族側代理人の稗田隆史弁護士らによると、男性は2008年4月に部長に昇進。
同年8月ごろにうつ病になり、その後8年間にわたり月平均約80時間以上の時間外労働をした。
うち100時間超になった月が計21回、休日出勤は移動日も含め計367日あったという。
また、残業代支払いの対象外となる労働基準法上の「管理監督者」として扱われ、
同社の労働時間の管理が不十分だったという。男性は16年9月に単身赴任先のマンションで死亡した。
遺族は昨年6月に労災を申請。労基署は、昇進で業務内容や量が大きく変わったところに、
恒常的な長時間労働があり、業務による強いストレスが発病の原因になったと認定したという。
エーザイによると、遺族と面会するまで、男性のうつ病の発症を把握していなかった。
担当者は「極めて厳粛に受け止めている。これまで長時間労働の是正を進めてきたが、より一層徹底する」としている。
男性の妻(52)は「健康を守る製薬会社として、長時間労働は精神に障害をきたす危険があると
認識できたはずなのに、夫の死を防げなかった。
夫と同じような働き方をしている人は多く、会社も社会も働き方を変え、夫の死を無駄にしないで欲しい」と話した。

エーザイ部長の自殺を労災認定 製薬会社100時間超残業
3/2(土) 共同

製薬大手エーザイの部長だった50代男性が2016年に自殺したことに対し、天満労働基準監督署(大阪)が、
部長昇進に伴う仕事量の増加や月100時間超の時間外労働(残業)による
強いストレスが原因の過労自殺だったとして労災認定したことが2日、分かった。認定は2月18日付。
遺族側は、昇進直後の長時間労働や亡くなるまでの8年間で8千時間超の残業があったと申し立てたが、
労基署は昇進後の長時間労働だけで労災に該当すると判断。8年間の労働実態については判断を示さなかった。
男性は「管理監督者」として扱われ、残業時間制限がなかった。

「8年8000時間残業で自殺」 エーザイ部長 遺族が労災申請
2018年12月31日 東京

製薬大手エーザイの部長だった五十代の男性がうつ病になって二〇一六年に自殺し、
原因は昇進に伴う業務量増加や慢性的な長時間労働だったとして遺族が天満労働基準監督署(大阪)に
労災申請したことが分かった。
部長昇進から自殺までの八年で約八千時間残業し、過労死の労災認定基準となる
「過労死ライン」(月平均八十時間)超えが約百カ月のうち五十六カ月に達したと遺族は指摘。
長期間の過重労働で自殺に追い込まれたと訴えた。
長期にわたる管理職の長時間労働の実態が明らかになるのは異例
男性は「管理監督者」として扱われ、残業時間制限がなかった。
政府や企業は働き方改革を進めるが、管理職の対策強化を求める声が出そうだ。
亡くなったのは泰敬さん=当時(50)=(姓は遺族の希望で非公表)で一九九〇年、エーザイ入社。
二〇〇八年四月、関西のドラッグストアなど小売店営業を統括する部長に昇進した。
大阪市内に住む妻(51)や申立書によると、泰敬さんは昇進前から残業時間が急増。
同年二月は六十五時間だったが、三月八十六時間、四月七十二時間となり、
五月は百二十六時間、六月は百四時間に達した。
十月に初めて医療機関を受診して夏ごろからうつ病だったと診断され、死亡直前まで通院した。
昇進後、人員削減の指示があり先輩社員を異動させなければならなかったことや
取引先からのクレームの対応に追われたことなどで、心理的負担も増えたという。
残業は多い月で百三十四時間に達し、長時間労働は亡くなるまで続いた。
毎年の一カ月平均の残業時間を見ると、一二年から死亡前年の一五年まで八十時間を突破。
一六年九月、京都市内の単身赴任先マンションで自殺した。
遺族は休日出勤の負担の大きさも指摘。報告書作成や取引先との会合、出張などのため、
移動日を含めた休日出勤は八年間で三百六十七日に及んだと強調した
遺族はエーザイが提供した勤務データを基に労働実態を分析。今年七月に労災申請した。
エーザイは「心からお悔やみ申し上げる。
長時間労働と死亡との関係を会社として判断する十分な根拠を持ち合わせていないが、
遺族の申請を真摯(しんし)に受け止め誠実に対応したい」とコメントした。

<管理監督者> 労働基準法は、経営者と一体的な地位にある人を、
労働時間や休日など労働時間規制の対象から除外している。企業は残業代の支払い義務がない。
管理監督者に該当するかどうかは役職名ではなく
(1)経営や労務管理について経営者と一体的な立場か
(2)勤務時間の自由裁量があるか
(3)一般従業員に比べ地位と権限にふさわしい賃金が支給されているか-
など実態に基づき判断される。肩書だけで権限のない「名ばかり管理職」問題が以前から指摘されている。

 

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