医科栄養学・栄養医学ブログ

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ビタミンC点滴によるガンの腫瘍マーカーの改善について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦 

2016-12-04 19:15:03 | 健康・病気

世界各国では盛んにガンに対するビタミンCナトリウム点滴療法(IVC)が実施され、QOLの改善や元気になった、気分が爽快になったなど症状の改善が報告されています。また、腫瘍マーカーの改善も報告されています。

リオルダンクリニックの臨床研究の報告では、前立腺がん患者は、IVCにより炎症性腫瘍マーカーのPSA値とCRP値(c-反応性タンパク質)の低下が見られ、ガンによる炎症が低下したことを示しています。このことは、IVCによる治療期間中、炎症促進サイトカイン値が低下することを証明したことになり、ガンが寛解に向かっていることを表わしています。

炎症因子であるIL-6、TNF-α(注目されている炎症因子)、それにeotaxin値は、IVC治療を受けているガン患者では、絶えず低下していますが、6つのサイトカイン(IL-α,INF-y、IL-8、IL-2、TNF-α,eotaxin)値は、50gのビタミンCナトリウムの点滴後、実際に低下しました。IL-1の平均抑制率は、6名のガン患者では20%、eotaxinの平均抑制率は25%でした。

また、IL-1は、炎症のプロセスと転移の拡大を促進することが知られています。IL-1は腫瘍の部位で多く、その部位では、発がんのプロセス、ガンの成長と浸潤、それにガンと宿主の相互作用のパターンに影響し、uPA発現とNF-kBの活性化を誘導します。

炎症性サイトカイン(炎症性タンパク質)のTNF-αは、ガンの進行において中心的役割を担い、研究者に注目されていますが、ガンの微細環境からのTNF-αの発現は、多くの悪性腫瘍の特徴で、それが存在することは、悲惨な予後を伴います。別の研究では、ビタミンCやビタミンDにTNF-α抑制作用が有ることが報告されています。次に、eotaxin-1は、ガン細胞の成長に影響することが示される化学誘引、リンパ球活性物質です。

多くのガンでは、キモカイン受容体発現は、悲惨な予後と関係し、eotaxin-1が、ガンの脈管形成と転移を誘導するというエビデンスがあります。以上、これらの研究をまとめると、
サイトカインの検査と共にIVCを受けたガン患者からのデータ分析では、IVC(ビタミンCナトリウム点滴)がガン患者の炎症を抑制し、PSA値の低下とも関係が有ることが示唆されます。
このように、IVCが腫瘍マーカーの改善効果があり、ガン患者の補助療法になることの証でもあります。また、実際、世界中でガンの補助療法として、伝統的治療に併用して実施されています。

References
Nina Mikirova, et al: Effect of high-dose intravenous vitaminC on inflammation in cancer patients. Journal of Translational Medicine. 2012,10:189
Joyce JA, et al: Micro enviroonmental regulation of metastasis. Nat Rev Cancer. 2009,9:239-252