グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

三原山地蔵尊

2023年01月12日 | 歴史・文化
昭和初期の大島の観光は、元町から三原山に徒歩で登っていました。
そんな、大島の昭和の観光遺産ともいえる、当時の登山道の一部の面影が残る
場所に行って来ました!

御神火スカイラインをメモリアル公園から登った中腹あたりの道路の右側に
目的地への入り口があります。


車が2台ほど停められるスペースがあります。
カーブが多い道なので、路駐は厳禁です❗️

スカイラインに面して、安置されている
こちらの木彫りの六地蔵と観音菩薩像は、
2013年の台風26号による土石流災害の被害にあわれた方々の慰霊と供養のために
岐阜の仏師さんが災害直後に来島され、流れた倒木を刻んで彫られたそうです。
(「三原山登山道五合目地蔵尊を守る会」資料参照)


「三原山地蔵尊参道」の看板があります。
もっと奥まで行ってみます!


実は、ここには8月にクエストハウス企画の「島せんせ〜」で
教育文化課の岩崎さんに案内してもらいました。


2013年の土石流災害で橋が流されてしまい、アクセスがなくなってしまっていたのを
2020年に新しい橋を作ったそうです。


橋の下を覗くと、枯れ沢になってます。
溶岩っぽい地面です。
(写真ではわかりづらいですね...😢)


橋から右手には、元町の街並みの前に広がる海と伊豆半島!
写真ではうっすらですが、富士山は今日も雄大です✨


振り返ると、スカイラインが少し見えます。
島の斜面にいるのがよくわかります!


きれいに整備されている登り斜面。


急な斜面なので、ゆっくり登ります。


車を停めたところから、4-5分くらいで見えて来ました!


ここには3種類のお地蔵さまが鎮座しています。

三原山地蔵尊(線彫地蔵尊)

昭和初期の仏画の第一人者、木村武山(きむらぶざん)による画です。


”三原地蔵尊”の標柱

この独特の字体は、
新宿中村屋のロゴの字体も書いた中村不折(なかむらふせつ)による書。

こちらは、六地蔵。
6つの苦しみの世界である六道それぞれを地蔵ひとりひとりが廻り、
全ての存在を救うという意味から六体一緒に置かれているそうです。


そして、こちらは、延命地蔵。


なぜ、この場所にお地蔵さまが鎮座しているのでしょう。
由来が看板に書かれています。


要約すると...

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昭和7,8年ごろ、三原山火口に身を投げる自殺者が相次ぎ、
亡くなった方への弔い、また命の大切さを提唱するため、
有志の方々により、昭和10年に建立されました。

この地は当時の三原山登山道の五合目にあたり、
今は山頂にある「歌の茶屋」が道の傍らにあり、
多くの登山者が足を停める場所でした。

戦後、三原山に車で登る、現在の登山道が開通すると、
旧登山道は、利用されることがなくなり、十数件あった茶屋もなくなり、
お地蔵さまたちもご供養されることのないまま、
三十数年、生い茂る樹木の中放置されていました。

昭和47年に地元有志の協力のもと、周辺が整備、清掃され
毎月14日を供養の日と定め今日に至っています。

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道がきれいだなと思ったらやはり守っている方々がいらっしゃるんですね。
感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、さらにここから数分、山道を登っていくと


あるのが、昭和9年に建立された
「昭和天皇駐蹕(ちゅうひつ)碑」です。


昭和天皇が昭和4年に伊豆大島にご来島された時、
この場で休憩されたのを記念して建てられたそうです。




周りには旧登山道の石段と思われる面影が!


2013年の土石流の際、山腹は激しく崩落し、
橋は壊されましたが、
お地蔵さまたちと石碑は無事でした。

昭和ー平成ー令和と、それぞれの時代に様々な事象が起こりながらも
わたしたちを見守り、静かに鎮座するお地蔵さまたち。

夏に行った時は、山中なので、蚊も多く、マムシに気をつける必要がありましたが
緑が青々としていました。


その後、8月13日の大雨で土砂災害(人的被害はなし)があり、
スカイラインが10月21日まで封鎖されていたので、気になっていました。

ときどき、お地蔵さまに会いに行きたくなります。

気軽に参拝できるように整備してくださっている皆さまに
心より感謝申し上げます。

(ユリカ)

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