医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

結腸ガン対策とフラボノイドのルテオリンの予防効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-01-06 20:14:57 | 健康・病気

フラボノイドなどの抗酸化物質のガン予防効果については、数多くの研究がなされ、一般的にその予防効果が認められています。当方の調査でも、フラボノイドの多い野菜や果物をよく食べ、肉や動物脂肪を少ししか摂取しないヒトは、ガンになりにくく、野菜や果物の摂取が少なく、肉や脂肪をよく摂取するヒトは、ガンに成りやすいという傾向があります。今回、フラボノイドのルテオリン(Luteolin)の結腸ガン(大腸ガンの一種)に対する予防・治療効果が証明されたので、ここに紹介します。なお、新しい研究なので、更なる研究により、仮説が正しいことが証明されることを期待しています。

植物フラボノイドのルテオリン(Luteolin)が、結腸ガン細胞の細胞信号伝達経路をブロックすることにより、ガン細胞の生長を阻害することが、BMC Gastroenterology誌に載ったJung Park博士らの研究で証明されました。

ルテオりン(黄色い色をした新栄養素)は、フラボノイドの中ではあまり聞きなれない化合物ですが、私たちが、毎日食べる野菜や果物に普通に含まれている物質です。ルテオりンは、実験室の条件下において、抗炎症作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用などを有することが、証明されましたが、疫学的研究による結果では、その信頼性は乏しいようですが、統計処理に問題が有るかもしれません。

さて、ルテオりンは、結腸ガン細胞の生長に重要な、細胞信号伝達経路(IGFとPBK)の活性化を阻害できることが証明されました。そこで、結腸ガンとルテオリンについて論じたいと思います。

結腸ガンは、欧米では死亡率が二番目の恐ろしいガンです。肉食が誘因であると言われていますが、その病態分子生化学的研究では、結腸ガン細胞は、正常な結腸組織と比較して、IGF-1値の上昇が認められました。これは、コントロールされていない細胞分割とガンの生長を誘導するメカニズムの一部分と考えられます。

ルテオリンが、結腸ガン細胞によるIGF-2の分泌を阻害でき、2時間以内に受容体(IGF-IR)の先駆体蛋白量を減少させることが、証明されました。そして、ルテオリンは、活性受容体(IGF-1依存性リン酸化により測定)量を減少させました。ルテオリンは、IGF-1の生長刺激作用を阻害し、ガンでの、IGF-1により活性化される細胞信号伝達経路に作用することを、Jung Park博士らは発見しました。

ルテオリンは、細胞信号伝達経路のP13、AKtそれにFRK1/2とCDC25cのIGF-1依存性活性を減少させました。ルテオリンは、結腸ガン細胞の細胞信号の伝達と拮抗することの証明は、フラボノイドがガン細胞にどのように作用するかの解明に前向きの希望を与えるものです。in vivoでのメカニズムに対する理解とその結果が、有効な化学的予防因子に発展するかどうか、見つけることが必須事項となっています。更なる研究の積み重ねにより、そのメカニズムの解明が待たれます。

References

Plant flavonoid Luteolin blocks cell signaling pathways in colon cancer cells :Science Daily , Jan. 23, 2012

Luteolin decreases IGF-2 production and down regulation insulin-like growth factor- 1 receptor signaling in HT-29 human colon cancer cells :BMC Gastroenterology, 2012