医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病、心臓病とビタミンCについて 栄養医学ブログ

2011-06-24 01:05:00 | 健康・病気

近年、米国では、死因の約40%が血管系の疾患によると、報告されています。日本ではそこまではいきませんが、食生活の変化でそれに近づきつつあります。血管系疾患の中で、冠状動脈疾患(心臓病)と脳卒中発作は、糖尿病患者の主たる死亡原因です。糖尿病が酸化ストレスの増大状態であるという証拠は、抗酸化栄養素のより多い摂取が、糖尿病患者の冠状動脈疾患のリスクを減少さすのに役立つという仮説に、結びつきます。この仮説を支持するものとして、85000人の婦人の16年にわたる研究では、そのうち52%は糖尿病患者で、ビタミンCの使用(400mg/日もしくはそれ以上)は、糖尿病群と同様、コーホート群で致命的もしくは非致命的冠状動脈性心臓疾患のリスクの著しい減少を伴っていることが、証明されました。

それと対照的に、閉経期婦人の15年にわたる研究では、サプリメントでビタミンCを300mg/日摂取した婦人では、そうでない婦人に比べ、冠状動脈性心臓疾患や脳卒中発作による死亡リスクが著しく高まりました。

これらのことを考察すると、遺伝的違いが、冠状動脈疾患に及ぼすVCサプリメントの効果に影響することは、有りうると考えられます。一つの無作為対照試験の結果がhaptoglobinの遺伝子型に基づいて再検討された時、抗酸化栄養素療法(VC1000mg/日+VE800国際単位/日)では、haptoglobin1型遺伝子コピーを有する糖尿病の婦人では、冠状動脈硬化症の改善が見られたが、haptoglobin2型遺伝子コピーを有する糖尿病の婦人では、悪化しました。これらの発見の重大性ははっきりしたものでないが、抗酸化栄養素療法で有効な糖尿病の亜集団と、一方、それが有効でないか、害になる可能性を有する亜集団が有ります。だから、自分の遺伝子型を調べ、冠状動脈疾患で抗酸化栄養素を使うか、使わないか決めなければいけません。しかし、食事で摂取する抗酸化栄養素は、他の栄養素が混在して生化学的ハーモ二イがうまくいっているので、2型の人でも、有効というデータが出ています。

ChinaのGeng Xu博士らの研究では、haptoglobin2型遺伝子コピーの人は、単一変異分析では、冠状動脈性心臓疾患が著しく増加しました。また、haptoglobin2型遺伝子コピーの人の冠状動脈性心臓疾患の頻度は、対照群に比べて著しく高いようです。ところで、日本人の中には、昔、中国大陸から戦乱・飢餓などのため日本に移住した人もいます。だから一度、haptoglobinの遺伝子型を検査することも、必要と考えられます。検査料金は高そうです。

ここでhaptoglobinについて簡単に説明しますと、それは溶血時のヘモグロビン処理に関与する血漿タンパク質で、遊離ヘモグロビンを縛り、取り除く(傷などから)作用が有ります。だから、糖尿病による冠状動脈性心臓疾患や脳卒中以外のガンなどでは関係しないので、haptoglobinの2型遺伝子コピーの人でも、ガンの抗酸化栄養療法は有効に作用すると、考えておりますが、これに関しては、更なる研究が必要と、考えられます。

References

Linus Pauling Institute at Oregon State University:  lPI Research Newsletter

Liu H. Geng Xu: Association of haptoglobin 1/2 polymorphism with coronary heart disease in Chinese