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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 732 週間リポート・広島東洋カープ

2022年03月23日 | 1977 年 



先が思いやられる無残な男
移籍して来て最初の登場がこれほど無残な選手も珍しい。開幕の大洋戦、5点リードされている場面での初登板は気分的に楽な筈。ところがいきなり被安打3・四死球3で4失点とこれ以下はないという投球内容だった。その無残な男とは新美投手。相手が巨人や阪神といった上位チームなら救いもあろうが、大洋というのが何ともマズイ。何故なら新美は日ハムとの交換トレードで広島に来たのだが、交換相手は佐伯投手だった。佐伯は昨季10勝したが、そのうち7勝が大洋相手の自他共に認める " 大洋キラー " だったのだ。

それはファンも承知していて「なんやコラッ新美、お前は大洋キラーの佐伯とトレードされたんやぞ。ナニしてるんや!」と罵声を浴びせた。悪いことにその後味方打線が4点を返したことで結果的に新美が追い上げムードに水を差したことになってしまった。それだけに新戦力と期待していた古葉監督もガックリ。「狙ったところに球が行かなかった。この失敗は次に必ず取り返す」と話す新美だがこの悪印象がナインの不信に繋がらなければいいのだが…。


今日の事は生涯忘れません
最近の高校生は甲子園で一つ勝ったくらいでは泣かない。ところが小倉での巨人戦で勝利投手になった池谷投手は試合後にベンチでひたすら泣き続けたのだ。開幕以来チームは1分けのみの6連敗中。この日負けると昭和29年に広島が作った開幕からの連敗記録に並ぶことになっていた。池谷は今季既に2試合に登板し、いずれもKOされていた。しかも2本柱と見られていた外木場投手が右肩の関節炎で戦線離脱し、打線も低調が続きもはや池谷の力投に期待するしかなかった。

こうした背景の登板だったので勝った時の喜びはいつも以上に大きかった。巨人打線を4安打・1失点に抑え、堀内投手との投手戦を2対1で完投勝利した。「嬉しい…」と言うと後の言葉が続かない。暫く間をおいて「今日の試合は生涯忘れない」と振り絞るように呟くのが精一杯だった。日南キャンプで欠かさなかった早朝ランニング。その時の精進は今でも語り草。「ゆるぎない精神力を養う狙い」の池谷は今ようやくセ・リーグを代表する投手を目指してスタートラインに立った。


ドラ斬って新人王が見えた
負け数こそ「1」だが過去5試合の投球内容がサッパリの2年目・北別府投手。周囲では新人王どころではないとの声さえ聞こえてくる。その北別府が5月7日の対中日8回戦で今季初勝利を上げた。被安打6・失点2の完投勝ちに本人以上に周りの大人も一安心した。一時は「スピードがない」「若さが感じられない」など酷評されたが、この日は伸びのあるストレートを内外角コントロール良くビシビシ決めて相手の中日・与那嶺監督からも「素晴らしい。将来楽しみな投手だ」と絶賛された。

プロ初完投のウイニングボールをしっかりお尻のポケットにしまって「高校時代からウイニングボールは家に持ち帰っていました。もちろん昨年のプロ初勝利のボールも飾ってあります」と素直に喜ぶ北別府に古葉監督は「球に力が出てきた。相手打者はナイターになったらもっとスピードを感じるようになると思うよ」と目じりを下げる。目標としている新人王は大洋の斎藤投手や人気者のサッシーなどライバルは多いが「一生に一度のチャンスですからどこまでも挑戦します」とヤル気満々だ。

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