功夫電影専科

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『天使行動3』

2010-10-25 23:26:38 | 女ドラゴン映画
「天使行動3」
原題:天使行動之三魔女末日/再戰天涯
英題:Angel 3/Iron Angels 3
製作:1989年

▼女闘美アクションの傑作だった第1作、スタントアクションを極めた第2作と続いてきた『天使行動』シリーズも、遂に本作で最終回となる。キャストは李賽鳳(ムーン・リー)と方中信(アレックス・フォン)、第2作で仲間になったカリーナに加え、新たに陳成貴(お調子者だが腕っ節は強い)とマーク・ステインボーン(自称コンピューター)の2人が新メンバーとして登場している。
しかし、残念ながら呂少玲(エレイン・ルイ)は降板し、武術指導も唐季禮(スタンリー・トン)から徳榮にバトンタッチ(ただし唐季禮は徳榮と一緒に執行導演として参加)。また、前作では担当パートが割り当てられなかった李賽鳳が、本作でまたしても…な憂き目に遭っているのだ(涙

■物語は開始早々いきなりベトナムの外交官が爆殺される場面からスタート。この犯行は、タイの発展を快く思わぬ第三世界の某国がテロリストに指示して実行させたもので、エンジェルズはテロ組織の要人暗殺を食い止めようと奔走することになった。
手始めに李賽鳳がテロ組織へ潜入し、首領のキャシー・ヒックマンに接近する。一方で方中信たちも、各地に潜むテロ組織の刺客を次々と潰していくのだが、李賽鳳の調査で敵の目的が4人の大臣暗殺だと察知。テロ組織は大量の兵隊を投入し、パーティーに列席した大臣たちを暗殺すべく迫りつつあった。これに対し、方中信と陳成貴はジェットパック(ロス・オリンピックの開会式で空を飛んだアレ)で舞い降り、キャシーと側近×2に立ち向かうのだが…。

▲銃撃戦に集中していた第2作から打って変わって、今回は功夫アクションに尺が裂かれている。殺陣のレベルは全体的に高く、功夫スターこそ出ていないがファイトシーンは良質なものを構築していた。特に、中盤で繰り広げられる方中信VSパンナー・リットグライのムエタイ対決、李賽鳳の華麗なヌンチャクアクションは本作最大の見所だ。「普通の動作片」として見るなら、本作は出来の良い部類に入るだろう。
 …しかし、本作はあの『天使行動』シリーズの最終作である。高度なスタントと銃撃戦によって、他の女闘美アクションとは一線を画してきた本シリーズなら、当然そういったシーンが沢山あって然るべきはずであったのだ。
だが、本作ではスタントも銃撃戦もカーチェイスも少なく、前2作と比べると明らかにインパクト不足だ(ラストの銃撃戦は凄かったけど…)。ストーリーについても単なるテロリストとの攻防戦でしかなく、男の友情を描いた前作との凄まじい落差を感じてしまうし、何の新鮮味も得られなかったのは実に痛い。
 そして最大の問題は、本作でまたも李賽鳳がないがしろにされているという事実だ。今回の李賽鳳はテロ組織のアジトに潜り込み、アクションにお色気に奮闘しているので悪くないように思えるが、何故かラストバトルには参加していないのである。ちょうどタイマン勝負できそうな敵が3人もいるというのに、どうして李賽鳳がいないまま最終決戦に突入してしまったのだろうか?
恐らく、この処遇には『群狼大戦』が影響しているのではないかと思われる。『群狼大戦』で爆発に巻き込まれた李賽鳳は、重度の火傷を負ったため入院生活を余儀なくされた。本作はその『群狼大戦』とほぼ同時期に製作されていたので、ラストバトルに参加できなかった理由はそのへんにあるのかもしれない。

 …『皇家師姐』とは違ったアプローチで女闘美アクションを描き、様々な名勝負を生み出した『天使行動』3部作。レンタルショップからビデオが撤去され、本作に出会える機会がめっきり少なくなってしまったが、命懸けのアクションに挑み続けたヒロインたちの軌跡は、今も決して色あせてはいないのだ。

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