功夫電影専科

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迫れ!未公開格闘映画(1)『Falcon Rising』

2017-10-07 21:36:49 | マーシャルアーツ映画:上
Falcon Rising
製作:2014年

▼今月は「迫れ!未公開格闘映画」と題して、国内未公開・未ソフト化の格闘映画に注目していきたいと思います。さて初回となる今日は、我らがマイケル・ジェイ・ホワイトに先陣を切ってもらう事にしましょう。
本作は、監督が近年『アサシン・ゲーム』『ファイナル・ブラッド』とマーシャルアーツ映画を連発しているアーニー・バーバラッシュで、なんと共同プロデューサーにアイザック・フロレンティーンが名を連ねています。
内容についてはB級らしさ全開となっているものの、充実したキャストとスタッフ(詳しくは後述)によってアクションがこれでもかと炸裂。このところ失敗作への出演も目に付くマイケルですが、この作品では縦横無尽に暴れ回っていました。

■帰還兵のマイケルは、アフガニスタンで地獄のような戦場を経験し、重度のトラウマを抱えていた。酒に溺れ、自殺未遂を繰り返す彼を心配した妹のレイラ・アリは、はるばる仕事先のリオデジャネイロから帰国。兄を見舞い、翌日には帰路へと着いた。
ところが、暫くしてリオのファヴェーラ(スラム街)の片隅で、瀕死の重傷を負った彼女が発見された。マイケルは米国領事館に勤務する旧友のニール・マクドノーから連絡を受け、一路ブラジルに向かう。
 幸いなことにレイラは一命を取り留めたが、いまだ昏睡状態からは醒めないまま。ニールの紹介で出会った刑事のジミー・ナヴァロとラティーフ・クロウダー、警官のミリー・ルパートに現場を案内されたマイケルだが、思わぬ出来事が彼に降りかかる。
次の日、何者かによってレイラの点滴に薬が投与され、殺されかけるという事件が発生。怒りに燃えるマイケルは、たった1人で真相を探ろうと奔走していく。やがて捜査線上に浮かびあがったのは、ブラジルに拠点を置くジャパニーズ・ヤクザの影だった。
人身売買の闇ビジネスと、意外な(というかバレバレな)裏切り者の存在…全ての点が線で結ばれる時、マイケルは真の敵と対峙する。果たして彼は仇を討ち、悪党どもを一掃できるのだろうか!?

▲敵討ちからの人身売買潰し…という粗筋は『バトルヒート』と若干被っていますが、アクションの濃度は本作も負けていません。ストーリーは凡庸ではあるものの、テンポよく格闘戦とドンパチが挿入されるので、最後まで飽きずに見ることが出来ます。
キャラクターに関しては、主人公のトラウマ持ち&アル中という設定は最後まで忘れ去られず、有効的に活用されていました。この手の作品ではアクションシーンにまでこの設定を持ち込み、戦いがグダグダになってしまうケースもあります。
一方、本作はそうした無粋な演出に走ることなく、適度な按配でこの設定を貫徹。ラストの飲酒を断る(=トラウマからの脱却を示唆)シーンへと結実します。些細な事ではありますが、こういう細かな気配りは本当に大事だと私は思います。

 さて格闘シーンの按配ですが、残念ながらモハメド・アリの実子であるレイラのアクションは無し。ヤクザの幹部であるハヅキ・カトウ(ハリウッドで活躍する日本人女優)やミリーなど、女優陣によるファイトは一切ありませんでした。
しかし不満らしい不満はそれぐらいで、劇中のアクションはマイケルの独壇場と化しています。高い蹴りとパワフルな拳を放ち、ザコを叩きのめす様は実に爽快! 改めて彼のポテンシャルの高さを認識させられます。
 そんな彼の前に立ちはだかるのが『Undisputed III』でも戦ったラティーフ、力押しで迫るジミー、ヤクザの親分の大立昌史の3人なんですが…なんとマイケルはラストにおいて、この猛者たちといっぺんに戦うのです。
即ち、先月紹介した『破門組II』もビックリの1VS3! もちろん3人とマイケルが別個にタイマン勝負で戦うパートもあり、息をつかせぬ乱戦が展開されます。マイケルの武器もナイフやパイプ製のトンファーなど、実にバラエティに富んでいました。
 ちなみに本作のファイトコレオグラファーを務めたラーネル・ストーバルは、かの『Undisputed III』の動作設計も担当した方。マイケルとは何度も組んだ間柄なので、立ち回りの演出も手慣れたものだったと思われます。
と、そんなわけで、特集の1発目からいきなり景気のいい作品に巡りあえましたが、次回は時計の針を戻して90年代の格闘映画をチョイス。実は今でも活躍しているという、ある往年の格闘スターによる作品に迫ります!

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