中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

組合の奮起が必要です

2019年01月16日 | 情報

ある学校法人の紛争に関する記事を読んでの感想です。
「組織」対「個人」の戦いとなったら、どちらが強いか。聞くまでもない愚問でしょう。
組織側から見れば、100戦して、99勝1敗くらいでしょうか。
その1敗の典型例は、先の東芝(うつ病・解雇)事件(最二小平26.3.24判)。

一方で、労組の組織率は低下する一方です。
その理由は、簡単で、組合員からみれば、組合が助けてくれないからです。
しかも、組合費は毎月、給与から天引きですから、組合に加入する意味がないのです。
因みに、最近の組合費は、いくらくらいなのでしょうか?
寡聞にして存じ上げないのですが、おおよそ月3000円くらいですか?
年間36000円に相当するリターンはあるのか?

当職は、当ブログにおいて、再三にわたり、メンタルヘルス対策への労組の無関心を批判し、労組の関与を促してきました。
労組の存在価値とは、何か?誰のために、何のために、労組は存在するのか。
当然に労組の執行部は、課題として深刻に受け止めていることでしょうが、
具体的に対策を講じているように見えないのが残念です。

ところで、御社の場合は如何でしょうか?
労組と聞くと、オウム返しでアレルギー反応を起こす経営者もいることでしょうが、
健全な労働組合、ないしは従業員組合は、御社の経営に役立つ存在であると、小職は考えています。

(再掲です)2017年7月2日 朝日より一部を抜粋

労組なのに「味方じゃない」 愛社精神要求、解雇臭わす

(前段略)心配なのは、今の労働組合に経営側と渡り合い、働き手を守るだけの力があるのかどうかだ。
働き手全体に占める組織率は2割弱に過ぎず、パート社員では1割にも満たない。
伝家の宝刀とも言えるストライキの件数も激減した。職場や世の中に「労組は頼れない」という空気が漂ってはいないか。
労組にはまず、長時間労働やパワハラなどに苦しむ組合員一人ひとりに真剣に向き合うことを求めたい。
過労死やパワハラを巡る事件で、企業内労組が被害者や遺族を支援している例は少ない。
全国の労働基準監督署などに寄せられるパワハラや解雇などの労働相談の件数は高止まりが続くが、
こうした相談は本来、職場の労組が耳を傾け、主体的に解決すべきものだ。
組合員全体の賃金や雇用の確保に関心を払っても、働き手個人の悩みに深く寄り添う企業内労組は多くない。
そうした姿勢を改めることから、「労組は頼れる」という期待感が生まれるのではないか。
存在感を取り戻し、経営側との交渉力を高めるすべはほかにない。(後段略)

一方で、労組が役に立っている新聞記事を紹介します。

「始業前あいさつ廃止を」 私立高教員がストライキ 
2019/1/8 日経

東京都千代田区の私立正則学園高校の教員約20人が8日朝、長時間労働の是正などを求めストライキを実施した。
教員らは始業前にほぼ毎日行われている午前7時前の理事長へのあいさつを拒否し
「あいさつの儀式は無駄で廃止すべきだ」と主張。この日のストライキは早朝のみで授業への影響はなかった。
教員が加入する「私学教員ユニオン」によると、同校教員の始業は午前8時だが、
実際は7時前に出勤する理事長へのあいさつが長年の慣例で、6時半ごろには出勤。
理事長室に1人ずつ入りあいさつするという。
あいさつをしない場合は注意や叱責を受けることから、ユニオンは「実質的な労働時間で負担が大きい」としている。
一方、学園はホームページで「早朝あいさつを強要している事実はない。
長時間労働についても許容していない」との見解を示した。
ユニオンは、勤務は部活動などで夜遅くまで続き、労働時間はタイムカードで管理されているが、
実際よりも短い時間が記録され、残業代は一部しか出ないとしている。
ストに参加した教員の一人は「昇給やボーナスが止まっても生徒のためと思いやってきた。
くだらないことをやめて生徒のために時間を使いたい」と訴えた。

 

コメント
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