中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

「残業」をコントロールできませんか?

2012年09月24日 | 情報
22日の日経を始めとして朝刊各紙には、残念なことに2件の過労死認定記事が掲載されました。

労災認定:昨春急死の富士通課長 上司国外脱出で過重労働(毎日)

富士通(本社・東京都港区)の海外マーケティング本部で課長を務め、11年4月末に急死した飛田野達也さん(当時42歳)について、
三田労働基準監督署が震災に伴う過労死として労災認定していたことがわかった。
震災後、外国人上司が国外脱出するなどして過重労働を強いられたといい、21日に記者会見した川人(かわひと)博弁護士は
「震災以降、働く人の健康の問題が軽視されている」と配慮を呼びかけた。
川人弁護士によると、飛田野さんの主な業務はヨーロッパやアジアなどの海外拠点のマーケティング分析。
帰宅後も自宅から会社のシステムにアクセスしていた。震災直後は社員の安否確認に追われ、
その後も震災に伴う緊急メールへの対応を任されたり、国外脱出した外国人上司2人の業務を負担したりするなどした。
節電対策のプロジェクトも担っていたという。
死亡前日から過去2カ月間の時間外労働の平均は少なく見積もっても月82時間に上り、拘束時間も月300時間に及んでいた。
震災から1カ月半後の4月29日朝、自宅で死亡しているのを妻が確認した。

ヤマト運輸社員の労災認定 長時間労働で過労死(共同)

ヤマト運輸の営業担当だった男性=当時(47)=が死亡したのは長時間労働による過労が原因として、
船橋労働基準監督署(千葉県船橋市)が労災認定していたことが21日、分かった。
代理人の弁護士によると、男性は昨年4月船橋主管支店営業企画課長に就いて以来長時間労働が恒常化し昨年8月、
くも膜下出血で死亡した。
労基署は死亡直前1カ月間の時間外労働を86時間と認定し、長時間労働と過労死の因果関係を認めた。

厚労省「脳・心臓疾患の認定基準」には、明確に
 「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、
1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、
業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。」と謳われています。

もちろん、長時間残業しても、体力・精神力に影響を受けない社員もいます。
しかし、長時間残業は、もはや議論の余地がない(正直に言えば、議論を受け付けない、と云うほうが正しい表現かも)
労災認定の判断基準になっています。
企業・組織にとっては、長年にわたり経験を積んだ貴重な人材を失うばかりか、労災が認定されると、
その後には必ず民事損害賠償責任を追及されることになります。
「長時間残業」は、殆ど「オートマチック」に労災認定される根拠となることを肝に銘じてください。
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