【シリーズ:反日騒動2005(04)】
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反日サイトの掲示板をよく見に行くという奇特な方にはお馴染みの話です。
中国で「sina」といえば大手ポータルの「新浪網」(www.sina.com)のことなんですが、このドメイン名が祟って、「新浪網」は現在に至るまでしばしば中国国内のネット世論、特に糞青(自称愛国者の反日信者)どもの槍玉に挙げられ、繰り返し苛められています。
そりゃそうですよねえ、何たって「支那ドットコム」ですから(笑)。大手ポータルが堂々と売国奴的な名乗りを使っていれば、集中砲火を浴びるのも無理はないでしょう。
でもどうしてこのネタで「新浪網」が繰り返し叩かれるのかは謎です。
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「このネタ」についてやや具体的に言いますと、まず最初に、
「驚愕の事実!あの『新浪網』が実は……」
といったスレが反日サイトの掲示板に立ちます。
●「sina」は日本語のローマ字表記だと「支那」になる。
●「新浪網」の大株主は日本企業らしい。だから「支那」という名前を使っている。
●日本企業が大株主だから、日本にとって都合の悪いニュースは記事にしない。
●実にけしからん!
●だからみんな、これからは「新浪網」には行くな!
●俺たちで「新浪網」排斥運動を起こそう!
……と、毎回こういう内容なのですが、これは半年周期のほうき星みたいなもので、ほとぼりが冷めたころ再登場してくるのです。もうただその繰り返し。
返ってくる反応も判に押したように同じでして、
「支持!」
「支持!」
「頂!」(age)
「狂頂!」(激しくage)
というレスが延々と続き、その合間合間に「『新浪網』は売国奴」だの、「小日本をぶっ殺せ」だのといった書き込みがなされます。もはや型として完成された観すらあります(笑)。
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「またその話かよ。いい加減デマ流すのやめろよ」
という冷静なレスもつくのですが、圧倒的な様式美の前には埋没していくしかありません。みんなシャレで楽しんでいるのかといえばそうでもなく、血涙を絞るがごとき愛国的レス(と、当人たちは思っている)で盛り上がっていきます。
そのうちに「右翼的日本企業一覧」みたいなテンプレートが貼られ、さらに「中華民族を辱めたトヨタの広告」「中華民族の象徴である龍を貶めた日本ペイントの広告」など画像も追加されます。そして、
「よし日貨排斥だ!」
「支持!」
「支持!」
「頂!」
「狂頂!」
とさらにエスカレートしていくのです(笑)。そのうちに糞青でもさすがに騒ぎ疲れるのか、次第にレスが少なくなっていきます。最後にはスレが流れてしまうのですが、上述したように半年ばかりするとまた登場して、また同じように盛り上がるのです。
反日サイトは天下国家を語る板も含め多々ありますが、その多くの掲示板でこの現象が繰り返し起きています。
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糞青が単に馬鹿なだけか、それとも誰かが意図的に流しているのかはわかりません。結構考察に値するテーマかも知れませんね。ちなみにこういう彗星めいたスレは「sina=支那」だけでなく、
「上海人女子大生の独白:日本人男性最高!絶対日本人と結婚する。中国の男はクソ」
「中国人女子留学生がレイプされたのを発端に東京で大暴動発生!――BBCが報道」
「日本右翼がラジオ番組を乗っ取って反中国宣伝!」(羅剛事件)
……など、他にもいくつかあります。
まあそれはともかく、です。とりあえず、あらぬ噂を繰り返し流されて「新浪網」が困っているようです(笑)。
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●「新浪は日本企業」のデマ再び 同社首脳は怒髪天(新華網)
http://news.xinhuanet.com/fortune/2005-03/17/content_2708668.htm
『北京晨報』からの転載記事です。前述したような「sina=支那」論が繰り返し蒸し返されることにほとほと手を焼いた新浪の陳トン・副総裁が、やむを得ず、あらゆる機会を捉えて「新浪は日系企業じゃない」「sinaの語源は支那じゃない」と説いて回り、噂の揉み消しに躍起になっているそうです。
実は最近、新浪は中国におけるオンラインゲーム最大手企業・盛大網絡(SHANDA)に買収を仕掛けられており、陳副総裁が先月あたりから事あるごとに「sina=支那」論を否定し、
「ウチは日本企業じゃない」
と強調してみせても、どうせ買収の一件からメディアの注意を逸らすためだろうとみられていたようです。どうやらそうではなさそうだ、と気付いたこの記事の記者がこの噂について調べていきます。
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それによると、この噂は主に過去3つの時期にわたり集中的に流された、と記者は指摘しています。
(1)2000年9月初め、「sina=支那」と音が一致するという指摘がネット上で出され、ネット世論の反感を買う。
(2)2003年11月-2004年初め、珠海での日本人による集団売春事件のニュースが「新浪網」に出ていないという情報がネットに流れる。
(3)2004年7月、「七七事変」(蘆溝橋事件)に関する記事が「新浪網」には出なかったという情報がネットに流れる。
この時期に限らず、あちこちの反日サイトで半年周期の「sina=支那」彗星が乱れ飛んでいた訳ですが、ともかくこうした経緯によって「日本企業が大株主だから日本に不利なニュースを流させないんだ」という説が補強されました。特に「sina=シナ」は日本語の初学者にもわかり易い理屈ですから、単細胞の糞青には説得力を持って受け止められたことでしょう。
「新浪網」のために言っておきますと、「記事が出なかった」というのは全くのデマです。
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で、陳副総裁は記者の取材に対し、
「わかるでしょう?世界中で公開されているウチの株主名簿、ここに日本資本は全く入っていない。新浪が日本企業という噂は全くの事実無根だ。噂の中には悪意が込められているようなものもあり、新浪が企業(イメージ)として受けた損害ははかり知れないものがある」
と怒髪天であります。「sina」の語源については、中国の英訳語である「china」とサンスクリット語で中国を意味する「sino」を合体させたものだ、と力説。
「日本語の『支那』とは全く関係ないんだ」
と強調しておりますが……陳さん、やっぱり誤解されるような名前をつけたあなた方が悪い(笑)。だって発音したらそのまんま「支那」なんですから。
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「新浪が日系企業だとする説をどうこうすることより、こういうやり方で民族間や国家間の摩擦を激化させようとする連中がいることを私は懸念する。中国人あるいは日本人を敵視するよう仕向けた噂を故意にネット上に流して、非理性的かつ不健康な民族主義的空気を煽ろうとする、そういう連中がいることを懸念する」
……と陳副総裁は建前を述べ、たまたま新浪がその恰好の標的にされてしまったのだ、としています。そういう「反日」を煽ろうとする一派の政治的謀略というのはありそうな話です。新浪が叩かれると得をする向きが流した、という可能性もあるでしょう。
一方で、糞青に成りたての小坊主がどこかの反日サイトで「噂」に出会ってしまい、使い古された話であることを知らずに衝撃を受け、驚愕するままに自分の常駐する掲示板に転載してしまった、というケースもありそうです。
謎ですねえ。
まあ最も謎なのは、毎回この「噂」で盛り上がってしまう糞青ども、ということになるのでしょうけど。
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