面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

秋雨の甲子園

2007年09月30日 | 野球
29日、甲子園最終戦。
甲子園では10月から改修工事が始まるため、現行の甲子園を見られるのはこの日が最後となる、A Kind Of 記念日。

試合は、最近のチーム状況そのままに、早々と先発投手が先制点を許し、低調が続く打線は跳ね返す気配も見せないままズルズルと進む。
いわゆる“暗黒時代”を思い出させるような試合展開に、アルプスに陣取るファンのフラストレーションは溜まる一方。
5対0と一方的な展開のまま、終盤になってついに雨が降りだした。

霧雨はしとしとと、最後まで止むことなく降りつづけた。
「タイガースファンの涙雨じゃーっ!」
どこかでファンが叫んでいる。
8回になってようやくチャンスができ、連打で2点が入った。
さらに走者を二人置いて、前日に逆転ホームランを打って連敗からちーむを救った林。
いやがうえにも盛り上がったが、あえなく空振り三振…。
今年何度見たことだろう。
チャンスにあと一本が出ず、次々に築かれる三振の山。
たいがい見飽きた。

9回も先頭の矢野は、これも今年何度も見た外角ストレートにかすりもせず空振り三振。
続く関本も力の無いセンターフライであっさり二死。
(もっと力の無い打球だったらポテンヒットだったのだが)
ここで、今年ファンを最も楽しませてくれた選手の一人である桜井が登場。
再びファンのボルテージは上がった。

すると、その期待に応えるかのように、彼の持ち味である力強いフルスイングで弾き返された打球は、バックスクリーンを目指してグングン伸びていった。
ファンの絶叫に後押しされるように、打球はそのまま柵越え。
これが最後の盛り上がりかもしれないという暗黙の了解があったかもしれない。
スタンドは異様なまでに盛り上がった。

案の定(?)、続く秀太が広島のリリーフエース永川に完璧な力負けで空振り三振に打ち取られてゲームセット。
降り続く秋雨の中、マウンド付近に選手・首脳陣全員が整列し、恒例のファンへの挨拶。
ところが、これまた恒例だった監督の挨拶スピーチ(と言うのか?)は無し。
まあ、雨降ってるし、ファンには早く帰ってもらおうという気遣いか!?
その後、選手がサインボールをスタンドに投げ入れた。
期待もしていなかったが、誰の送球一球たりとも近くにも来ないまま、セレモニーは終了した。
ボールを投げ終えた球児が、最後まで外野スタンド近くに残り、ライト、レフトともに深々と頭を下げていた姿が印象的だった。
「球児ー!お前はほんまにようやったーっ!」
誰かが叫んでいたが、みんなの思いそのままである。

甲子園の最終戦は、今年を象徴するような試合だった。
先発投手が早々に失点し、試合の流れを悪くする。
打線は続かず、数少ないチャンスでは、あと一本が出ない。
そして、去年までカモにしていたカープに敗戦。

しかし、悪い“象徴”ばかりでもない。
後半戦の快進撃を支えた桜井の豪快な一発。
しっかりと軸足に体重を残した思い切りのいいフルスイング。
敗戦の中にも「あのホームランが見れたのは良かった」と思える選手が久しぶりに現れた。
自分にとっては、田淵幸一以来のことである。
残りのシーズンはもちろんのこと、来季にも期待が持てる一発であった。

これで今季の観戦は終了。
(たぶん)
なんと観戦4連敗で終わってしまい、トータル6勝5敗。
かろうじて勝ち越したが、昨年の12勝6敗から勝率が大きく後退してしまった。
今年は遠征もできず、毎年恒例化していた神宮観戦もできなかったのが残念。
来季はもっと観に行きたいものである。



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