過去の研究では、心臓の健康とプロバイオティクスの関係について関心がなく、注目されませんでした。Thushara RM博士らの新しい研究によると、ヒトの腸管に住んでいる細菌類は、ヒトの健康状態に大変影響し、腸管の細菌叢(腸内フローラ)での善玉菌(乳酸菌、酪酸菌など)数と悪玉菌(大腸菌、ウエルシュ菌、ブドウ球菌など)数のアンバランスが、心臓血管系疾患の病因と関係する、と報告されています。
多くの研究によると、プロバイオティクスやプレバイオティクス(水溶性食物繊維など)を含む食品の頻回摂取では、LDL-コレステロール値を下げ、LDL/HDL比と血圧を改善し、炎症性因子、血糖値、それにBMIの改善が報告されています。しかし、どの種のプロバイオティクスをどのくらいの量摂取し、プレバイオティクスをどのくらいの量摂取すれば心臓の健康に有益かは、研究が足りていません。また、ヒトの遺伝や免疫能が、それらの効果にどう影響するか、研究が足りていません。しかし、近年、これらに関する研究が増えているので、期待しています。とりあえず、プロバイオティクス食品(納豆、漬物、豆乳ヨーグルト)や乳酸菌、酪酸菌サプリメントとプレバイオティクス食品の頻回摂取が賢明でないか、と考えます。もちろん、全体的な栄養バランスが基本になります。
References
Thushara RM,et al. Cardiovascular benefits of probiotics. Food Funct. 2016 Feb;7(2):632-42
Probiotics against heart disease. News View. 23 March 2016
Annelise C. Costanza, et al. Probiotic therapy with Saccharomyces boulardii for heart failure patients. International Journal of Cardiology. 179(2015)348-350