実際の臨床とcase studyの決定的な違いは何であろうか。それは病歴や身体所見で意味のある所見が自分で探そうとしなくても出てきてしまうことにある。意味のある病歴や身体所見は,自ら積極的に質問したり,探すという能動的な行動がなければわからない。
医学生は医療面接で最初に開放型の質問からはじめるようにと教えられる。しかしすぐに,それだけではほとんど意味のある情報を得ることができないことに気付かされる。実は効率良く鑑別診断を進めるためには,いかに意味のある具体的なyes, noで答えられる質問ができるかにかかっている。経験豊かな臨床家と医学生のもっとも大きな違いは,それぞれの臨床症状あるいは主訴からどれだけ具体的な情報を(鑑別診断に上がった疾患について)rule in, rule outできる質問から得られるかにある。
正しい質問を投げかけることができて,ど真ん中の情報を聞きだせた時ほど嬉しいことはない。
To make the correct diagnosis we need the right choices.
To consider the right choices we need the right information.
To obtain the right information we need to ask the right questions.
Asking the right questions is the hallmark of clinical expertise.
AN ABUNDANCE OF OPTIONS. CPS. NEJM 329: 413, 1993