“ヘボ”が昆虫であるという事を知らない蜂狂は、まず、いないだろう?
じゃが、昆虫の特長を言って見ろ!!!と、言われると、これに答えられない御仁は多いのでは?
日頃、事あるごとに接している昆虫でも、大体そんなもんだ!!!
多少の例外はあるものの、昆虫と言えば、
頭部、胸部、腹部の三節を持っていて、頭部には、一対の複眼と一個の単眼、一対の触角と口器を持ち、胸部には、二対の翅と三対の脚、腹部には、消化器系と生殖器を備えている・・・面白い事に、例外なく数百万種の昆虫がこうだから、恐れ入る!!!
そして、体の中身、中枢神経系を見ると、哺乳類等とは様相を、全く、異にし、各体節に何がしかの中枢神経節を持っている。
頭部には、小さいながら脳と食道下神経節、胸部に三個の神経節、そして腹部には10~11個の神経節を持ち、神経繊維の束で連なった形をしている。
このように個々の節に夫々神経節を持ち合わせている所が面白い。
昆虫を幾らかでも詳しく知るためには、昆虫の体を知らずして語り尽くす事は出来ない。だから、これからの理解を深めるためにも、敢えて、もう少し深く突っ込んでみたい。
頭部の脳は、前大脳、中大脳、後大脳の3つの区域に分けられる。前大脳は主に複眼や単眼、中大脳は触覚、後大脳は、口器と連絡している。
そして、脳に続く神経節は、働きの上で脳とは独立していて、夫々が感覚や運動の中枢の役割を果たしている。
ここが、実に面白いし、合理的だと思う!!!
動けなくなった蜂を拾い上げ、ブスリとやられた経験があるだろう? まだまだ、腹部の毒針をコントロールしている神経節が生きていて、これが為にブスリとやられたのである。
食道下の神経節は、味覚や接触運動の制御、胸部神経節は、飛翔や歩行等の移動運動の制御、腹部神経節は、消化、呼吸、交尾、産卵等の制御に携わっている。しかし、夫々の神経節は完全に独立している訳ではなく、脳は他のの神経節に対して上位にあり、神経節からの情報を統合し、運動の指令を出す中枢としての役割を果たしている・・・
これは、極めて重要な事で、これから縷々述べる投げ掛けと関連してくるので、よく頭に叩っ込んでおく必要がある!!!
そして、一寸、専門的な話になるが、神経節の基本的な構造に触れておきたい。
神経節の一番外側は、隙間なく並んだ1層の細胞とこの細胞が分泌した物質からできた神経鞘(あひんけいしょう)に包まれている。その内側には、ニュウロンの細胞体が並んだ皮膚がある。更に、その内側には、ニュウロンの軸索(じくさく)や樹状突起(じゅじょうとっき)が集まって連絡しあう部分があり、ニュウロパイル(神経叢)と呼ばれている。
この構造、「巻き寿」を思い起こして頂ければ理解が早い・・・
一方、脳の構造は?と言うと、基本的には、略、同じで、10万から100万個の大小様々の細胞体が、色々な集団となって皮層を形成している。そして、多種多様な樹状突起や軸索が配置し、色々なニュウロパイルを形成し、情報の伝達と処理を行っている・・・
一寸、専門的になったかな? じゃが、これが神経系の基本になるから、この仕組みを覚え込むしかない!!!
脳で考える仕組み、物を見る仕組み、飛ぼうとする仕組み等々、総て、この構成で成り立っている!!!
そして、この仕組みの研究が、今、急速に解明されつつある。
後でも触れたいと思っているが、夫々の器官の機能が人間も含めた哺乳動物と昆虫の働きが重なると言うから実に痛快な話である。
ただ、違うのは、ニュウロンの数だけなのである。この発見は、青天の霹靂、ノーベル賞ものだ!!! 言うなれば、昆虫も人間も脳の基本構造に違いがないという事である。それは、祖先は同じだった事を意味する!!!
この基本原理が理解出来れば、昆虫の中でもズバ抜けた思考回路を持つ“ヘボ”ちゃんの不思議な行動が幾らかでも理解出来るのでは?と、考えている。