面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「イースタン・プロミス」

2008年12月14日 | 映画
病院で働くアンナ(ナオミ・ワッツ)のもとに、身元不明の一人の少女が運び込まれた。
意識を失くした少女は、女の子を産み落とし、息を引き取る。
バッグに入っていた手帳には、ロシア語で日記らしいものが書かれており、少女がロシア人であることが分かる。
手術に立ち会ったアンナは、少女の身元を確認するため、ロシア料理レストランのオーナーに相談したところ、オーナー自らが日記の翻訳をしようと申し出た。
実はオーナーは、ロシアン・マフィアの有力者だったのだ。
その後、マフィアに雇われているニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)がアンナに近づいてきて、取引を持ちかけるのだが…

監督のデヴィッド・クローネンバーグは、2作続けて同じ俳優を使うことが少ないと聞くが、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に続いてヴィゴ・モーテンセンを主役に起用した。
ヴィゴは、陰のあるロシアン・マフィアの用心棒を見応えのある迫真の演技で熱延し、監督の期待に存分に応えている。
ことに、サウナにおける“フルチン”の戦闘シーンは圧巻。

クローネンバーグが得意とする“肉体破壊描写”は比較的鳴りをひそめており、「ヒストリー・オブ…」ほどの過激さは無い。
(それでも、血に弱い自分には直視できないシーンはあるが…)
ロンドンの裏社会に存在するロシアン・マフィアの恐ろしさを冷徹に描き、一市民が関わりを持つことの危うさを思い知らされて、観ているこちらも息苦しさを感じるほど。

ニコライの隠された秘密に「え?」となり、終盤の新たな展開に、更に画面に惹きつけられていく。
見終わってからも、じわり…とくる佳作。


イースタン・プロミス
2007年/イギリス=カナダ  監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル、アーミン・ミューラー=スタール、シニード・キューザック

今年の“感じ”

2008年12月14日 | ニュースから
今年の漢字は「変」、清水寺で発表(朝日新聞) - goo ニュース


毎年恒例の今年の漢字。
この話題が出ると、いよいよ年も押し詰まってきた感じがイッキに高まるが、選ばれた字が「変」。

ニュースで見た瞬間、「変」な感じがした。
changeの「変」より、strangeの「変」の印象を受けたのである。
一文字で「奇妙な」とか「フツウでない」といった意味がある漢字であるからだろう。
changeの意味合いの場合、「変わる」「変化」といった具合に、一文字で言い表すことがめったにないからか。

しかし、そっちの意味の「変」であっても、意味が通りそうではないだろうか。
「変」な人間が増え、「変」な事件を耳にすることが多くなり、なんだか「変」な世の中になってきた気がする…