日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 何だかここに来て中国国民の株価熱狂がやや集中的に報道されるようになりました。政治運動なら上意下達式ですからともかく、中国のマスコミ(日本もそうかも知れませんけど)は社会の現象を報道するのはどうしても一拍遅れます。

 この一拍遅れるというのが怖いですねえ。現実はより事態が進行している訳ですから。

 ●「株にはリスクがある」証券管理部門が投資家への「教育」求める(新華毎日電訊 2007/05/12/09:43)
 http://news.xinhuanet.com/mrdx/2007-05/12/content_6088436.htm

 ●中央銀行上海総部:1~4月に上海で預金700億元が株式市場へ(新華網 2007/05/13/15:50)
 http://news.xinhuanet.com/fortune/2007-05/13/content_6092505.htm

 ●4月末都市部人民元預金残高、株価高騰を受け激減(中国青年報 2007/05/14)
 http://zqb.cyol.com/content/2007-05/14/content_1758366.htm

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 どうも庶民が預金を取り崩して株式投資に走る傾向がみえているようです。……ていうか現実はもうその先を行っているのでしょうけど。

 バブル崩壊というのか株価暴落、あるいは不動産価格暴落といったものを懸念する意見は3年近く前から出ていました。ただ私は経済のことはよくわかりませんし、例えば株式投資にしても、ごく最近まで個人投資家の顔が見えませんでした。

 例えば株価暴落。いうまでもなく中国は都市部においても貧富の格差の激しい国です。暴落で経済的な影響もあるでしょうけど、もし個人投資家が限られた富裕層によって形成されているのなら、社会的にはそう大騒ぎされないのではないかと思っていました。

 ところが最近、具体的には2月の旧正月明け以来、続々と出てくる報道をみるに、非常に広範な都市部住民が株買いに狂奔していることがわかりました。狂騒というべきでしょうか。私が考えていた以上の広い範囲の市民が株式投資にかなり入れ込んでいるのです。

 大量の預金が取り崩されているものの、そのおカネは依然として消費には向かわず、株式市場めがけて殺到。元手がたくさん必要な訳ではありませんから、「ゲーム」に興じているブレーヤーは一時期の不動産投機に比べてずっと多いことでしょう。

 ここで暴落ということになれば、経済面での影響はもとより、社会状況の悪化が心配(ワクテカw?)になります。前掲記事でもわかるように、「株にはリスクがある」という観念がどこまで浸透しているか。浸透していないからこういう記事が出てきます。暴落すれば「市民の逆ギレは必至だ」てなところでしょうか。

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 中国は対外依存度の高い国です。外資依存度だけではありません。むかし改革・開放政策の初期、郷鎮企業がもてはやされた時期に、「兩頭在外」という言葉が一世を風靡しました。竜の頭も尻尾も海外にあるという意味です。原料や工作機械や技術は外資に頼って、中国で製品に組み立てて外国に輸出する、20年くらい前の話です。

 ところがその改革・開放政策を20余年続けて、国民1人当たりGDPが年間1000ドルを超えるようになっても(都市部限定の数値ならもっと高いでしょう)、相も変わらず「兩頭在外」を続けていて、次の段階に進むことができないでいます。

 中国政府が愚民政策を相変わらず続けているために、経済構造をグレードアップするだけの技術力、まあ民度が相応の高さに達していない証拠です。民度を高めるため、創意工夫を育てるための環境整備も当然ながら行われていません。

 同時に、内需拡大が叫ばれて久しいです。国内の個人消費が低い水準で推移しており、都市部だけでいっても日本の2倍くらいの購買力はありそうなのに、現実にはそうなっていない。「13億市場」なんて言葉は誰が使い始めたのか知りませんけど。

 ともあれ株式投資についていえば、ここまで来てしまうと経済的影響もさることながら、広範な庶民がマネーゲームに参加しているために、いざ暴落となったときに表面化する社会的影響の方が怖いでしょう。しかもリスクの観念がすっぽりと欠落している。しばらくは綱渡り状態が続くと思われます。

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 不気味な地鳴りが……とはいいませんけど、天安門広場に掲げてある毛沢東の画像に放火する事件が起きましたね。焼けてしまったあの肖像画は新しいものに交換されたようです。

