功夫電影専科

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追憶:香港映画レーベル(06)『続・少林寺列伝』

2013-11-22 22:30:36 | ショウ・ブラザーズ
「続・少林寺列伝」
原題:少林五祖
英題:Five Shaolin Masters/Five Masters of Death
製作:1974年

▼かつて香港映画最大のプロダクションとして名を馳せたショウ・ブラザーズ。同社の作品はどれもクオリティが高かったのですが、天映娯樂社によってライブラリが解放されるまでは”知る人ぞ知る”存在でした。
キングレコードはそんなショウブラ作品の国内リリースに着手し、充実した特典を満載した「ショウ・ブラザース・スタジオ 黄金のシネマ・シリーズ」を世に送り出したのです。
 劇場公開された『嵐を呼ぶドラゴン』をはじめ、同レーベルからはきら星のような傑作が次々と発売されました。このシリーズは第3期(レーベル名は「ショウ・ブラザース 黄金のシネマ・シリーズ」に変更)まで続いており、本日紹介するのは第2期の作品です。
本作は名編『少林寺列伝』より先に作られていますが、物語的には『少林寺列伝』の後日談にあたります。主演は傅聲(フー・シェン)、戚冠軍(チー・クワンチュン)、姜大衛(デビッド・チャン)、狄龍(ティ・ロン)、そして孟飛(メン・フェイ)の5人となっています。

■少林寺の焼き討ちから逃れた傅聲たち少林五祖は、清朝打倒と死んでいった仲間たちの敵を討つため、各地に散らばる同志たちのもとへと向かう。一方、焼き討ちを決行した江島率いる朝廷の精鋭たちも、彼ら反政府グループを血眼で追っていた。
傅聲たちは戦いの中で強敵と巡りあい、ともに少林寺で修行した王龍威(ワン・ロンウェイ)が焼き討ちを手引きしたのだと知る。再会した5人はいったん反政府グループから離脱し、江島たちを倒すための修行に専念した。
 少林寺に戻った傅聲たちは、各々が倒すべき相手を想定しての特訓に打ち込んでいく。やがて反政府グループの動きに呼応し、江島たちが先発隊として出動。5人はこれを迎え撃つべく、最後の戦いに挑むのだった。
棒術の狄龍VS飛斧の葵弘、三節鞭の姜大衛VS双子つきの江島、地功拳の孟飛VS劈掛掌の梁家仁(リャン・カーヤン)、十形拳の戚冠軍VS蟷螂拳の馮克安(フォン・ハクオン)、虎鶴雙形の傅聲VS梅花拳の王龍威……果たして、生き残るのは誰だ!?

▲大導演・張徹(チャン・ツェー)の監督作にしてはシンプルな作りですが、それだけにアクション描写が光る傑作です。本作で注目すべきは孟飛の存在で、彼とショウブラ俳優たちとの絡みは実に貴重。個人的には他作品でも絡みのない王龍威あたりと戦って欲しかったなぁ…。
動作設計は安心と信頼の劉家良(ラウ・カーリョン)なのでバッチリ。『少林寺列伝』と比べるとボリューム不足ではあるものの、出演者それぞれの個性を引き立たせ、それでいて見応え十分の殺陣を構築している様は流石と言うほかありません。
 張徹らしさという点では他の監督作に劣りますが、主役と敵役が各々5人もいる本作に重厚なドラマまで盛り込むと、詰め込みすぎて窮屈な印象を与えてしまう恐れがあります(『少林拳対武当拳』は詰め込みすぎの典型)。
それゆえに本作は5人全員の見せ場を均等に割り振り、ドラマの不足を功夫アクションで補ったのです。この経験がやがて『少林寺列伝』に繋がっていくと思うと、なんとも感慨深いものを感じてしまいました。
 さて、本レーベル以降も同様の企画は続き、キングレコードからはゴールデンハーベストの初期作品をまとめた「フォーチュンスター クンフー・クラシックス20」が登場します。
さらに角川エンタテイメントからは、事実上のシリーズ第4期となる「ショウ・ブラザース エクセレントセレクション」が登場。これらの旧作発売ラッシュにより、今まで日の目を見なかった傑作たちが身近な存在となりました。
そして2010年代となった現在、香港映画レーベルは新たな段階へと進みます。香港映画レーベルの行き着く先とは…次回、特集最終回です!

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