20250614
ぽかぽか春庭シネマパラダイス>2025シネマ(4)youtube鑑賞録
映画を映画館で見ることが、めっきり減りました。その昔は、映画館といっても文芸座や全線座のような名画座で見ることが多く、学生の身安月給の身では、ロードショーは手が出せなかった。
近年映画館に足を運ばなくなった主な理由。私にとっては飯田橋ギンレイの閉鎖ですが、世間的にはコロナ禍の「外出するなステイホーム」の影響が大きかったでしょう。
テレビ放映を録画して見る、というのが主だったHALの映画視聴方法でしたが、仕事をリタイアして以来、家でyoutube視聴という映画の見方が加わりました。見たいと思っていたのに、テレビ放映を見逃してしまった作品をyoutubeの無料放映で見られるのはありがたし。深夜枠だったので見ることがなかった『きのう何食べた?』も、劇場版のyoutube公開を期に、テレビドラマのシーズン1,2を見て、レシピまねしようと思ったり。
2010年にテレビドラマとして見た『塀の中の中学校』を久しぶりに見て、15年前と同じところで涙する。15年前のシーンで一番覚えていたのは、面会にやってきた演劇一座の座長が自分を刺した息子の前で踊る「人生いろいろ」だったことに驚く。卒業式で「栄冠は君に輝く」歌うことなどまるで覚えていなかったのに。
テレビでは見なかった「恋愛映画」というものも、youtubeでは睡眠剤がわりに。寝転がってスマホ画面を見ているのが、入眠にちょうどいい。恋愛などという出来事とははるか遠くなった心には、「いーよなぁ、おまいら、恋する心がいっぱいで」と、うらやんで見ているうちに眠くなる。『それから』1985、『ハナミズキ』2010、『花束みたいな恋をした』2021
『ハナミズキ』2010を見て、あまりに型通りの純愛模様に、なるほどガッキーがかわいいという評価のほか言いようがない、という評判通りだったなあ、と納得。ジャニーズタレント使う以上、ベッドシーンなどあるはずもなく。
『それから』。久しぶりに見て、そのあまりにゆっくりな進行に、時間の流れが違っていたんだなあと感じました。ジェットコースターのような展開がいいとは思っていないのですが、映画を倍速で見る世代に老婆も毒されていくのかしら。
5月、2021年公開映画を、youtubeで続けて見ました。『花束みたいな恋をした』。『ハナミズキ』と同じような型通りの恋愛映画でありながら、2010年のハナミズキから10年余の歳月のおかげか、恋愛の始まりと終わりを心地よく見届けることができました。麦と絹のことばの中に、同時代性を喚起するカルチャーアイテムがちりばめられたことが、若い世代に受けた、みたいな解説もあったけれど、昭和生まれには同時代ではないはずなのに、時代がわかる気分。これは『なんとなくクリスタル』のカルチャーアイテムの羅列が、そこから古びた感になったのとどこが違うのかわからぬ。

『花束みたいな恋をした』では、恋のはじまりの初々しさから同棲、イラストレーターの夢をあきらめざるを得ない「生活のための就職」。三か月のセックスレスも平気になる、なれあいの関係。5年のつきあいののちに別れがきて、数年後にはお互いに新たなパートナーとめぐりあって、さりげなくバイバイと手をふる。5年間の恋人生活は、別れたあとも、人生のひとこまとして、貴重なものであったことが、手をふりつりつつも、決して振り向かないという姿勢に表されています。
2021年というコロナ禍真っ最中にもかかわらず、『花束みたいな恋をした』は、ランキング8位38億円という興行収入を得たヒット作になりました。
一方、2021年公開の映画のうち、興行的には大成功したと言えなかった作品も。
見に行けなかったけど、見たかったなと思い続けてきて、期待してみた『HOKUSAI』2021。弟子たちによる史実が書き残されている晩年部分は、田中泯の迫力演技とあいまって、まあよかった。顔にベロ藍をぶちかけるシーンは気持ち悪かったけれど。しかし、記録が何もない前半生の部分、柳楽優弥の目はよかったけれど、蔦重の阿部寛のほうが存在感ましまし。(滑舌悪いのはいつものことだけど)。
期待してみた『HOKUSAI』と、期待しないで見た『ハナミズキ』2021。この純愛に入れ込める人と、なんじゃこりゃという人で評価がわかれるんだろうけれど、あまりにもオーソドックスな純愛で、ラストシーンの邂逅までにだれる。カナダ港町に置かれた船の手作り模型、必ず最後にはガッキーの手元まで届くだろうと、みな思う。
北斎も2021年という観客動員のためには最悪のコロナ期の公開だったから、運が悪かった、という面もありますが、『花束~』のヒットに比べて、何が観客動員を妨げたか。ひとつには、人を惹きつける女優の配置が足りなかったとか。北斎の娘お栄を演じた河原れんは、この作品の企画・脚本の担当者だから、キャスティング担当者も納得の配役だったのだろうと思うし、演技がまずいわけじゃないけれど。NHK「眩(くらら)〜北斎の娘」でお栄を演じた宮﨑あおいは、魅力的でした。北斎弟子筋が描いた実際のお栄は、容姿端麗とは言えぬ風貌ですが。あごが出すぎている顔により、北斎が娘を呼ぶときは「あご!おーい、あご」と呼んだそうです。
『HOKUSAI』興行収入ランキング117位1億円。製作費は公表されていませんが、最低でも3.5億円と言われており、興行収入だけでは完全に赤字。種々のビデオ販売ネット販売などで赤字埋めはできたでしょうか。 ·
川崎のシネコンまでロードショーを見に行った『教皇選挙』の次に「見てよかった」と思えた映画は、『あの子は貴族』という2021年公開の映画。数年待てば、テレビ放映は無理でもyoutube公開されるのなら、単館映画館はますます衰退するだろうな。がんばれ下高井戸シネマ。
次回、「109シネマズプレミアム新宿」で『国宝』鑑賞報告。1席7000円のS席。むろん買うわけなく、娘の懸賞生活のおかげ。ペア券が2回分当たっています。
<つづく>
こういうライトな作品も撮ることが出来るのかと感心。
それからはキャスティングですよね、文句つけようがないです優作も藤谷美和子さんも。
原作ラストの赤い描写は映像に適しているはずだったので、これ描いていればほぼ満点だったかと…ということを、東映の臨時社員募集の面接時に話して、ちょっとムッとされた自分なのでした笑
国宝、観てきました。
監督の現時点における最良の仕事なんじゃないでしょうか、ちょっとなめてましたごめんなさいと。
上半期は、外国はサブスタンス、日本は国宝で決まりです。
(サブスタンスは、春さんちょっと厳しいですかね。ホラーに落とし込んだ創りなので。
「それから」も、前に見たのはだいぶ前なので、脳内で原作とごっちゃになっていて、ラストは飯田橋駅前のシーンがあると思っていました。たぶん、いろんな映画がいろいろごちゃごちゃになっているんじゃないかと思います。75歳婆の脳ですから、いろいろ耄碌しながらも、あと何本映画館で見られるのかと思いながら、今日もテレビ録画で。