 人民英雄記念碑に糞青ども(自称愛国者の反日信者)が献花しようとするだけでも制服警官並びに私服警官が一斉に駆け寄ってきて地面にねじ伏せられてしまうというのに、よくもまあ放火に成功したものです。

 この事件は日本でも報じられたようですが、犯人は新疆ウイグル自治区から出てきた精神病歴を持つ男とか。当局が犯人を精神病患者扱いにしたところがポイントですね。

 一党独裁の象徴ともいうべき天安門広場のあの巨大な毛沢東画像に火がつけられいて焼け焦げたというのに、当局は妙に弱腰ではないですか。この「弱腰」であることには注意を払っていいかと思います。

 精神病扱いにしないと類似の事件が続発するからなのかも知れません。別に天安門ではなくても、全国各地に毛沢東の銅像があります。それにペンキをぶっかけるだけで立派な事件です。犯人は政治犯扱いかも知れません。

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 ちなみに現在、中国には鬱病の患者だけで2600万人以上にのぼるそうです。大多数の都市部住民にとって、昔のように餓死する心配は一応なくなったものの、中国が暮らしにくい、ストレスのたまりやすい社会へと急変しつつあり、それについていけない人々が増えているることを思わせます。

 ●『大公報』(2007/05/13)
 http://www.takungpao.com/news/07/05/13/ZM-735780.htm

 様々な「格差」と「不公平」に象徴される社会状況の悪化をお得意のイデオロギーで説明できなくなった統治者は、「和諧社会」(調和のとれた社会)なんてスローガンでごまかそうとしています。そんなできもしない無理なことを。

 無理であることを象徴したのが毛沢東肖像画放火事件です。これに触発されて銅像へのペンキぶっかけ事件が続発するようになると中国社会が沸点に近づいていることを示すものとなります。株価暴落がその引き金になるかも知れません。

 マクロ経済のソフトランディングより株式市場の運営の方が当局にとって差し当たっての難事ということになってしまいました。

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 なにやら雑談に終始してしまって申し訳ありません。きょうの私は恩師と念願の靖国デートを実現したことでもうお腹一杯です。これであと映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の鑑賞を果たせば、5月における「あれをし遂げるまでは死ねない」がなくなります。とりあえず映画館に足を運ぶ予定の週末まで頑張ります。

 そうそう。新華社が早速この映画を批判する内容の論評を配信していました。元ネタはシンガポールの親中紙。なんでも「君」というのは「天皇」を暗示したものだそうで。批判するために書いた文章は牽強付会が目に余るので醜悪このうえありません。

「天皇なら『大君』じゃないですか。どうしようもない。馬鹿ですねえ」

 と、私との電話で「海ゆかば」を合唱したこともある恩師が憤慨していました。昭和ひと桁の恩師は自称「軍国少女」で、初等教育を日本語で受けていますし時期が時期でしたから慰問袋や千人針も経験済み。また、いわゆる「軍国歌謡」の面でも筋金入りですから、その面でも私を弟子にしたいようです(笑)。

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 そういえば今日、西太后や幼年時代の傅義・傅傑の生写真を恩師から見せてもらいました。スキャンしてほしいそうなのですが、スキャンして写真が変質するようなことがあってはと私は及び腰。西太后なんざ百年前のものでしょう。そのナマジャですから「おおおお」と興奮してしまいました。

 ともあれ、新緑のまぶしい境内をゆっくりと散歩したり、海軍カレーを食べたり、参道の売店でソフトクリームを食べたりと楽しいひとときでした。東京裁判で名を馳せたインドのパール判事の銅像とその有名な言葉を記した紙を、

「これは読めば読むほど味の出てくる言葉ですね」

 ……と、感に堪えぬように大事に二つ折りにしてバッグにしまっていたのが印象的でした。

 先生、DVDが待ち切れないようでしたら「俺は……」映画鑑賞デートもOKです。

 それにしても暑くも寒くもなく、よく晴れた空の下、気持ちのいい風が境内を吹き抜けていく実に五月らしい一日でした。




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