日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 いま、本業が「年末進行」の第一のピークに入っていてそりゃもう大変です。

 拙宅では23日にクリスマスケーキを食べて、その夜から激闘状態。たぶん明日いっぱいでこのヤマを乗り越えられる……と思うのですが、ふっと3時間ばかりヒマができました。

 3時間とは微妙です。頭がガンガンしている最中ですから、寝付くのが難しいので休息できそうにありません。他の過ごし方でも無意味に疲れるだけのように思えて、今年も当ブログに逃避してきました。

 だからといって、何かが書けるというものでもありません。とりあえず思いつくまま、今年読んだもののなかで一番面白かったものを挙げておきます。





 これが一番面白かったです。といっても中国特集のなかの4頁だけが対象。経済改革の泰斗・呉敬レン(吳敬)氏へのインタビュー記事、これがどうにも面白くてためになって、たまりませんでした。MVP。

 「呉市場」と異名をとるだけあって、中国経済の現状をわかりやすく解説。これ、複雑な物事の本質をしっかり把握しているからこそできることだと思います。



 ――改革の成功に、自信がありますか。

「うーん、ないね(笑)。私は自信は持てないけれども、これが中国にとって唯一の道であることは間違いない。この道を行くしかない。努力するしかない。後退はありえない」



 なんてことも言っていますけど、この人は市場経済が機能するためには法治の確立が不可欠と常に主張していて、趙紫陽の失脚以降、政治制度改革が手つかずになっていることへの批判も言外に匂わせています。

 私の兄貴分に中国経済の若手カリスマ学者がいて、来日した際に会ったとき、マクロ経済の話になってたまたま、

「呉敬レンが……」

 と言ったので私がすかさず、

「ああ、呉市場」

 と返したら、

「そう、呉市場!」

 と言ったときの嬉しそうな顔を思い出します。昨夜はクリスマスイブということでカリスマ学者の家に電話したら、最近は毎日遅くまで仕事仕事で大変だそうです。講義よりも取材を受けたり、頼まれて寄稿したり、講演を行ったり、テレビに出たりと大車輪だとか。

 何せ中国経済がかくなった折でもあるうえ、問題点の分野が当人の専門とピタリと一致していて、しかも元々がカリスマ教授ですから正に師走。それでいて専門家の集まるブログもちゃんと更新したりしているので、すごいなーと思います。

 私より4歳年上ですが、私が今後4年間どう頑張っても追いつけない境地にいます。まだ中国の大学がエリート養成機関だったころに卒業した世代ですからモノが違うのです。

 で、以前にも書いたことがあるかと思いますが、その呉市場についてカリスマ学者が激賞し推薦したのが下の一冊。中国経済のテキストとしては最適だとのことですが、さすがに専門書。文庫本しか読みつけない私は遅々としてなかなか先に進めないでいます。来年中には読了したいな、と。


現代中国の経済改革 (叢書「制度を考える」)
呉 敬〓
NTT出版

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 それから右サイドの「御家人の特別推奨本」に並んでいる『趙紫陽軟禁中的対話』の和訳本、

『趙紫陽―中国共産党への遺言と「軟禁」15年余』

 も忘れてはいけません(私個人はやはり原文の方が肉声なので好きですけど)。

 ちなみに、「改革開放30周年」記念式典、要するに政策の一大転換を果たした1978年の「第11期三中全会」から30年目であることを記念する式典が18日に開かれ、胡錦涛が長ったらしい重要講話を出しています。

 30年の成果を讃えつつも「このままでは中国共産党は執政党の地位を失いかねない」といった危機感をにじませる、例によって無表情だけど神経質っぽい内容。……なのですが、「四つの堅持」(4つの基本原則の堅持:「社会主義の道」「人民民主主義独裁」「中国共産党の指導」「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想」)を改めて強調するくだりは、まるで天安門事件(1989年)の3カ月後くらいに出された重要講話のような内容で、なるほどと思わせます。

 それが「08憲章」への当てつけなのかどうかは知りませんが、トウ小平が江沢民の後継者に指名しただけのことはある、徹頭徹尾の「中共人」だな、国内で何事かが起きればその無表情のまま人民解放軍に武力鎮圧を命じるだろうな。……という意味の「なるほど」です。

 『趙紫陽―中国共産党への遺言と「軟禁」15年余』で趙紫陽が胡錦涛について、「こいつは若いから修羅場を知らない頭デッカチ。だからやや頼り無さげで危なっかしい」といった風の人物評を語っています。その部分を読んでから、この胡錦涛講話に目を通すとなかなか味わい深いものがあります。頭デッカチゆえの怖さ、逡巡せずに武断的な対応を下せる。……というのも、あるのではないかと。

 ただ頭デッカチゆえに時々刻々と変化していく現実に柔軟な対応ができず、それが政権の寿命を縮めることになりかねない、という一面の危うさをも趙紫陽は示唆しているように思います。


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 年末年始のお楽しみとしては、観るなら私はこの2作。

フライボーイズ プレミアム・エディション [DVD]

ジェネオン エンタテインメント

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ブラックホーク・ダウン スペシャル・エクステンデッド・カット(完全版) [DVD]

ポニーキャニオン

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 聴いて観るなら、やはりこれ。

HAS/HAS HUMAN AUDIO SPONGE Live in Barcelona-Tokyo [DVD]

ワーナーミュージック・ジャパン

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 それからこの2冊をやはりオススメしない訳にはいきません。

ザ・コクピット (1) (小学館文庫)
松本 零士
小学館

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ザ・コクピット (2) (小学館文庫)
松本 零士
小学館

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 1巻と2巻を読んで琴線に触れるようなら、8巻あたりまでオトナ買いで一気に是非。


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 最後に、空戦体験記としては異色かも知れませんが、これがなかなか良かったです。陸軍戦闘機「飛燕」独立中隊の物語。「つかみ」はやや弱いのですが、読んでいてどんどん魅き込まれていきます。上官や整備兵との心の交流など、この種の読み物には珍しく人間ドラマが丹念に描かれているのも良いです。実は隠れた名作なのではないかと。これは必読です。

秘めたる空戦―三式戦「飛燕」の死闘 (光人社NF文庫)
松本 良男,幾瀬 勝彬
光人社

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 という訳で、今年最後の楊枝削りでした。

 ああ、いまバイク便が来るそうです。御家人は配置に戻ります(涙)。祈武運長久。





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