医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

膀胱ガンのリスクとカフェインの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2019-06-09 10:06:34 | 健康・病気

カフェインはコーヒーやエナジードリンク、栄養ドリンクを始め、いろんな飲料に含まれ、日頃、私たちの生活と関わっています。最近、カフェインに関する研究が、カフェイン消費大国の米国で盛んに行われ、いろんな研究結果が報告されています。今回は、主にカフェインと膀胱ガンリスクの関係について考えていきたいと、思います。

2015年の"The Lancet"誌によると、カフェインは、膀胱ガンRT4細胞のアポトーシス(細胞自死)を抑制すると、報告されています。また、別の研究では、日本人男性でのコーヒーとエナジードリンクなどカフェインを含む飲料の大量、長期持続的摂取は、膀胱ガンリスクの増大を伴う可能性があると、報告されています。また、慢性膀胱炎患者では、今までのカフェイン入り飲料をカフェインが含まれない飲料に切り替えたところ、尿漏れ、頻尿など膀胱炎症状が軽快したとの報告もあります。別の研究では、カフェインの長期にわたる、大量摂取が多いグループの膀胱ガンリスクは、その摂取量がもっとも少ないグループに比べ2倍であったと、報告されています。喫煙の男性コーヒー常飲者と非喫煙のコーヒー常飲者は、膀胱ガンになりやすいようです。また、カフェインとサッカリンは膀胱上皮細胞のDNAを傷つけ、エナージードリンクでは、タウリンが、大量のカフェインや保存剤(合成化学物質)とともに含まれ、それらの相互作用により、健康に有害な作用(心血管系機能障害)をすると、報告されています。

Jon Gleason博士によると、大量のカフェインを含む飲料を長期に摂取する女性は、そうでない女性に比べて、尿失禁など膀胱のトラブルを起こす傾向があるそうです。詳しくは、カフェインを329mg/日(コーヒー約3杯/日)を摂取する女性は、そうでない女性に比べ、膀胱のトラブルが70%ほど高い可能性があります。また、別の研究では、コーヒーは膀胱ガンのリスクを33%程高め、その他の研究では、コーヒーを3杯/日、飲むのなら、9%から15%ほど膀胱ガンになるリスクが高まるとも報告されています。さらに、肉類とカフェインの長期、大量摂取は膀胱ガンになるリスクの可能性も報告されています。そして、米国での研究によると、医薬品では、糖尿病治療薬Actosの副作用として、膀胱ガンの発症、低血糖、心不全、それに骨粗鬆症などが報告されています。また、糖尿病患者も膀胱ガンのリスクがそうでない人にくらべ高いと、報告されています。なお、膀胱ガン患者は、ソーダー類やカフェイン飲料、コーヒー(acrylamide含有)などを減らし、100%野菜ジュースの常飲が勧められています。

References

J. Timson. Caffeine and Bladder cancer. The Lancet. 2015, May12

Weixiang Wu.Coffee consumption and Bladder cancer. PMC.2015, May12

Coffee, green tea, and caffeine consumption and subsequent risk of bladder cancer in relation to smoking status. Cancer Science. 15 January 2009

La Vecchiac. Nutrtion and Bladder cancer.1996;7:95-100

Edward Group. Is taurine in energy drinks dangerous? Global Healing Center

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