グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

小山真人先生勉強会・フィールド編

2014年07月13日 | 火山・ジオパーク
昨日、「伊豆大島の噴火史と土砂災害~火山島の自然との向かい合い方を考える。」というテーマの講演会,および御神火スカイライン現地勉強会が行われました。(今日は御神火スカイライン勉強会のみ,報告します。)

講師は静岡大学防災総合センターの小山真人先生。

今回の勉強会は、先生から「被害に遭われた方に精一杯の気持ちを表したい。」と開催の申し出があり、ジオパーク推進委員会が、お手伝いをさせていただく形で実現しました。

参加者は 総勢17名。
約3時間かけて山頂口から車道を下りました。

大島では、西暦1300年代に元町の上の山腹に連なって火口が開き、流れ出た溶岩が元町を広く覆ったと言われています。

そして溶岩流の上には“スコリア”と呼ばれる黒色や赤色の軽石が降り積もって、連なった山を作っていたそうです。

この景色を眺めている場所の後ろの山側の壁は…

確かに、赤い穴だらけの“スコリア”が積っていました。


赤いスコリアの上には「レス」とも呼ばれる細かい粒子の黄色い層と、黒っぽい火山灰層が乗っているのを目の前で観察しました。


降り積もった溶岩の下から流れ出し、元町の広い範囲を覆った溶岩流が出てきました!

左のグレーの岩が、冷えて固まった溶岩流の断面です。

崩落した道路を乗り越え…


みんなで崩れた斜面を見上げ…


水の染みにくい層の下からも、水が抜けた穴が見つかる場所を教えてもらい…

地下の構造がどうなっているのかを、何人かで議論しました。

過去に降り積もった細かい“スコリア”の上に、液体の溶岩が流れたことが良くわかります。


民家があったあたりでは…

緊急対策として作られた、導流堤(水や土砂や流木が、ちゃんと海に流れるように導くもの)が完成していました。

そして、昨年の台風26号で流木が詰まって溢れた橋の所で…

沢の側面に見られる地層を観察。

ここの地層から小山先生は「被害の大きかった神達地区には、1300年代前半の噴火で流れた溶岩(元町溶岩)とその直後の土石流以後は、大きな土砂災害は起きていない」と判断されたようです。

…しかし近くの大金沢には、土石流が流れた跡があるとか…。
で、大金沢の砂防ダムの上流部まで見に行きました。

大小様々な白い石が混ざっているのが土石流の層です。
昨年の土砂流は、過去の土砂流に比べてかなり広範囲だったのですね。

流された土の中に根が混ざっていたのでしょうか?
沢を流れ下った土砂の上に、ヒメオウギズイセンの花が一輪、咲いていました。

復興に向かう大島を励ましているようにも、犠牲になられた方達を弔っているようにも見えました。

暑い1日でしたが、現場を見て、1つ1つ納得していくことができて良かったです。

小山先生、そして参加された皆さん、お疲れさまでした!

(カナ)
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