H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

雑誌『総合診療』10月号から

2019-10-06 | 臨床研修

今日届いた雑誌『総合診療』10月号が面白くて一気に読みました。「教えて!医師のためのビジネス・スキル」という特集で,自分はビジネス・スキルなんてからきし知識がありませんが,すごく勉強になりました。

 

冒頭にあった尾藤誠司先生の総論には特に感銘を受けました。イントロに書かれたQ&Aで『患者さんが医師に語った「言葉」が「病歴」に置き換えられる時,得られるものと失われるものは何か?』 という質問は,いつも私も考え続けていることだったので,そのまま引き込まれるように読み進めました。患者さんの「言葉」を「病歴」として整理することによって,言葉が「治療や診断」に役立つ情報になるが,同時にそれは言葉の元になった「体験」や「言葉の意味」が失われる部分がある,というところには深く納得させられました。

さらに,ご実家が美容院だった尾藤先生が子供の頃に見てきたお母様の美容師としての仕事ぶりと,医師の仕事を対比させて,似ているところ,異なるところを述べておられます。美容師という仕事を身近で見て「プロフェッショナル」ということがどういうことかを考えるきっかけになったとのことです。

その後につづく内容は,ひとつひとつが「そのとおりだなあ」と思うことばかり。自分が漠然と今まで思ってきたことを「明確に文章化された」ような感じがして非常に感銘を受けました。

 

 特に印象に残った文章の覚え書き。

 ・専門技術サービスの醍醐味は,自分たちが持つ専門的知識や技能が,まず「人それぞれ」を排除し,「誰にも共通する1つの解」の存在を信じながらも,あえて今自分が立っている現場においては「人それぞれ」として考え,最適解からズレた「落としどころ」を探っていくことなのだと私は考えている。

・「”あれか,これか”ではなく,”あれも,これも”という視座を持つこと

・「患者に何かを伝える時,そこに少しだけウソをしのばせること」について,私は自覚的であり続けたいと思っている。私が患者さんに「きっと良くなりますよ」と言う時,そこにはウソがしのばせてある。

・大切なことは,その伝え方にウソがしのばせてあることを自覚しながら,プロフェッショナルの覚悟とともに表現することだと思う。

 特に「プロフェッショナルの覚悟とともに,ウソをしのばせること」(下線須藤)という表現は心から同意します。この文章を読んだだけでも,今月号を読んだ意味があったと思いました。

 

他にも中西重清先生の「外来待ち時間」や,研修医の働き方改革の実践とか,普段じっくり考えないような内容が盛り沢山でした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする