H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

第42回大船GIMカンファレンス

2018-08-25 | 臨床研修

無事,終了しました。今回も遠方から沢山の方の参加をいただきました。ありがとうございます。

1症例目は,はじめてプレゼンいただいた昭和大学総合診療部の原田 拓先生。52歳女性のCT陰性の雷鳴頭痛の症例。恥ずかしながら私はこの疾患のことを知りませんでした。可逆性脳血管攣縮症候群(Reversible cerebral vasoconstriction syndrome : RCVS)という中年女性に多く,急性の激しい頭痛で発症し可逆性の脳血管攣縮を伴う疾患でした。ときに神経巣症状や痙攣を伴う,比較的予後は良好であるものの脳出血や脳梗塞を伴うとのことです。RCVSについてのまとめに続いて,SAHをCTで認めなかったときの雷鳴頭痛のマネジメントはどうすべきかなど,役に立つdiscussionが沢山ありました。

2例目は,東海大学から当院にローテーションで研修中の相原一樹先生。この症例は,病歴というよりも酸塩基平衡の異常をどう読み解くかが鍵になるケースで,今までの大船GIMの症例とひと味違いました。37 歳の糖尿病患者が脱力,歩行困難でERに搬送。著明なアシドーシスがありただのDKAと思いきや,ものすごいアシドーシスなのに著明な低K血症がある。何故?ということですが,酸塩基平衡を順に解析してゆくと尿細管性アシドーシス(RTA)があるところまでは行き着きます。でもその原因は?外泊からもどったときにあった臭気や,運転手の証言から実はトルエン中毒(シンナー吸引)であったことが判明します。アニオンギャップ正常の代謝性アシドーシスの鑑別診断は大きく,下痢がRTAなんですが,そのRTAの原因としてトルエン中毒を忘れないように・・というのがTake Home Messageでした。

小ネタはこれに合わせて,酸塩基平衡のキホンと尿pHと尿アニオンギャップの簡単なまとめをお話しました。そしていつもの懇親会は,いつも通りに楽しい会となりました。

次回は,11月17-18日(土日)に恒例の温泉カンファレンスを予定しています。会場はニューウェルシティ湯河原を予定しています。
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