日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 3月ですねえ。

 暦通りに仕事を進められない(進めることを許されない……涙)私でも、人並みに「早いものです」ぐらいの感想を言ってもいいでしょう。

 中国政治のカレンダーで3月といえば、これはもう全人代(全国人民代表会議=立法機関)ですね。正確には全人代と政協(全国政治協商会議)の2本立てで、中国語では「両会」と称します。政協は本来、非中国共産党員による中共政権へのチェック機能を持った存在だったと思うのですが、ここ40年近くは全く形骸化しており、存在意義がありません。

 そこで「3月といえば全人代」ということになります。ええ、中国はあの喧噪を極めた2月を忘れてしまったかの如く、すっかり全人代モードです。

 季節ネタということで、関連ニュースを並べておきます。

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 ●対テロ対策、「両会」期間中の熱気球飛行など禁止(2005/02/25)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-02/25/content_2617054.htm
 飛ぶものは全てダメ。スカイダイビングとかパラグライダーとかモーターグライダーなども禁止のようです(多分)。

 ●「両会」期間中は交通規制、外地からの車両は北京滞在3日のみに(2005/02/28)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-02/28/content_2629844.htm
 北京市以外からの車が北京に入るには「進京証」というのが必要なんですね。で、普段は在京期限が7日間なんですが、これを「両会」期間中は3日に短縮するとのこと。

 ●北京市、「両会」期間中は連日警官65万人を投入、巡回や検問を強化(2005/02/28)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-02/28/content_2629833.htm
 6万5000人かと思ったら桁が違いました。これだけの数になると、それに紛れた偽警官も出現するかも知れませんね。ときどきそういう事件記事を見かけます。

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 今年の全人代は任期満了で首相から何からの改選(の真似事)が行われる5年に1度の年には当たりません。ということで人事は既定路線、すなわち江沢民が中国中央軍事委員会主席から退いて胡錦涛がその後を襲う、というぐらいしか見所はありません。

 その準備も進んでおります。

 ●胡錦涛、初めて「核心」と呼ばれる(『蘋果日報』2005/02/26)

 香港紙のスクープです。北京の中央電視台(テレビ)がニュース番組の中で、新指導部(現執行部)を「胡錦涛総書記を核心とする……」と形容したとのこと。胡錦涛が中国国内メディアで「核心」扱いしてもらったのはこれが初めてなんだそうです。「核心」は過去十年は江沢民にのみ使われた表現ですから、胡錦涛の権力掌握が基本的に順調であることを示す重要なシグナルです。という訳で、スクープという程でもないのですが、翌日には香港各紙が後追い報道しています。

 一方で去る人への花道も。

 ●『江沢民伝』広州でバカ売れ
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-02/25/content_2617877.htm

 ●『江沢民伝』ベストセラーに 著者を直撃インタビュー
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-02/24/content_2612607.htm 

 もっとも『江沢民伝』は党上層部で発行企画が出され、途中まで中国人作家がゴーストライターとして参加していたとの暴露記事もあります。

 ●『江沢民伝』制作は当局が企画したもの
 http://full.mingpaonews.com/20050225/cac1r.htm

 まあ、これで最後の土壇場で江沢民が「嫌だ嫌だ」と引退を渋ったら面白いのですが。あと昨年の河南暴動のようにトラックや乗用車に分乗した回族が、河南の怨を晴らすべく大挙して北京を衝く、なんていうのもいいですねえ。どちらも実現しそうにありませんけど。

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 ところで、かように全人代ムードが強まり、厳戒態勢に入っている筈の北京市で昨日(2月28日)、一団の農民による陳情活動(上訪)が中南海(指導部の住宅地)への「直訴」へと発展する騒ぎがありました。

 ●農民百名が中南海へ請願、治安当局が阻止
 http://hk.news.yahoo.com/050228/12/19ulh.html

 これは地方から上京してきた農民ではなく、お膝元である北京市(房山区)の農民によるものです。土地収用で自分たちの土地を安く買い叩かれたことに抗議すべく陳情を行ったのですが、ラチがあかないため直訴に及んだ模様。

 大事件には至りませんでしたが、土地収用問題に端を発し、陳情するも効なく直訴に及ぶ、というのは、昨年来の各種暴動と一脈を通じた、非常に象徴的な出来事のように思います。

 特に土地に関する問題、暴動のニュースが流れなくなり、当局も手を打って落ち着いたようにも見えましたが、実質的には何も変わっていない、ということを今回の「直訴」が示してくれたと思います。前にも書きましたが、寒かったのとお正月、これで動くべき人たちが大人しくしていた、というだけで、決して問題が解決された訳ではないように思います。

 今年はそろそろ都市部に出稼ぎにきている農民工にも暴れてほしいですねえ。「三農問題」(農村・農民・農業)の改善が叫ばれて久しいのですが、そろそろ農民工も加えた「四農問題」に呼び名が変わってもいいころではないでしょうか。

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 月並みなまとめ方をしますと、上述した江沢民の引退、それに台湾独立への武力行使を容易にする「反分裂法」の内容が今回の全人代の焦点でしょう。これに加え、温家宝首相による「政府活動報告」に、「尖閣&2+2」など最近群がり起こった事象がどう反映されるかも注目されるところです。

 この「政府活動報告」については、最近「新華網」に転載された『瞭望新聞周刊』の特集記事、

 ●激烈な衝撃:中国が乗り越えなければならない戦略段階
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-02/28/content_2628921.htm

 このあたりが予告編になっているのかも知れません。



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