面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「ゾンビーバー」

2015年07月23日 | 映画
ズボラな運転手が携帯片手に運転するトラックが、田舎道で鹿に激突。
その衝撃で、荷台に積んであった汚染廃棄物の入ったドラム缶の一つが、そばを流れる川へと転げ落ちた。
下流へと流れていったドラム缶は、とある湖に作られたビーバーの巣に引っかかって止まったが、はずみで中身が吹き出し、辺りを汚染してしまう。

ある日、湖のほとりにあるコテージに、メアリー(レイチェル・メルヴィン)、ゾーイ(コートニー・パーム)、ジェン(レクシー・アトキンス)の仲良し3人組がやってきた。
彼氏の浮気に傷ついたジェンを慰めようとメアリーが、週末に無人になる親戚の所有するコテージを借りて、“女子会キャンプ”を企画したもの。
昼間は近くの湖で遊び、夜は過激なガールズトークを楽しんでいた3人だったが、彼女たちの彼氏であるサム(ハッチ・ダーノ)、トミー(ジェイク・ウィアリー)、バック(ピーター・ギルロイ)が突然乱入してきて乱痴気騒ぎになる。
そんな中、シャワーを浴びようとしたジェンが、バスタブで共謀なビーバーに襲われ、慌ててバスルームから飛び出してきた。
おとなしいはずのビーバーが、まるで違う生き物のように牙をむく恐ろしい姿に、トミーがボコボコに木で殴って撲殺し、ゴミ袋に放り込んでコテージの玄関から放り出した。

翌朝、ゴミ袋が破れて、中に入っているはずのビーバーの死体が無くなっていた。
森の中のコテージゆえ、野生動物が食ってしまったんだろうとタカをくくる3人だが、それがその後に起こる凄惨な事件の幕開けとなることを知る由も無い…


週末のバカンスに、森の奥にたたずむコテージへとやって来る下品でユルい大学生たち。
そこで繰り広げられる乱痴気騒ぎと、その喧噪をよそに迫りくるモンスター、やがて繰り広げられる血しぶきにまみれる惨劇…
キャンプ、バカな学生、お色気、スプラッターと、伝統的B級ホラーの基本を忠実に踏襲して物語が進む。

映画が始まってしばらく続く、トラックに乗る二人組の男たちの下品極まりないユルい会話。
この下衆さは、B級テイストにおける基本的なスパイス。
いきなりのご機嫌な味付けに、思わず吹き出して笑ってしまった♪

汚染物質にまみれて遺伝子に異常をきたし、ゾンビとなって狂暴化するビーバー。
鋭い前歯を牙のようにむき出すものの、マペット感たっぷりの“ちゃちな”作りで動きも雑(笑)
CGによるVFXなどクソくらえなその姿に、恐怖感よりも“失笑感”が湧き起こる♪


B級スプラッターホラーの王道をゆくのだが、うまくスカされるところが楽しい!

登場して早々に見事なバストを惜しげもなく開示する、セクシーで少々下品な美女ゾーイ。
彼氏に裏切られて落ち込む、マジメで少し引っ込み思案なジェン。
そんな彼女たちの中に立つリーダー格のメアリー。
この組み合わせならば、だいたいはゾーイは早々に殺されてしまい、次にメアリーが死に、最後はジェンが生き残るだろう。
無意識のうちにそんな予測をしながら観ていたが、それを見事に外される意外な展開にワクワクする♪

また、「ゾンビモノ」にはかかせない、ゾンビに噛まれてゾンビになるという現象は、ビーバーのゾンビだけに、ただ人間がゾンビ化するなどという単純な話ではない。
ビーバーに噛まれてもしばらくは何も起きないのだが、やがて奇想天外な変貌を遂げていくことになってビックリ♪

そして惨劇が収束して平和が訪れる終盤。
そこでもう一度ハラハラな展開があるのはお約束だが、あ!と思わせた瞬間にやって来る、実にあっけない幕切れに爆笑した♪

さすがは「ハングオーバー」シリーズの製作者クリス・ベンダーとJ・C・スピンクが手掛けただけのことはある。


映画「アイアンマン」におけるサミュエル・L・ジャクソンを彷彿とさせる、次作への伏線となるシーンが登場するので要注意。
そこから類推するに、きっと次回作のタイトルは「ゾン○○」に違いない!
というのが、映画情報バラエティ番組「Theがってんシネマ」における結論である。
(「○○」は当局の指導により伏字としています)

最後の最後まで、ワクワク・ゲラゲラし通しの、オーソドックスなB級スプラッターホラー&モンスター系パニックムービー♪


ゾンビーバー
2014年/アメリカ  監督:ジョーダン・ルービン
出演:レイチェル・メルビン、コートニー・パーム、レクシー・アトキンズ、ハッチ・ダーノ、ジェイク・ウィアリー、ピーター・ギルロイ、レックス・リン