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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

三宅島を歩きました。

2012年12月20日 | 火山・ジオパーク
火山合宿@三宅島の報告です。

昨日の午後、無事三宅島に到着。

昨日は三宅島のネイチャーガイド穴原さんにガイドをお願いし、今日はレンタカーを借りて島を回りました。

100年の間に4回も噴火している三宅島は、まさに“生きている火山の島”
それを実感できる景色に、たくさん出会いました。

三宅島到着後最初に立ち寄ったのがここ。

車が丸々溶岩流に飲み込まれていました!
大島には壁に遊歩道のコンクリートが挟まれている場所がありますが、それよりもずっと生々しい感じがしました。

1983年の山腹割れ目噴火で、500世帯のうちの350世帯が溶岩流に飲み込まれてしまったという阿古集落。

この溶岩の下には、たくさんの家が埋もれているのですね…。

小学校もそのままの状態で残っていました。

ここが2階だったなんて…。

立て看板には溶岩が流れてくる前と後の写真が並べられていて「溶岩流による被害」をリアルに感じることができます。

さらに、午後3時頃に噴火が始まり夜には溶岩で覆い尽くされてしまったけれど、近所の人が声を掛け合って逃げ1人も犠牲者が出なかったこと、警察や消防団など最後まで残った人たちは道が塞がれてしまったので、漁船で海から脱出したことなど、穴原さんの語る当時の様子を聞くと、ますます臨場感が高まります。

「メガネ岩」と呼ばれていた海岸の2つのアーチは、1つが台風で崩れてしまったそうですが、その崩れた岩の隙間から、“3本岳”という、大島で言うところの「筆島」のような溶岩を、見ることができます。

ここに沈む夕日は、とても美しいとか。
いつか見てみたいです!

現在、中央火口周辺は危険区域となっていて、立ち入りが禁止されています。
でも山の中腹にある「七島展望台」までは、車で登ることができます。

大島の裏砂漠のような、穴だらけの溶岩が降り積もった丘から、伊豆七島が全て見渡せます。

大島から見える伊豆諸島は縦に重なってしまうのですが、ここでは水平線に浮かぶようにグルリと並んで見えて、それがとても素敵でした!

風の強さは、ハンパじゃなかったですけれど・笑

マグマ水蒸気爆発が引き金となって、池の水が干上がってしまうこともあるようです。

噴火後水が涸れた新濡池の跡地で、穴原さんが水があった時の写真を見せてくれました。

その時の爆発で飛び散った大きな石は、そのまま石垣に利用されているそうです。

やるな~、人間!

海底噴火で一晩でできたという赤い丘“新鼻新山”にも行きました。

昨日まで海だった場所に、翌朝こんな赤い丘ができていたらビックリですよね。

「コシキの穴」と呼ばれる、江戸時代に噴火した火口は、有志の手によって整備され、火口底と火口一周を歩けるようになっていました。

まん丸い火口の底にはベンチが置かれ、ゆっくりできるようになっています。
空を見上げると、ぽっかり丸い(ちょっといびつだけれど)穴が空いていて「火口だ~。」と感じました。

鉄砲沢という泥流対策のダムも、地図の中で紹介されていました。

防災の施設の紹介も、大事ですよね。
ガイドの皆さんで考えて作ったということですが、よく考えられているなぁ~と思いました。

ところで、今回の三宅島訪問で、一番印象に残ったのは、火山ガスの威力です。
山の中腹の木は、はぼ全てが立ち枯れ状態になっていました。

立ち枯れの情報は知っていましたが、知識として知っているのと実際に見るのとでは大違いでした。
かなり衝撃…。

木の立ち枯れは山の上だけではなく、風下にあたる地域の森にも相当なダメージを与えていました。
かつてはスダジイの森だったという“椎取神社。

スダジイたちは、火山灰の泥流と火山ガスによって、噴火後次第に枯れていったようです。
でも再び成長をはじめ、今では人間の背丈を超えるぐらいになっています。

看板には、立ち枯れ状態になるまでの経過が記されていました。


最後の写真と、今の写真を見比べると、木々の再生の様子がわかります。

ここにも、噴火の中でたくましく生きる植物の姿が…。
こうやって破壊のダメージから再生する命を目の前で見ると「スゴイなあ」と思います。

看板には写真だけではなく、時には絵も使われていました。

「加藤淘綾画伯筆」とあります。
画家の絵を看板に使うなんて、これまたスゴイです!

看板は写真や絵と実物を比べられる向きに立っているので、とてもわかりやすかったです。


1940年の噴火で、これまた一夜にして誕生したと言われる「ひょうたん山」に登りました。

小さな山のてっぺんに火口が空いていて、その火口越しに海が見えます。
割れ目噴火が多く、海のそばに火口が点在する三宅島ならではの風景です。

赤と黒の溶岩と、海と空の青が、すご~く奇麗です!


海岸沿いの見事な柱状節理が眺められるのは…


「サタドー岬」と呼ばれる、断崖絶壁の上から…。
人が右側の崖の上に立っているのが見えるでしょうか?

下をのぞくと吸い込まれそうで、ドキドキしました~。

看板には、「赤色立体図」も使われていました。

わかりやすいです!

火口の中に建つ、三宅島らしい高校にも看板が!

周りは火口壁で囲まれています。

そして、火口湖の大路池には遊歩道が作られています。

下から見ても丸いけれど、

上から見ても丸い!(当たり前?笑)


夕方、アカコッコ館というビジターセンターに寄ってみました。
入り口を入ると、地元中学生が何年間かかかって作ったという、力作の立体地図が置いてありました。

スバラシイ~!

また、2000年の噴火をアクリル板で表した、地元高校生の作品も…。

地下のマグマが、海底を神津島に向かって移動して行ったことが表されていました。
なるほど~。

最後に、地元ガイドの皆さんと少しだけお話をする機会がありました。
三宅島の自然の魅力を、外の人たちに向けて伝えようとして、頑張っている皆さんです。

短い時間でしたけれど、ガイドの皆さんの三宅島への思いを感じました。

これから伊豆諸島の島々のガイド同士で、協力して伊豆の島々のトータルな魅力をさがしていけたらいいなぁ…。

明日もヘリの時間ギリギリまで、案内してくれることになっています。

さらに色々見て、大島へ帰ります!

(カナ)















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