功夫電影専科

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『少林拳対武当拳(少林與武當)』

2007-12-27 22:53:06 | ショウ・ブラザーズ
「少林拳対武当拳」
少林與武當
Two Champions of Shaolin
Two Champions of Death
1980

▼前回のレビューでちらりと触れた本作。せっかくなので、この機会にこちらも取り上げてみる事にしましょう。というわけで、またも張徹&五毒作品の登場です。
本作のタイトルとなっている少林與武當とは、数々の功夫映画でも題材になっている少林拳と武當拳を指しており、題材になった映画ではこの2つの流派はことごとく犬猿の仲として描かれている。
今回張徹が取り組んだこの作品は、かつて張徹が扱った少林英雄(胡惠乾や方世玉など)が総出演しており、更にそこへ張徹お得意の裏切りと愛憎劇が織りなされ、非常に濃い味付けの一作となっている。

■とにかくこの映画、人物関係が入り組みまくっており、敵と味方がややこしく錯綜している。少林派は羅奔(ロー・マン)・江生(ジャン・チェン)・孫建(スン・ジェン)・楊菁菁など。武當派は師匠の曹達華(チョウ・ダーワ)を筆頭に、余太平・王力(ワン・リー)・徐盛鎮・そして錢小豪(チン・シウホウ)らが揃い、彼らを中心にストーリーは進んでいく。ちなみに武當派は打倒少林派を目論んで清朝と手を組んでいるので、本作において武當派は思いっきり悪役だ。
少林寺から兄弟子の江生を追って、主人公の羅奔が下山してきた。さっそく武當派は動き出して彼を待ち構え、ブーメランナイフの名手である余太平が向かった。文字通りの飛び道具に苦戦を強いられた羅奔はある民家へ飛び込んだが、そこには孫建と楊菁菁がいた。
孫建と楊菁菁は余太平に父を殺され、復讐の為に武を身に付けていた。余太平の対策を孫健から教わった羅奔は、合流した江生や孫健らと協力して余太平を倒す。もちろん武當派は黙っているはずもなく、羅奔と江生に挑戦状が叩きつけられた。
2人の前に王力と楊熊が立ちはだかったが、少林派には及ばず大敗を喫した(ここで楊熊は死亡)。一方の羅奔はいい感じになっていた楊菁菁と結婚式を挙げていた。ところがその祝いの席に紛れ込んだ文雪兒が楊菁菁を殺害し、自分は余太平の娘だと告げた。
追い討ちをかけるが如く王力らが襲撃に現れ、羅奔が捕まり孫健は死んでしまう。羅奔は処刑執行となりかけるが、錢小豪が異論を唱えて王力を止める。いつも皆から浮いてた錢小豪だが、果たして彼の真意は…?
そのころ、江生は羅奔の救出を仲間たちと相談していた。ところが事態は急転直下、なんと少林寺が焼き討ちされたというのだ!襲撃したのは謎の猿拳軍団で、少林派に手引きした者がいるという。その晩、今度は錢小豪が突然江生らのもとに現れた。錢小豪は江生に手を貸すと言い(詳しくは不明)、その見返りに羅奔を助け出す事を約束した。
その後約束どおり羅奔は助け出されたが、楊菁菁を失った悲しみは晴れない。この日も羅奔は楊菁菁の墓参りに来ていたが、そこへ鹿峰(ルー・フェン)が姿を見せた。鹿峰はみんなと一緒に墓を拝んでくれたが…つーか鹿峰あんたが裏切り者だろ!思いっきり従者の仲に猿拳っぽい仕草の奴がいたじゃんか!
不穏な動きは武當派でも起こっていた。錢小豪と恋仲だった文雪兒は、錢小豪が羅奔の逃走を幇助したと薄々勘付き始めていた。粋な計らいの数々で羅奔たちに取り入った鹿峰もやはり武當派で、彼は少林派を一網打尽にする計画を立案した。
錢小豪は急いで江生らのもとへ向かったが、既に羅奔が鹿峰と発った後だった!すぐ追いかけた江生たちだが、羅奔は鹿峰に不意打ちを喰らってフラフラだ(この場面は戚冠軍の『胡惠乾血戰西禅寺』にも同じやりとりが出てくる)。
針を刺されて重傷の羅奔は錢小豪と江生らとの連携で反撃に転じる。そこに追いついてきた王力とその部下達も加わり、血みどろの戦いが始まった…。

▲本作は少林派と武當派の血しぶき舞い散る真っ向勝負が主題となっているだけに、裏切り・確執・陰謀が乱れ飛び、非常に濃厚な張徹的世界が展開されている。あまりに濃厚さでどうしたものかと思う節もあるほどの濃さであり、孫建と楊菁菁のストーリーだけでも一本映画が作れそうなほどだ。張徹作品は今まで見てきた中でも男気溢れるものを構築していたが、今回のコレは溢れすぎといったところだろう(良い意味でも悪い意味でも)。
作品全体を見渡すと可も無く不可も無くといった感触だったが、やはり功夫場面に関してはズバ抜けたものを見せている。当時期待の新鋭だった錢小豪も頑張っており、途中からの登場だった鹿峰もラストで素晴らしいウェポンバトルを披露している。
そして、本作を踏まえた上で前回の『街市英雄』を見ると更に楽しめる事はうけあい。見ごたえ十分だが、見た後はどっと疲れが出る作品といったところです。う~ん、濃いっす。

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