功夫電影専科

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『アンジェラ・マオ 破戒』

2012-03-03 15:32:38 | 女ドラゴン映画
「アンジェラ・マオ 破戒」
「スコーピオン・ガール/さそりの復讐」
原題:破戒
英題:Broken Oath
製作:1977年

▼本作は著名な女ドラゴンとして活躍していた茅瑛(アンジェラ・マオ)が、古巣のゴールデンハーベスト(以下GH)で主演した最後の作品です。かつて黎明期のGHを支えるため、屈強な男たちと必死に闘い続けていた茅瑛。本作では、そんな彼女を労うかのように多くのスタッフとキャストが結集し、充実した作品を作り上げていました。
ストーリーは、『修羅雪姫』をベースに茅瑛が悪漢を次々と倒す「辻斬りの旅」が繰り広げられます。監督はかの『キングボクサー大逆転』を生み出した巨匠・鄭昌和なので、単に敵を倒すだけの物語で終わってはいないのがポイント。久々にGHへ凱旋した梁小龍(ブルース・リャン)の存在も大いに光っています。

■ある日、ひとりの罪人が流刑の島へとやって来た。彼女…丘ナオミは政府高官・關山の妻であったが、政府転覆を企む一団に夫を殺された上に、無実の罪で収監されてきたのだ。彼女は島で子供を出産するが、仇討ちを望みつつ息を引き取った。彼女の遺志を受け継いだスリの王莱は、出所すると丘の子供を尼寺へと預けた。
それから20年後、子供は凄腕の茅瑛へと成長していた。気性の荒い彼女は尼寺から追い出され、久方振りに王莱と再会。スリ仲間の夏雨と共に、両親を死に追いやった4人の悪党へ復讐を開始していく。賭場の支配人となった趙雄、女郎屋を経営する方野を次々と倒すが、裏では謎の男・梁小龍が動き回っていた。果たして彼の正体は…?
 方野を倒した際、茅瑛は最後に放たれた毒で重傷を負ってしまう。そこで夏雨は解毒方法を知る薬の専門家・陳鳳真を尋ねた。実はこの男、茅瑛が追っている仇敵の1人であり、今は悪事から足を洗って薬学に身を捧げていたのである。彼は罪滅ぼしにと解毒を行うが、同じく仇敵の1人である陳惠敏(チャーリー・チャン)に殺されてしまった。
陳惠敏は今も例の一団に属しており、ボスの張佩山に従っている。梁小龍もその仲間なのだが、彼の本当の正体は政府から派遣された密偵であった。一時は正体がバレそうになるも、同志の郭振猷に救われた。その後、敵陣へと潜入した茅瑛は夏雨を失うが、志を同じにする郭振猷と共闘する。かくして、最終決戦の火蓋は切って落とされた!

▲本作は前述のとおり「辻斬りの旅」が主題となっていますが、同じことを繰り返すようなルーチンワークには陥っていません。作品自体のテンポも非常に良く、復讐劇でありつつも陰惨になりすぎない程度に演出が調整されており、改めて鄭昌和の手腕には感心してしまいました。
また、アクション面においても本作は素晴らしいものを作り上げています。なにしろ武術指導が袁和平(ユエン・ウーピン)&徐蝦の『酔拳』コンビ、ラストバトルでは茅瑛・梁小龍・陳惠敏・洪金寶・韓英傑・魯俊谷などの猛者連中が一ヶ所で闘うわけですから、これで面白くないはずがありません!(笑
 棍から槍へと変化する武器を操る茅瑛、野獣のように暴れる陳惠敏も凄いですが、中でも梁小龍の動きは群を抜いています。古豪・韓英傑を流れるような連打で叩き伏せ、魯俊谷を屠り、陳惠敏に足刀を打ち込む様は全盛期のころを彷彿とさせます。ただ、あまりに凄すぎて最後の大一番を茅瑛から奪ってしまったのは少々残念に思いました(爆
まさに有終の美を飾るに相応しい見事な傑作。本作以後、茅瑛は活動の場を独立プロなどに移していくことになりますが、私としてはもうちょっとGHで頑張る彼女の姿を見てみたかった気もします。

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2 コメント

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アンジェラマオ (醒龍)
2012-03-05 08:22:45
龍争こ門さん、こんにちは。
アンジェラ出演作の中では私の一番好きな作品ですね。だいたい女ドラゴンで男勝りのアンジェラでしたが、『破戒』ではいつもと少し違って可愛らしさもあってチャーミングでしたね。女ドラゴン次回も楽しみにしています。
返信。 (龍争こ門)
2012-03-08 21:47:27
醒龍さんこんばんは、お待たせいたしました。

>『破戒』ではいつもと少し違って可愛らしさもあってチャーミングでしたね。
 いつも男の尻と頭を蹴っ飛ばしてばかりいる茅瑛ですが、今回は女性らしさを垣間見せる場面もありましたね。
闘う茅瑛も好きですが、やはり女ドラゴンである以上は美しい姿も見てみたいですね(色気ゼロというのもこれはこれで潔いと思いますが・笑)。
女ドラゴン作品はまだまだ魅力的な作品が多く存在するので、今後も色々と紹介していきたいと思っています。

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