フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

「祈り 希望 光」 ヴラダン・コチ チェロコンサート

2013-05-06 | フルート

 

 

今日は、チェコのチェリスト ヴラダン・コチ チャリティーコンサートの出かけた。会場は小淵沢のアルソア本社「森羅」。小淵沢の道の駅の南向かい側で、こんな美しい建物群があるところとは知らなかった。

このチャリティーコンサートは2000年から開催されていて、これまで原爆ドームの保存などに寄付されている。今回も全ての収益金が東日本大震災復興支援のため、福島県相馬郡飯館村に届けられるということである。

今回は、ヤナ・ヴェヴェルコヴァーさんとのドュオリサイタルだ。チェロのドュオを生で聞いたのは今回が初めてだ。

おなじみのサンサーンスの「白鳥」や日本の歌「さくら」などを織り込みながら、魂の底深く揺さぶるチェロの演奏は、ただただ深い感動と驚きの連続だった。最初の、バッハのチェロソナタ第3番、時には深く、大きく響くかと思えば、繊細な音を紡ぎ出すチェロ、一遍に心がとらわれてしまった。

モンティの「チャールダッシュ」は、最近、ヴァイオリンやフルート、二胡などの演奏で聴いているが、チェロ2台の競演は、哀調を帯びる前半と後半の劇的な盛り上がりの対比が鮮やかで、会場はブラボーの声が上がっていた。

それよりも、今回初めて聴いた「望郷のバラード」(ルーマニアの、チプリアン・ポルムべスク作曲)には本当に心を揺すぶられた。何とも言えない哀切のメロディーなのだが、聴き終えた後は心が洗われたような、落着いた静かな気分がやってきた。希望の光が射しているともいえる。

19世紀末、29歳の若さで薄倖の生涯を閉じたチプリアン・ポルムべスク。愛国者であったポルムベスクは、オーストリア-ハンガリー帝国に支配されていたルーマニア独立運動に参加して逮捕投獄される。曲は獄中で故郷を偲び、恋人に思いを馳せながら書き上げられたと言われている。会場の方から、天満敦子さんがヴァイオリンで弾いているとおききしたので、是非CDを買ってみようと思った。

チェロの豊かな音色、何よりも低音の響き、多彩なテクニック、ドュオ迫力、やはり生演奏でなければえられない感動だ。コンサートが終わってから、コチさんは、明るい表情でCDにサインをされていた。

私にとっても貴重な1枚になった。これからは当分、チェロの演奏を聴くことになりそうだ。