Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 823 鈴木啓示

2023年12月20日 | 1977 年 


鈴木啓示投手とはもっと早く対談をしたかったが、なかなかチャンスがなかった。オールスター戦前のロッテ戦に上京した際にようやく時間をとってもらうことが出来た。今や両リーグを代表する左腕投手からどんな秘話が聞けるか期待は大きかった。

低迷したとき考えた
聞き手…ようやっとるねぇ
鈴 木…いや、もう息が詰まるような感じですわ(苦笑)
聞き手…近鉄としては精一杯か?
鈴 木…我々選手がこんなことを言うのおかしいけど、ようやってる方やね。
聞き手…打てないからねぇ(苦笑)
鈴 木…チーム打率は12球団最低でしょ。2割3分いってない。ようあそこまで粘ったと思うね。
聞き手…打線が湿ってると、どうしても自分が抑えなきゃと思うんじゃないの?
鈴 木…以前は自分で言うのもアレですけど投げやりな性格だったんです。もうアカンと思ったら諦めが早かった。
    それが年齢と共に変わってきました。

聞き手…粘っこいピッチングになってきた?
鈴 木…いや、それよりも生意気な言い方ですけどチームの中で自分の置かれた立場を考えるようになった。
    変な色気とかなしに自分が試合を捨てたら誰が後始末するんやとか考えるようになった。

聞き手…つまり以前だったら、あぁ今日は相手投手の調子が良いし自分が1点・2点取られたらもうダメだと諦めて
    手を抜いてしまったと。

鈴 木…自分で計算してしまった。今日はもうエエわと決めてしまった。気分屋だったんやね。
聞き手…いつ頃からその気持ちが変わったの?
鈴 木…ただ力だけで投げていた間は計算できた。25歳くらいから3年ほど10勝ラインで低迷した時期があって
    その時に自分勝手に投げても試合には勝てないと思うようになった。


阪神が好きだったが
聞き手…第1回目のドラフト組だよね?
鈴 木…はい。巨人の堀内投手と同期です。
聞き手…はっきり言って同期は多くが消えて行ったね
鈴 木…う~ん、そうですね。
聞き手…そのドラフト1期生で200勝したのは君が最初で、今なおエースとして頑張っている。しかも近鉄は
    正直言って決して強いチームじゃないだけに、君の実力で勝っている。大したもんだよ。

鈴 木…それも巡り合わせですよね。僕らの時からドラフト制度が出来て自分で行きたいチームを選ぶことが
    出来なくなった。でもあそこのチームが好きだとかファン目線で見るのと職場として働けるかどうかは
    全く違う。関西に住んでいましたから阪神が好きでしたし、阪神からも欲しいと言われてました。
    ドラフト制度が無かったら阪神を選んでいたかもしれませんが阪神で今みたいな野球人生を過ごせて
    いたかは分かりません。

聞き手…近鉄に指名されてすんなりプロ入りを決めた?
鈴 木…いえ、当時は阪神以外は大学進学を考えていました。でも色々な方の話を聞いて最終目標はプロ入りだと。
    だったら1日でも早くチャンスがある時にプロ入りすべきと気持ちを入れ替えて近鉄入団を決めました。


まずライバルに勝つ
聞き手…入団当初からずっと一軍でしたか?
鈴 木…ドラフト2位指名で無名でしたし最初は二軍でした。ウエスタンリーグのトーナメント大会の準決勝戦で
    完封したんです。そして翌日の決勝戦で5回からリリーフ登板して抑えて近鉄が優勝したんです。近鉄が
    優勝と名が付くものを手にしたのは一軍はもちろん二軍でも初めてで、ご褒美で一軍に上げてもらえた。
    5月24日の後楽園球場の東映戦で投げてプロ初勝利です。

聞き手…ドラフト2位指名か。1位指名は誰だったの?
鈴 木…田端(謙二郎・鎮西学園)というてね電電九州から来た投手です。当時の野口投手コーチが田端投手は
    即戦力で15勝が確実だと評価していて最初から一軍でした。

聞き手…ライバル意識はあった?
鈴 木…ありましたね。ないとダメでしょ。プロの世界は負けず嫌いじゃないと成功しないと思います。敢えて口に
    出すかしないかは別にして。

聞き手…チーム内でライバルがいなくなったら他のチームの選手をライバル視?当時の左腕投手だと梶本投手(阪急)?
鈴 木…梶本さんや小野さん・荒巻さん(毎日)ですかね。でも一番は村山さん(阪神)です。
聞き手…今後の目標は優勝ですね?
鈴 木…はい。是非とも西本監督を胴上げしたいです。それと個人的には300勝です。
聞き手…おお、300勝ですか。頑張って目標を達成して下さい。今日はありがとうございました。
鈴 木…はい、頑張ります。ありがとうございました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« # 822 選手会 | トップ | # 824 惜別 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

1977 年 」カテゴリの最新記事