面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「スター・トレック イントゥ・ダークネス」

2014年01月23日 | 映画
西暦2259年。
未開の惑星で探査活動を行っていたUSSエンタープライズ号は、カーク船長(クリス・パイン)の判断により、活発化する火山活動から原住民を救おうとした。
その救出作戦を遂行する中で、窮地に陥ったスポック(ザッカリー・クイント)を助けようとして、艦隊の規約を違反する行動に出たことが問題となり、カークは船長の任を解かれてしまう。
USSエンタープライズ号は再びクリストファー・パイク提督(ブルース・グリーンウッド)の指揮下となり、カークは副長に降格となる。

時期を同じくして、宇宙艦隊資料保管庫で多数の死傷者が出る爆破テロが発生した。
宇宙艦隊上層部は幹部を緊急招集し、対策会議を開く。
会議に出席したカークは、持ち前の直感と推論で、敵の真の狙いはこの会議にあるとし、テロ事件はいわば“釣り餌”で、本当の狙いは宇宙艦隊幹部を一ヶ所に集めることにあると推理するも時既に遅し。
何者かが小型シャトルで会議場を攻撃してきたのだった。
カークの活躍もあって敵を撃退したものの、シャトルの機銃乱射によってパイク提督は命を落としてしまう。
犯人に特定されたのは、元艦隊士官のジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)。
カークは、父親のように自分に目をかけ続けてくれたパイク提督の仇を討つため、マーカス提督(ピーター・ウェラー)にハリソン追跡を願い出ると、提督は申請を許可すると共にハリソンの抹殺を命じるのだった。

許可を得たカークはハリソンを追うが、その逃亡先は惑星連邦と対立するクリンゴン帝国の中心である惑星クロノスだった。
艦隊の艦船で乗りこんで行けば衝突は必至。
中立エリアまでUSSエンタープライズを進めると、確保していた民間の小型宇宙船に乗り換えて、武器商人に扮してクロノスへの潜入を図った。
しかしすぐにクリンゴンの偵察艇に追跡され、着陸指示を受けてしまう。
同乗していたウフーラ(ゾーイ・サルダナ)がクリンゴン語で偵察隊と交渉するも雲行きは怪しく、捕らわれそうになったとの時、ピンチを救ったのはハリソンだった。
重火器を手に現れたハリソンは、驚異的な戦闘能力でクリンゴンのパトロール部隊を殲滅。
返す刀でカーク達に武器を向ける。
しかしUSSエンタープライズに6ダースの新型魚雷が搭載されていると聞くと、その威力に観念したのかあっさり投降した。

特別製の隔離室に捕らわれたハリソンは、自分の正体を語り始める。
カークがその話に驚愕したその時、USSエンタープライズは突然航行不能に陥った。
そしてそれを待っていたかのように巨大戦艦が立ち塞がり、攻撃をしかけてきて……!


驚異的な身体能力と極めて高い知能レベルを誇り、キレッキレの行動を展開するハリソン。
人間離れした能力に隠された過去と、過去の遺恨によって生じた激烈な復讐心を燃え上がらせる彼は、たった一人で人類を窮地へと追い込んでいく。
地球規模の脅威を仕掛けるハリソンに対して、カークを中心とするUSSエンタープライズのクルー達が決死の覚悟で闘いを挑む姿を、迫力満点に描く。

SF映画史上、最悪にして最強の“人間”と言っても過言ではないハリソンのキャラクターが秀逸!
どれだけ殴られ、傷つけられ、凄まじいダメージを受けても立ち上がってくる姿に、絶対に死なないのではないかと不安に襲われる。
プレデターやエイリアン、遊星からの物体Xのような“怪物”ではなく、それが生身の“人間”であるところにワクワク感が掻き立てられる。
一体どうやってこの難敵を倒すことができるのか?
抜群のスピード感とテンポの良いストーリー展開で、片時もスクリーンから目が離せないまま、息つく間もなくラストを迎える。


ストーリーの面白さ、特撮の素晴らしさは前作を凌ぎ、シリーズモノとしてどんどん今後への期待感が膨らんでくる。
ハラハラドキドキがハンパない、エンターテインメントの王道を行くSFスペクタクルの快作!


スター・トレック イントゥ・ダークネス
2013年/アメリカ  監督:J・J・エイブラムス
出演:クリス・パイン、ザッカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、カール・アーバン、サイモン・ペッグ、アントン・イェルチン、ジョン・チョー、アリス・イヴ、ブルース・グリーンウッド、ベネディクト・カンバーバッチ、ピーター・ウェラー、ノエル・クラーク