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買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 771 後期展望・南海ホークス

2022年12月21日 | 1977 年 



質量誇る投手陣で優勝は最短距離
南海は前期シーズン終盤の雨また雨に見舞われた時に大阪球場で全員参加の練習を決行した。それはただの練習というよりミニキャンプのようだった。各選手が自分自身で計画的なスケジュールを設定し練習した。「まだ数字上は阪急の優勝が決まったわけではない。首の皮一枚つながっている間は諦めない」と野村監督は言っていたが、実際は後期シーズンを見据えた態勢づくりだったのは明らかだ。前期優勝を逃した原因は何か。後期を制するには何が必要なのかを見極める為の練習だったのだ。

先ず投手陣は山内投手と江夏投手が誤算だった。中でも昨季20勝して今季の柱になると期待していた山内投手が不調をかこった。山内本人は「走者を出した後のリズムが悪かった」と振り返るが、それ以上に右肩痛が消えず後期も苦しい。ここ4年間で二度も20勝している実績から、このまま終わるとは思えないが過度の期待は危険。後期は若い藤田投手に頼らざるを得ない。前期の藤田投手は5連勝したかと思えば6連敗を喫するなど安定感を欠いたが、松田投手コーチが付きっきりで200球の投げ込みをするなど改善に意欲的だ。

この藤田投手と並んで夏場への期待は広島から移籍して来た金城投手だが最近パッとしない。「お前、マウンドで八百長やってるんと違うか」と捕手の野村監督が試合中に怒り出すくらい金城投手の状態は悪い。また江夏投手は例の血行障害の為に先発からリリーフ役に転向したが、まだ野村監督の信頼は得られず緊迫した場面での登板は少ない。ただし先発陣は質量ともにリーグトップクラスなので他球団が夏バテ状態になった時に休養充分な江夏投手と救援の切り札・佐藤投手の起用で逃げ切りを目論む。


若タカ4人組の奮起がカギだ!
打撃陣にも問題はある。ホプキンス・ジョーンズ選手の両外人の長打力とクリーンアップの攻撃力は後期シーズンも期待できるが、顎を骨折した藤原選手の復帰は8月にズレ込みそうで若手選手の奮起が待たれるが好不調のムラがある新井選手、定岡・柏原・河埜選手ら若タカ4人組がどこまで成長するかである。「結果を恐れないで守備でも攻撃でも思い切ってプレーできるようになってきた」という定岡選手の言葉が若手陣の成長を物語っている。野村監督は「昨年までは守備の乱れから失速し優勝争いから脱落していたが、今年は守備だけなら阪急に負けない」と自信を深める。

野村監督は開幕前に阪急戦で完投勝利した投手は「3勝」の評価をし、契約更改の査定材料とするとした。打者も阪急戦での活躍の度合いで懸賞金が割り増しとなった。そのせいかどうか、阪急とはほぼ互角の戦いだったが近鉄には2勝8敗2分け(6月25日現在)と大きく負け越してしまい優勝を逃した。当面のライバルである阪急に勝ってもその他のチームに負けていたらリーグ優勝を望めない。カネをちらつかせて…というわけではないが後期シーズンでは阪急戦に限らず全試合で報奨金を続けるという。昭和48年の前期以来の優勝への関門は思いのほか険しいようである。

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