猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

保阪正康が語る「コロナが暴く“令和日本”の姿」を聞いてみたかった

2020-12-23 22:59:09 | 新型コロナウイルス


12月21日のBS TBS報道1930のテーマは、とっても興味深いタイトル『保阪正康が語る「コロナが暴く“令和日本”の姿」』であった。TBSのサイトには、つぎの項目が掲げられた。
 ◾コロナ対策とインパール作戦の教訓
 ◾学術会議問題 「問答無用」が公然化
 ◾中国化する日本政治
残念ながら、月曜日はNPOでの子どもたちの指導がはいっており、終わりの30分しか聞くことができなかった。

菅義偉の行動パターンを見ていると、戦前の革新右翼を連想させる。独断的である。専門家を利用できない。民主主義からほど遠いところにいる。

しかし、菅のコロナ対策がインパール作戦と結び付くなんて、私は想像もしていなかった。

インパール作戦とは、日本陸軍が1944年3月にインドのインパールをビルマ側から攻略した作戦である。この作戦は、前線への補給がうまくいかず、失敗に終わり、退却での途中で約7万人の兵隊が飢えと病で死んだ。死人の肉が取引されるなど、地獄絵のようだったという。

保坂が、インパール作戦の失敗の要因をどう分析し、現政権のコロナ対策をどう見ているかに、私は興味がある。このまま、誤ったコロナ対策が続けば、日本の医療体制が崩壊し、地獄絵図が展開される。インパール作戦の失敗の教訓から、コロナ対策が修正できれば、これに越したことがない。保坂の口から、そこを聞きたかった。

インパールの攻略が補給の観点から難しかったことはわかりきっていた。牟田口廉也司令官は「ジンギスカン作戦」という奇策を考える。牛・山羊・羊・水牛に荷物を積んで行軍し、食料が足りなくなれば、荷役の家畜を食うという作戦である。しかし、雨期のジャングルのなか、川を渡るとき、家畜を失うし、インパールに近づけば、家畜を伴うから目立ち、空爆の対象になる。そのうえ、奇襲作戦の位置づけだから、軍備は軽装備だった。いまから考えれば、奇襲部隊と補給部隊を合わせて行軍するという、ちぐはぐな作戦だった。

ウィキペディアによれば、インパール作戦の直前に牟田口は昇進して司令官になり、また、人事異動が広範に行われたため、現地の状況に詳しい幕僚が牟田口と参謀の橋本洋中佐しかいなかったという。

保坂は、稚拙な作戦に意見する者が、牟田口のまわりにいなかったことに着目したのではないか、と私は想像する。

菅義偉も、安倍晋三が潰瘍性大腸炎で突然やめることで、総理大臣の座を得た。牟田口司令官と異なり、菅は、新型コロナ対策専門家会議が存続していれば、意見を聞くこともできたはずである。新型コロナ第1波は、専門家会議の尽力で、とにかく抑えることができたのである。

ところが、菅が総理になる前に、安倍政権が「経済だ」「専門家会議は政治に口を出すな」と言って、6月24日に専門家会議を廃止したのである。専門家会議を解散させ、経済学の専門家と感染症の専門家を一緒にして分科会を作り、感染症の専門家の口を封じた。

さらに、「経済だ」という菅政権は、「三密」を避けるというこれまでの新型コロナ対策と矛盾するGoToキャンペーンをうった。GoToトラベルは、感染震源地からウイルスを全国に運ぶ。GoToイートは、マスクを外して他人といっしょに食べるので、感染の危険を冒す。

その結果、第2波は、第1波のようには抑え込めず、第3波を迎えてしまった。第2波を抑え込むことができない時点で、菅はGoToキャンペーンの誤りに気づくべきだった。そうすれば、第3波を迎えることはなかっただろう。

菅は、新型コロナ対策と矛盾しない経済対策をとるべきである。それを具体的に提案する者が周りにいないのだろうか。私は、そんなことはないと思う。菅の支持基盤が安泰でないから、彼は疑心暗鬼になり、人の意見を聞き入れることができないのだろう。同情はするが、総理の資格としては、困ったものである。