医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

慢性腎臓病・心不全の幹細胞療法について 栄養医学ブログ 藤井毅彦

2013-11-27 23:14:55 | 健康・病気

慢性腎臓病も末期腎不全になると、透析・腎臓移植などが必要になり、深刻な事態に陥ります。更に、腎臓病と心臓病は関連があり、腎臓病が原因の心不全をもたらします。ここでは、慢性腎臓病と心不全を治療する新しい方法として、幹細胞療法を紹介したいと、考えています。大変新しい治療法なので、更なる研究が必要ですが、喫緊の問題なのでとりあえず紹介します。

St. Michael's病院の研究者らは、ラットにおいて慢性腎臓病と心不全の治療のための新しい
方法の研究のため、成熟幹細胞を用いています。2010年、Darren Yuen博士らは、強化された幹細胞が腎臓病ラットと心不全ラットにおいて、腎臓機能と心臓機能を改善することを、始めて示しました。

しかし、ガンの発症のように、体に幹細胞を戻すことによる副作用を疑ってみました。
"Stem Cell"誌によると、Yuen博士とGilbert博士は、その後、強化された骨髄幹細胞がラットに注射されると、ぺトリ皿の中でホルモンを分泌し、幹細胞と同じように、明らかな効果を与えることを、発見しました。

博士らは、慢性腎臓病と心不全の動物の治療において、幹細胞の有効性を再現するためには、ぺトリ皿に集められたこれらのホルモンを用いることができることを、明らかにしました。このことは、幹細胞療法の著しい進歩であり、幹細胞を注射しなければいけないという結論に至ります。幹細胞がどのようなホルモンを分泌するか今のところ分かっていません。このホルモンを同定することは喫緊の課題です。それにより、対応がいろいろ立てやすくなります。そして、腎臓病の患者や心不全患者の福音に繋がる可能性が出てきます。

慢性腎臓病と末期腎不全患者の人数は、年齢と共に、かつ、ニ型糖尿病を発症している人々では、更に上昇すると考えられます。腎臓病の人々は、しばしば心臓病を発症し、彼らの多くが腎不全よりは、むしろ心不全で死亡しています。対策が急がれます。

References

Drs. Yuen and Gilbert: Stem Cells. Oct .16, 2013

New way to treat chronic kidney disease and heart failure: ScienceDaily. Oct. 16, 2013